今回も先日訪れたトヨタ博物館で撮った、いにしえのクルマたちを紹介します。
自動車黎明期の時代から順番に紹介してきましたが、いよいよ今回は1965年(昭和40年)から現在まで。私たちに馴染みのある車両も登場しますので、どうぞお付き合いください。
ザックリ見出し
- 1 トヨタ・スポーツ800 UP15型(1965年日本)
- 2 ダットサン・ブルーバードP411型(1965年日本)
- 3 ジャガー・Eタイプ”ロードスター”(1965年イギリス)
- 4 マツダ・ファミリアSSA型(1966年)
- 5 ダットサン・サニーB10型(1966年日本)
- 6 トヨタ・カローラKE10型(1966年日本)
- 7 スズキ・フロンテ360 LC10型(1967年日本)
- 8 トヨタ・センチュリーVG20型(1967年日本)
- 9 トヨタ・2000GT MF10型(1967年日本)
- 10 ポルシェ・911 2.0クーペ(1967年ドイツ)
- 11 マツダ・コスモスポーツL10B型(1969年日本)
- 12 日産・フェアレディZ432 PS30型(1970年日本)
- 13 トヨタ・7ターボ(1970年日本)
- 14 トヨタ・セリカTA22型(1970年日本)
- 15 いすゞ・117クーペPA90型(1970年日本)
- 16 ロータス・エランS4(1972年イギリス)
- 17 フェラーリ・512BB”ベルリネッタボクサー”(1979年イタリア)
- 18 スズキ・アルトSS30V型(1979年日本)
- 19 トヨタ・ソアラMZ11型(1981年日本)
- 20 日産・セドリックシーマFPAY31型(1989年日本)
- 21 日産・スカイラインGT-R BNR32型(1989年日本)
- 22 レクサス・LS400(1990年日本)
- 23 ホンダ・NSX NA1型(1991年日本)
- 24 トヨタ・スープラJZA80型(1993年日本)
- 25 トヨタ・プリウスNHW10型(1997年日本)
- 26 レクサス・LFA”プロトタイプ”(2009年日本)
- 27 最後に
トヨタ・スポーツ800 UP15型(1965年日本)

もう1台の伝説のトヨタ車(後で紹介)とともに、ステージに展示されていたのがトヨタスポーツ800 UP15型。
パブリカのコンポーネンツを流用してコストダウンを図った大衆向けスポーツカーは、59.5万円と、当時としても破格の価格設定だったそうです。
全長は3580mmと現在の軽自動車規格よりも僅かに長い程度で、全幅に至っては現軽規格よりも狭い1465mmと小さなスポーツカーですが、見た目は堂々としたものでした。
こんなスポーツカーをまた販売してもらいたいものですね。
ダットサン・ブルーバードP411型(1965年日本)

こちらはダットサンの2代目ブルーバードP411型。
当時はほとんどの車両がラダーフレームでしたが、この2代目は日産初のフルモノコックボディを採用したらしいです。この時代にすでにモノコック構造とは凄いですね。
私たちの知る厳つい顔のブルーバードもこの2代目から。
ジャガー・Eタイプ”ロードスター”(1965年イギリス)

低く構えたボディスタイルが印象的だったジャガー・Eタイプ。
美しいスタイルと高性能で割安な価格が受けて、7万台以上を販売する大ヒットだったそう。
私の大好きなロングノーズショートデッキスタイルのスポーツカーは、この車両が元祖とも言われているそうです(サイドから撮りたかった)。
マツダ・ファミリアSSA型(1966年)

現在マツダといえば軽自動車はスズキからのOEMのみで、登録車(軽自動車以外)を生産するメーカーと知られていますが、その登録車への本格的な進出はこのファミリアSSA型から。

派手さはなくオーソドックスなスタイルですが、細部の作り込みが美しかった印象です。
ダットサン・サニーB10型(1966年日本)

こちらはダットサンサニーB10型(初代サニー)です。
当初サニーは1.0Lで発売しましたが、次に紹介するカローラが1.1Lで発売したことから、サニーは排気量を1.2Lに拡大。
サニーCMでの、「隣の車が小さく見えます」というフレーズは、昭和49年式の私でも知る名文句です。
トヨタ博物館では初代サニーと初代カローラのライバル2台が並んで展示。トヨタ博物館さん、わかってるなあ。
トヨタ・カローラKE10型(1966年日本)

こちらがサニーのライバル、トヨタカローラKE10型。その後日本の大衆車の雄となる、カローラの初代モデルです。
前述した通り1.0Lで発売されたサニーに対して、カローラは1.1Lで発売し、「プラス100ccの余裕」として話題を呼んだそうです。

メッキを施した細かいスリッドのグリルが非常にキレイでした。
スズキ・フロンテ360 LC10型(1967年日本)

こちらは軽自動車のスズキフロンテ360 LC10型。
スズキは初代スズライト以来、FFを継続してきましたが、このモデルからRRを採用しました。
ちなみにラパンの派生車種であるラパンLCは、このフロンテ360 LC10型を現代風にオマージュしてデザインしています。
トヨタ・センチュリーVG20型(1967年日本)

軽自動車の次は、トヨタが誇る日本の最上級車センチュリーVG20型です。
こちらは初代センチュリーで、トヨタグループの創始者豊田佐吉生誕100年、明治100年にちなんで発売されたらしいです。
自動車黎明期から順番に見てきましたが、これまで日本の自動車は欧米に比べると遅れをとっているように見えました。
しかしこのセンチュリーを見て、ついに日本のクルマも世界と肩を並べたと感じました。
トヨタ・2000GT MF10型(1967年日本)

日本が誇る最上級車のセンチュリーと同年に、高性能グランドツーリングのトヨタ2000GT MF10型が発売されます。
このスペシャルな2台が、同年発売だったとは知りませんでした。

2000GTといえば、日本に於けるロングノーズショートデッキスタイルの元祖。
このプレミアムレングス(フロントアクスルからドア前端までの距離)が極端に長い、横からのアングルが、個人的にはたまらなく好きです。
ところであの長方形のリッドにはなに?
実はバッテリーが格納されているんです。
ロングノーズでエンジンルームのスペースがありそうですが、ダブルウィッシュボーンサスペンションを採用したり、大きな直6エンジンで意外にもエンジンルーム内のスペースは小さかったため、こちらにバッテリーを入れざるを得なかったそうです。

そんな2000GTの前にはこんなガレージを模したスペースがあり、クラシック調のロングシートが置かれていました。

このシートに座って前を見るとご覧の通り、2000GTとヨタハチの2台を特等席から眺めることができます。
いやー、こんなガレージで特別な愛車を愛でてみたいものです。
ポルシェ・911 2.0クーペ(1967年ドイツ)

トヨタ2000GTの次はヨーロッパの高性能スポーツカー、ポルシェの911 2.0クーペです。
こちらの911は356の後継車としてデビューした初代の911(901型)。
現在の992型も901型のエクステリアイメージを踏襲しており、完成度の高さが伺えます。
ポルシェ911が大好きな私としては、この車両を舐めるように見まくりました。
マツダ・コスモスポーツL10B型(1969年日本)

スポーツカーが続きます。こちらはおなじみマツダのコスモスポーツです。
低く構えた流線型の車体エクステリアが外観上の特徴ですが、この車両の一番の注目点は国産初のロータリーエンジン搭載車というところ。

甲高く軽やかなロータリーのエンジン音は、レシプロエンジンとは一線を画して素晴らしい音色です。
現在は途絶えているマツダのロータリーですが、必ず復活してもらいたいと思います。
日産・フェアレディZ432 PS30型(1970年日本)

こちらも見てみたかった、日産のフェアレディZ432 PS30型。
ハコスカGT-Rに搭載していた6気筒DOHCエンジンを移植した、初代フェアレディZの最上級グレードで、名称の432は4バルブ、3キャブレター、2カムシャフトに由来します。
たしかこのエンジンを搭載するためだったと思いますが、標準グレードとは違うロングノーズのエクステリアデザインが迫力満点。
鉄チンホイールが主流の時代ですが、この車両のホイールはアルミ・・・ではなく、なんとマグネシウム。マグネシウムホイールを標準装備した日本車は先ほどのトヨタ2000GTとこのZ432だけです。
トヨタ・7ターボ(1970年日本)

こちらはエントランスに展示してあった唯一のレーシングマシン、トヨタ7です。

1970年という記載から、このマシンは3代目の国産初のターボレースエンジンを搭載したモデルでしょう。
このマシンは日本グランプリに出場するために開発された車両でしたが、日産が出場を辞退したこともあり日本グランプリの中止が決定。そのためレースに出場することなく退役したマシンでした。
2022年に富士スピードウェイの横に富士モータースポーツミュージアムを開設し、それまでトヨタ博物館に所蔵していたレーシングマシンたちはそちらに移管されています。
もちろんトヨタ7もあり、私が先日訪れた時には、1969年の日本グランプリで日産と激戦を演じた2代目も展示されていましたので、興味のある方は下のバナーからご覧ください。
トヨタ・セリカTA22型(1970年日本)

スポーツカーが続きましたが、こちらは日本初の本格的スペシャリティカーとして発売された初代セリカです。
ちなみにスペシャリティカーとは、スポーツカーのような外観ながら走りを重視せず、スポーツカーの雰囲気や快適性を持った車両のこと。
この後、ホンダプレリュードや日産レパードなど、多くのスペシャリティカーが登場することになります。
いすゞ・117クーペPA90型(1970年日本)

こちらもスペシャリティカーのいすゞ117クーペPA90型。
今はトラック会社のいすゞですが、当時は乗用車を販売して人気を博していたようです。
この117クーペはあのジウジアーロがデザイン。とっても美しいスタイリングでした。
この時代の車両は機械式のキャブレターで燃料をエンジンに噴射していましたが、117クーぺは日本初の電子制御燃料噴射式(インジェクション)を採用。昭和45年にインジェクションとは驚きです。
ロータス・エランS4(1972年イギリス)

この車両はロータスエランS4。
オープンロードスタースタイルの元祖のような素晴らしいスタイリングを持つエランS4ですが、実際に見てみると非常にコンパクトでした。
サイズを見ると全長は軽自動車に毛が生えた3683mm、全幅は軽規格よりも狭い1422mmで、重量はなんと698.5kg!
これに1.6Lのエンジンを搭載したのだから、相当軽快な走りで楽しいクルマだったこのでしょうね。
フェラーリ・512BB”ベルリネッタボクサー”(1979年イタリア)

時代は少し流れてこちらは1979年、スーパーカーブームの主役の1台だったフェラーリ512BB。当時流行ったスーパーカー消ゴムでも大当たりだったクルマでしたね。
フェラーリ初のミッドシップ12気筒の512BB。BBはベルリネッタボクサー(2ドアボクサーエンジン)の略ですが、実際にエンジンレイアウトは180度V型だったそうです。
そういえば当時のフェラーリF1(312Tシリーズ)もボクサーエンジンと謳っていましたが、実際には180度V型だったですね。市販車と設計思想が同じなのかな。

ピニンファリーナデザインのボディデザインは美しく、フロアの中でも特に注目を集めていました。
スズキ・アルトSS30V型(1979年日本)

スーパーカーの次は軽自動車、スズキの初代アルトSS30V型です。
当時、車検制度の導入で競争力を失っていた軽自動車ですが、その軽自動車を中心にラインナップしていたスズキは、新たに就任した鈴木修社長(当時)が先頭に立ち、廉価な車両を開発。
鈴木社長は、「スペアタイヤ、エンジンまでも外せ」と、安全上問題のない範囲でコストダウンを追求しました。
そして生まれたのが初代アルトで、当時の軽自動車の中古車市場とほぼ同様の45万円という廉価な価格設定で、大ベストセラーとなりました。
トヨタ・ソアラMZ11型(1981年日本)

この車両はトヨタのスペシャリティカー、ソアラMZ11型です。
まさにバブルへ向かっている時代で、ソアラはデジタルのスピードメーターにLEDのタコメーターなど、先進技術を積極的に取り入れていました。
日産・セドリックシーマFPAY31型(1989年日本)

こちらは日産のセドリックシーマFPAY31型。
バブル世代を生きた方ならば知るバブルの象徴的車両。500万円を超える高級車が爆発的にヒットして「シーマ現象」と呼ばれました。
女優の伊藤かずえさんが30年以上このシーマに乗り続け、日産は感謝の想いからレストアしたことが少し前に話題になりましたね。
日産・スカイラインGT-R BNR32型(1989年日本)

日産のスカイラインGT-R BNR32型。
2代目の生産終了から16年ぶりに復活した3代目GT-Rは、レーシングスペックを標準装備したエンジンや4WDシステム、そして高い剛性を持ったシャシーなどで、大きな話題を呼びました。
個人的には全日本ツーリングかー選手権での圧倒的な強さが印象に残っている1台です。
レクサス・LS400(1990年日本)

トヨタが展開する高級車ブランドのレクサスは、1989年から展開を開始し、その最上級車がレクサスLS400。日本ではトヨタセルシオとして販売されました。
初代LSは長年にわたり古さを感じさせないデザインを意識した、とデビュー当時に言っていた覚えがありますが、確かに35年経った今見ても、微塵も古さを感じないエクステリアです。
ホンダ・NSX NA1型(1991年日本)

こちらはクルマ好きならば誰もが知る、ホンダの初代NSX NA1型です。
日本初のスーパーカーはオールアルミモノコックボディなどアルミ部材を多用して、大幅な軽量化を実現しました。
扱いやすいスポーツカーというのもNSXの特徴で、フェラーリやランブルギーニなど、他メーカーのスーパーカーに大きな影響を与えました。
ちなみにNSXはN:ニュー、S:スポーツカー、X:未知の世界から。

特にこの車両のカッコいいアングルは正面低めから。どうです、最高ですよね!?
私は十数年ほど前に、この初代モデルを中古車で購入しようと画策していましたが、結局S2000に。
当時は300万円を切る中古車もあったのに、今では600万円オーバー。あの時買っていたらなあと、今でも後悔しています。
トヨタ・スープラJZA80型(1993年日本)

日産スカイラインGT-R、ホンダNSXと紹介しましたが、トヨタは少し遅れてスープラJZA80型を発売。個人的にはこの車両たちを見ると、全日本GT選手権を思い起こします(実際にはR32 GT-RとNSXの直接対決は無し)。
日本では2代目の80スープラは、大型のスポイラーと丸目4灯のリヤコンビネーションランプがエクステリアの特徴でしたが、後ろから撮るのを忘れました・・・。
また、すべてがドライバーに向いていたコクピットと思えるような運転席のデザインもカッコよかったなあ。
トヨタ・プリウスNHW10型(1997年日本)

こちらはトヨタが誇る初のハイブリッドカー、初代プリウスNHW10型です。
このクルマを見ると「21世紀に間に合いました」というCMのフレーズが、今でも脳裏に浮かびます。
今では多くのクルマが採用(方式はそれぞれ)するハイブリッドという名称ですが、この頃は未来の凄い技術がついに登場したんだなぁ、と思ったものでした。
レクサス・LFA”プロトタイプ”(2009年日本)

ここまで100台を超える展示車両を紹介してきましたが、最後を飾るのはレクサスのLFAプロトタイプです。
トヨタが発売した初のプレミアムスポーツカーLFAは、世界一級品の走行性能と運転する楽しさを極限まで追求した車両。
価格は日本の量販モデルとしては最高額を大きく上回る3750万円というとんでもない設定ですが、膨大な開発費のためこの価格でも赤字だったらしいです。
外観は2000GTの流れを感じさせる、フロントミッドシップのロングノーズショートデッキスタイル。

個人的にはエンブレム上のエアインテークが、ボンネットが開いてるように見えて違和感を感じるのですが・・・みなさんにはどう見えます??

そんなこちらの車両はライセンスが取得されていないプロトタイプ(展示専用車両)。
そんなプロトタイプは、このトヨタ博物館のほか、トヨタ会館、レクサスギャラリー高輪、ヤマハコミュニケーションプラザ、トヨタテクノクラフトなどにあるといいます(いずれも2013年ごろのデータ)。
なるほど、以前訪れたヤマハコミュニケーションプラザの車両もプロトタイプだったのね。
最後に

トヨタ博物館にある100台をはるかに超える車両を時間を忘れて見てきましたが、いつの間にか時刻はすでに16時過ぎ。私の興味はモータースポーツなので、市販車はちょっと・・・と思っていましたが、こんなにも楽しめるとは私自身もビックリ。いやー楽しい場所でした。
ということで、閉館の17時になる前に、別館のクルマ文化資料館に移動して終わりとします。


こちらには主にクラシック車両のボンネット上に掲げられていたカーマスコットや、各メーカーのエンブレムがあったり、

新旧車両のカタログ、



自動車にまつわる雑誌記事などが展示してありました。

また、膨大な数のミニカーや、

懐かしいプラモデルのパッケージなどもあり、クルマ好きとしては興味のあるものばかり。
今回は閉館までまもなくだったためサラーっと見るだけでしたが、今度訪れた際にはじっくりと見物したい特別な場所でした。
ということで、トヨタ博物館の観覧記はこれで以上になります。最後までご覧いただきましてありがとうございました。
他にもモータースポーツ系を中心に自動車博物館の観覧記を書いていますので、興味のある方は下記バナーからご覧ください。

















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