日産はスーパーGTの前身である全日本GT選手権の発足初年度から参戦し、長くシリーズの中心的な存在として活躍しました。
その日産のGT500マシンといえばGT-RとフェアレディZ。そして全日本GT選手権黎明期には、GT-RとZ以外にもう1種類ちょっと意外な車種もGT1クラス(現在のGT500クラス)にエントリーしていました。
ということで、今回はスーパーGTと全日本GT選手権に参戦した、歴代の日産GT500マシンと搭載エンジンを紹介します。
ザックリ見出し
R32型スカイラインGT-R

写真提供:Mさん
- 参戦年:1994年-1996年
- エンジン仕様:2.6L 直6 ツインターボ RB26DETT(1994年-1995年) / 2.0L 直4 ターボ SR20DET(1995年-1996年)
全日本ツーリングカー選手権で圧勝していたR32型スカイラインGT-Rでしたが、シリーズの大改革で1994年から参戦できなくなり、そのGT-Rの受け皿として発足した(諸説あり)全日本GT選手権。
もちろんR32型スカイラインGT-Rはシリーズ初年度の1994年から参戦します。
エンジンは市販車のRB26DETTをベースとしたものを搭載していましたが、中には市販車のシルビアなどに積まれていたSR20DETを搭載していたマシンもあったようです。
R32型スカイラインGT-RはR33型が登場する1995年以降も並行してエントリーし、1996年まで参戦しました。
Z32型フェアレディZ

写真提供:Mさん
- 参戦年:1994年-1997年
- エンジン仕様:4.0L V8 NA(1994年-1997年) / 3.0L V6 ツインターボ VG30DETT(1994年-1995年)
1994年から1997年まで、スカイラインGT-Rと並行してZ32型フェアレディZも全日本GT選手権に参戦していました。
GT-RとフェアレディZが最上位クラスでレースをしていた時代があったなんて、なかなか見応えがあったでしょうね。
ちなみにZ32をエントリーさせていたのは名門チームルマン。1999年から2019年までトヨタ系(レクサス系)チームとしてGT500クラスに参戦していたチームルマンですが、当時は日産のマシンで参戦していました。
搭載エンジンは市販車のZ32と同様のVG30DETTでしたが、型式不明の4.0L V8 NAを搭載していたこともあったようです。
特筆すべきは1996年途中から参戦したマシンで、この個体は当初IMSAに参戦する予定だった車両でした。
S13型シルビア

写真提供:Mさん
- 参戦年:1994年-1995年
- エンジン仕様:2.0L 直4 ターボ SR20DET
全日本GT選手権黎明期は多くの車種がGT1クラス(現在GT500クラス)に参戦していましたが、S13型シルビアもエントリーしていました。
エンジンは市販車のシルビアや180SXでお馴染みのSR20DET。
シルビアがフェラーリF40やポルシェ962Cと同クラスでレースをしてたとは・・・。
R33型スカイラインGT-R

写真提供:Mさん
- 参戦年:1995年-1999年
- エンジン仕様:2.8L 直6 ツインターボ RB26DETT
1995年1月に市販車のR33型スカイラインGT-Rが登場し、同年に早くも全日本GT選手権のベース車両もR33型に移行します。
エンジンは市販車同様RB26DETTをベースに、2.8Lまで排気量を上げていました。
R33型スカイラインGT-Rは1999年まで参戦しR34型に移行します。
R34型スカイラインGT-R

- 参戦年:1999年-2003年
- エンジン仕様:2.8L 直6 ツインターボ RB26DETT(1999年-2002年) / 3.0L V6 ツインターボ VQ30DETT(2002年-2003年)
1999年1月に市販車のR34型スカイラインGT-Rが販売を開始し、同年から全日本GT選手権のベースマシンもR34型スカイラインGT-Rに移行します。
搭載エンジンはR33型から引き続きRB26DETTベースの2.8Lでしたが、2002年第5戦からセドグロやシーマに搭載されていたVQ30DETを改良したレース専用のVQ30DETT型に変更します。
R34型スカイラインGT-Rは2003年シーズンを以て参戦を終了し、以後日産のGT500マシンはフェアレディZに変更されました。
Z33型フェアレディZ

- 参戦年:2004年-2007年
- エンジン仕様:3.0L V6 ツインターボ VQ30DETT(2004年-2006年) / 4.5L V8 NA VK45DE(2006年-2007年)
市販車のR34型スカイラインGT-Rが販売終了をしたため、2004年から日産のGT500ベース車両になったのがZ33型フェアレディZでした。
エンジンはR34型スカイラインGT-Rから引き続き、レース専用のVQ30DETT型を搭載しますが、2006年からプレジデントやフーガなどに搭載されていたNA大排気量のVK45DE型に変更します。
そんなZ33型フェアレディZは2007年シーズンまで4年間使用されました。
R35型GT-R

- 参戦年:2008年-2021年
- エンジン仕様:4.5L V8 NA VK45DE(2008年-2009年) / 3.4L V8 NA VRH34A(2010年-2011年) / 3.4L V8 NA VRH34B(2011年-2013年) / 2.0L 直4 直噴ターボ NR20A(2014年-2019年) / 2.0L 直4 直噴ターボ NR20B(2020年) / 2.0L 直4 直噴ターボ NR4S21(2021年)
2007年12月に満を持して市販車のR35型GT-Rが販売を開始し、日産のGT500ベース車両もR35型GT-Rにスイッチ。GT-Rとしては2003年以来、5年ぶりに復活します。
2014年にはDTMとの車両規定が統一(クラス1規定)され、マシン名はGT-R NISMO GT500になり、より市販車のR35型GT-Rに近いエクステリアになりました。
エンジンは市販車同様のツインターボのVR38DETT型ではなく、Z33型フェアレディZから引き続きNAのVK45DEを搭載。
2010年からはスーパーGT規定※に則りレース専用のVRH34Aに変更し、2011年第5戦から発展型のVRH34Bになります。
※V8 3.4L
2014年にはスーパーフォーミュラと基本設計が共通のエンジン規定になり、2.0L 直4 直噴ターボのNR20Aを投入します。
しかし、トヨタ、ホンダと異なり、スーパーフォーミュラにエンジン供給をしていない日産はエンジン性能で劣勢。2020年に発展型のNR20Bを、2021年にNR4S21を投入しますが、厳しい状況に変わりはありませんでした。
R35型GT-Rは14年間という長きに渡り日産のGT500マシンとして参戦してきましたが、2021年シーズンを以て勇退しました。
RZ34型フェアレディZ

- 参戦年:2022年-
- エンジン仕様:2.0L 直4 直噴ターボ NR4S21(2022年-2023年) / 2.0L 直4 直噴ターボ NR4S24(2024年-)
日産は2022年に市販車のRZ34型フェアレディZの販売を開始し、スーパーGTではそれに先立ち2022年シーズンの開幕戦からGT500参戦マシンをRZ34型フェアレディZ(マシン名:Z GT500)にスイッチ。フェアレディZがGT500クラスに参戦するのは2007年以来です。
2024年にはベース車両がニスモ仕様になり、マシン名称がZ NISMO GT500に変更されます。
エンジンはR35GT-Rと同様のNR4S21を搭載を搭載し、2024年からはNR4S24に換装しています。
まとめ

今回はスーパーGTと全日本GT選手権に参戦した、日産のGT500マシンと搭載エンジンを紹介しましたが、まとめると以下になります。
| マシン | エンジン | 参戦年 |
|---|---|---|
| R32型スカイラインGT-R | RB26DETT SR20DET | 1994-1996 |
| Z32型フェアレディZ | VG30DETTなど | 1994-1997 |
| S13型シルビア | SR20DET | 1994-1995 |
| R33型スカイラインGT-R | RB26DETT | 1995-1999 |
| R34型スカイラインGT-R | RB26DETT VQ30DETT | 1999-2003 |
| Z33型フェアレディZ | VQ30DETT VK45DE | 2004-2007 |
| R35型GT-R | VK45DE VRH34A VRH34B NR20A NR20B NR4S21 | 2008-2021 |
| RZ34型フェアレディZ | NR4S21 NR4S24 | 2022- |
トヨタやホンダはスポーツカーのラインナップがなく、参戦マシン選びに苦慮する時代もありました。
しかし日産は、自社の2大スポーツカーであるGT-RとフェアレディZでスーパーGTに参戦を続けてきました。
R35型GT-Rの販売は2025年で終了すると発表がありました。R36型と呼ばれるであろう次期GT-Rの発表もまもなくでしょう。
新型GT-Rも必ずスーパーGTに参戦するはず。その時を楽しみに待つとしましょう。
以上、最後までご覧いただきましてありがとうございました。
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