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ホンダ所有のウィリアムズFW11はどのGPで使用された個体?

モビリティリゾートもてぎ内のホンダコレクションホールでは、歴戦のホンダF1マシンが居並びます。

その中には日本製エンジンを搭載するマシンとして初のコンストラクターズタイトルを獲得した、ウィリアムズFW11もちろんあります。

日本のF1ブームが始まる直前。ターボ全盛期のF1マシンは、極太タイヤに聳り立つリヤウイングで、迫力がとんでもないのですが、中でも当時最強を誇ったホンダターボエンジンを搭載するウィリアムズFW11の存在感は群を抜いています。

さて、このホンダ所有のウィリアムズFW11は、どのグランプリで実際に使われた個体なのか?

ということで、今回は撮影した写真やネットの資料から、このマシンが出場したレースを考察します。

極小ミラーは中盤戦以降

2019年ホンダコレクションホールにて

まずはミラーに注目。

今では考えられないほどの極小ミラーが装着されているのが確認できます。

実は前半はもう少し大きなサイズのミラーでしたが、まずピケが第8戦のフランスグランプリで上下をカットしたこの新型ミラーを装着し、マンセルも第10戦ドイツグランプリからこのミラーを採用しました。

この年最速のFW11は後方確認をする機会が少なかったため、小さなミラーでも問題がなかったのでしょうね。

ということで、このマシンは中盤戦以降のマシンだということがわかりました。

エンジンカウル側面の小型エアインテークの形状は後半戦仕様

2019年ホンダコレクションホールにて

次に注目するのはエンジンカウル側面の小さなエアインテーク。

HONDAロゴの”H”の下に小さな空気取り入れ口があるのがわかるでしょうか。

実はこのエアインテーク、中盤戦まではもう少し大きく場所も僅かに前にありました。

この形状になったのが第14戦ポルトガルグランプリから。

ということで、このマシンは後半の第14戦から最終戦までの3レースで使われたようです。

潜望鏡型ターボダクトは最終盤仕様

2019年ホンダコレクションホールにて

サイドポッド上にニョキっと出る潜望鏡型ターボダクト。

翌年のFW11BやマクラーレンMP4/4など、ホンダのF1用ターボエンジンには標準装備という印象が強い潜望鏡型ターボダクトは、1986年第14戦ポルトガルグランプリのフリー走行で初採用されています。

2019年ホンダコレクションホールにて

それまではサイドポッド側面のCanonロゴの”a”の下あたりから空気を取り入れており、その部分がカバーで塞がれました。

ただ決勝では装着されず、第15戦メキシコグランプリから決勝でも取り付けられ、最終戦まで装着されました。

ということで、このマシンはやはりポルトガルグランプリ以降の最終盤仕様ということがわかりました。

ちなみにサイドポッド下部のカバーは最終戦まであったはずなのですが、なぜこの個体にカバーがないのかは謎です。

下端が折れ曲がるフロント翼端版は後半戦仕様

2019年ホンダコレクションホールにて

フロント翼端版をよく見ると内側に折れ曲がっているのが確認できます。この仕様になったのは第10戦ドイツグランプリから。

それまでは平らな2Dタイプでしたが、FISA(懐かしい)と協議をして、折れ曲がったスカートを装着。路面と接触する部分に木製の擦り板を取り付けました。

その後、第15戦メキシコグランプリで前述した潜望鏡タイプのエアダクトに空気を送るために、三角形の大型翼端版に変更されています。

この個体の翼端版は第10戦から第14戦まで使われた形状。

これまでの考察から考えると、このマシンは第14戦仕様の可能性が高くなってきました。

大型のロールオーバーバー

かなり大きめなロールオーバーバーが装着されたFW11。

開幕3戦はこの2/3ほどの大きさでしたが、第4戦モナコグランプリからこのサイズに変更しています。

マンセル車は最終戦までこのサイズでしたが、背の低いピケのみ、第8戦フランスグランプリから開幕当初の小さなロールオーバーバーに戻されています。

このサイズのロールオーバーバーは第4戦以降のマンセル車か、第4戦から第7戦までのピケ車か・・・。

やはり第14戦でマンセルが使用したシャシーということが濃厚です。

コクピット前のクリアスクリーンは小型サイズのピケ仕様

ただ、コクピット前の小さなサイズのクリアスクリーンは、明らかに背の低いピケが一貫して使用していた仕様。背の高いマンセルは空力を考慮して、そそり立つ大きなスクリーンを主に使用していました。

第14戦でマンセルが使用していたマシンだと断定しましたが・・・混乱してきました。

第14戦ポルトガルGPで初投入されたマシンだった!

今回、主に情報を得ていた『GP Car Story Vol.13』をあらためて確認すると、11ページにその答えが書かれていました。

記事によると、このホンダ所有のFW11のシャシーナンバーは8で、第14戦ポルトガルグランプリでマンセルのマシンとして初投入されます。やっぱり当たってた!

そしてマンセルはそのレースで優勝。

その後、最終戦ではピケ車になり、アデレードのレースでプロストを最後まで追い詰めたあのマシンだったのです(結果は2位 ドライバーズチャンピオン獲得ならず)。

映像や写真で何度も見たあのマシンが、まさにこの個体その物だったとは・・・あらためて感動しています。

では、なぜロールオーバーバーがマンセル仕様なのか? そしてフロントウイング翼端版も終盤2戦仕様だし・・・。

推測するに、ホンダはこのマシンとは別に翌年のFW11Bも所有しており、そちらはドライバーズチャンピオンを獲得したピケのカーナンバーが付いています。

なので、こちらのFW11は最終戦でピケのマシンとして使われた後、ロールオーバーバーやフロントウイング、カーナンバーを換装して、第14戦で優勝したマンセル仕様にしたのでしょう。

ただ、コクピット前のスクリーンは戻し忘れたのかな。

そしてサイドポッド下部のカバーがないのは・・・もしかして形状が極めて近い翌年のFW11Bのサイドポッドかも。あくまでも推測ですが・・・。

尚、多くの展示用マシンと同様にスポンサーロゴに関しては最終戦仕様になっています。

以上、最後までご覧いただきましてありがとうございました。

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大福
モータースポーツをこよなく愛す、セナプロ世代の四十代。 サーキット観戦デビューは、1996年フォーミュラニッポン第7戦の富士スピードウェイ。ど迫力のエキゾーストノートとタイヤの焼ける匂いを実感し、それまでテレビでしか観戦してこなかった事を悔やむ。以降、F1・WEC・スーパーGT・スーパーフォーミュラなどを富士スピードウェイ・鈴鹿サーキットを中心に多数観戦する。