世界の主要モータースポーツシリーズは、どこのタイヤブランドが供給しているの?
F1はピレリが供給していることは有名ですが、その他のレースシリーズはどんなタイヤを履いているのかあまり知られていません。
またシリーズによってワンメイクだったりマルチメイクでタイヤ戦争があったりと様々なんですよね。
そこで今回は、スーパーライセンスポイントが獲得できる世界の主要モータースポーツシリーズの供給タイヤブランドを、フォーミュラ・スポーツプロトタイプ・ツーリングカー/GTカーに分けて見ていきたいと思います。
それではいってみましょう!
【フォーミュラシリーズ】供給タイヤブランド一覧
まずはスーパーライセンスポイントを獲得できる、主要フォーミュラシリーズの各タイヤ供給ブランドから見ていきましょう。
※スーパーライセンスポイントの多い順(F1除く)
カテゴリー | タイヤブランド | ワンメイク |
---|---|---|
F1 | ピレリ | ◯ |
FIA F2 | ピレリ | ◯ |
インディカー | ファイアストン | ◯ |
FIA F3 | ピレリ | ◯ |
FIA フォーミュラE | ミシュラン | ◯ |
フォーミュラリージョナル ヨーロッパ | ピレリ | ◯ |
スーパーフォーミュラ | ヨコハマ | ◯ |
フォーミュラリージョナル アジア | Giti | ◯ |
フォーミュラリージョナル アメリカ | ピレリ | ◯ |
フォーミュラリージョナル ジャパン | ダンロップ | ◯ |
インディライツ | クーパー | ◯ |
Wシリーズ | ハンコック | ◯ |
フォーミュラルノー ユーロカップ | ミシュラン | ◯ |
ユーロフォーミュラ オープン | ミシュラン | ◯ |
スーパーフォーミュラライツ | ヨコハマ | ◯ |
FIA F4 (日本) | ダンロップ | ◯ |
イタリアF4 | ピレリ | ◯ |
イギリスF4 | ハンコック | ◯ |
ADAC F4 (ドイツ) | ピレリ | ◯ |
中国F4 | クムホ | ◯ |
トヨタレーシングシリーズ | ハンコック | ◯ |
上記の表はスーパーライセンスポイントの多い順(F1を除く)に並べてありますが、F1をはじめ上位シリーズに多くピレリが供給していることがわかります。
多くのフォーミュラシリーズは13インチタイヤを採用していますが、FIA F2シリーズでは2020年シーズンから、F1は2021年シーズンから18インチタイヤを採用し、供給するピレリは新たなフォーミュラタイヤを製作します。
インディカーに供給するファイアストンはブリヂストン傘下のブランドですが、かつてF1でミシュランと激しいタイヤ戦争を繰り広げたブリヂストンが現在はどのフォーミュラシリーズにも供給していないのは少し寂しいですね。
そのブリヂストンとライバル関係にあったミシュランは、フォーミュラEとユーロフォーミュラオープンにタイヤを供給し、フォーミュラEでは18インチタイヤを提供します。
日本のフォーミュラシリーズに目を向けると、スーパーフォーミュラと2020年から全日本F3を継承するスーパーフォーミュラライツはヨコハマが供給し、日本FIA-F4はダンロップが給します。
日本で馴染みのないGitiとクーパーはどこの国のメーカーかというと、Gitiはシンガポールに拠点を置くメーカーで、クーパーはグッドイヤーに次ぐアメリカ第2のタイヤメーカーです。
特筆すべきはハンコックで、下位カテゴリーが中心ではありますが3シリーズにタイヤを供給しており、今後上位シリーズへの進出が予想されます。
【スポーツプロトタイプシリーズ】供給タイヤブランド一覧
つぎは、主要スポーツプロタイプカーシリーズのタイヤ供給ブランドの一覧を見てみましょう。
※スーパーライセンスポイントの多い順
カテゴリー | タイヤブランド | ワンメイク |
---|---|---|
FIA WEC (LMP1) | ミシュラン | |
FIA WEC (LMP2) | ミシュラン グッドイヤー | |
IMSA プロトタイプ | ミシュラン | ◯ |
インターナショナル スポーツカー | ミシュラン | ◯ |
スポーツプロトタイプカーのシリーズでは、ミシュランが多く採用されています。
FIA WEC LMP1クラスでは、開始初年度の2012年のみダンロップを採用するチームがありましたが、2013年以降はすべてミシュランが独占供給しています。
FIA WEC LMP2クラスでは2018-2019年シーズンまでミシュランに加えダンロップも供給していましたが、2019-2020年シーズンからダンロップに代わりグッドイヤーブランドが供給を開始し、ミシュランとグッドイヤーの世界でも珍しいマルチメイクとなっています。
IMSAは2019年からミシュランのワンメイク供給となっています。
【ツーリングカー・GTカーシリーズ】供給タイヤブランド一覧
最後はツーリングカー・GTカーシリーズのタイヤ供給ブランド一覧です。
※スーパーライセンスポイントの多い順
カテゴリー | タイヤブランド | ワンメイク |
---|---|---|
スーパーGT | ブリヂストン ヨコハマ ミシュラン ダンロップ | |
DTM | ハンコック | ◯ |
FIA WTCR | グッドイヤー | ◯ |
FIA WEC (LMGTEプロ) | ミシュラン | ◯ |
IMSA GT-LM | ミシュラン | ◯ |
NASCARナショナル | グッドイヤー | ◯ |
次はツーリングカー・GTカーシリーズのタイヤ供給を見てみましょう。
日本で一番の人気シリーズであるスーパーGTは、ブリヂストン・ヨコハマ・ミシュラン・ダンロップの4ブランドが供給する、世界でも類を見ないほどのタイヤ戦争が行われているシリーズです。
スーパーGT×DTM特別交流戦でハンコックタイヤの使い方が注目を集めたのが記憶に残るDTMですが、2023年までハンコックタイヤが供給します。
FIA WTCR・FIA WEC LMGTE・IMSA GT-LMはミシュランを採用、TCRの世界選手権と北米でオーバルを中心に開催されるNASCARはグッドイヤーのワンメイクです。
まとめ
下の表はスーパーライセンスポイントが与えられるシリーズに供給するタイヤブランドの参戦数ラインキングです。
順位 | タイヤブランド | 供給シリーズ | 参戦数 |
---|---|---|---|
1 | ミシュラン | フォーミュラE フォーミュラルノーユーロカップ ユーロフォーミュラオープン FIA WEC(LMP1) FIA WEC(LMP2) IMSAプロトタイプ インターナショナルスポーツカー スーパーGT FIA WEC(LMGTE) IMSA GT-LM | 9 |
2 | ピレリ | F1 FIA F2 FIAF3 Fリージョナルヨーロッパ Fリージョナルアメリカ イタリアF4 ADAC F4 | 7 |
3 | ハンコック | Wシリーズ イギリスF4 トヨタレーシングシリーズ DTM | 4 |
4 | ヨコハマ | スーパーフォーミュラ スーパーフォーミュラライツ スーパーGT | 3 |
4 | ダンロップ | Fリージョナルジャパン FIA-F4(日本) スーパーGT | 3 |
4 | グッドイヤー | FIA WEC(LMP2) NASCARナショナル FIA WTCR | 3 |
7 | ファイアストン | インディカー | 1 |
7 | Giti | Fリージョナルアジア | 1 |
7 | クーパー | インディライツ | 1 |
7 | クムホ | 中国F4 | 1 |
7 | ブリヂストン | スーパーGT | 1 |
※供給シリーズの色 フォーミュラシリーズ=黒・スポーツプロトタイプカーシリーズ=紫・ツーリングカー/GTシリーズ=赤
ピレリはF1をはじめ多くのハイカテゴリーシリーズにタイヤを供給しており、現在世界で最もモータースポーツにチカラを入れているメーカーのひとつですね。
その供給カテゴリー数でピレリを上回るのはミシュランで、特にスポーツプロタイプカーはほぼ独占状態になっています。
市販タイヤではミシュランと占拠率を争っている世界三大タイヤメーカーのひとつであるブリヂストンは、主要カテゴリーにはスーパーGTのみの供給で、かつてF1で最強を誇ったタイヤメーカーですが、現在はモータースポーツにチカラを入れていないことがわかります。
最後にタイヤブランドのワンメイクについて。
現在F1をはじめとした主要フォーミュラシリーズのすべてが、タイヤブランドのワンメイクになっています。
前述しましたが、グッドイヤー対ブリヂストンやブリヂストン対ミシュランなど激戦のタイヤ戦争を観てきた私にとって、このフォーミュラシリーズのワンメイク化は残念でなりません。
そんな中、日本のスーパーGTが世界でも類を見ないほどのタイヤ戦争を繰り広げていることが、今回調べてみてあらためてよく分かりました。
路面温度や天気によるタイヤブランド別の特性の違いにより展開が大きく変化するレースは本当に面白く、それを観ることができる私たちは非常に幸せなんです。
今後もスーパーGTのタイヤ戦争が激化しレースをさらに魅力的に演出してくれることを望みます。
ガンバレダンロップ!
ん?
以上、今回は世界のレースシリーズの供給タイヤブランドについて調べてみました。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。
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