人気記事:『ミニカーで振り返るF1マシン』シリーズ

ホンダ所有のマクラーレンMP4/7AはどのGPで使用された個体?

現在はマクラーレンといえばパパイヤオレンジですが、私たちF1ブーム世代にとってイギリスの名門チームといえば赤白のマールボロカラー。

2025年2月に訪れたホンダレーシングギャラリーでは、メインフロアの中央のステージに2台の赤白マクラーレンが鎮座していて、おじさんの心は少女のようにキュンとなりました(キモッ!)。

そんなメインステージの1台は1992年のマクラーレンMP4/7A。一時代を築いた『マクラーレン・ホンダ・セナ』の最後を締め括ったマシンです。

さて、このホンダが所有するマクラーレンMP4/7Aはどんな個体なのか?

ということで、今回も調べてみましたが・・・少々残念な結果に。

では、いってみましょう!

サイドポッド右側のラジエター排気口が上開きなのは第6-7戦以外

サイドポッドのラジエター排気口は決勝で全開になるグランプリもわずかにありましたが、基本的に上開きで、下半分は閉じられていました。

しかし第6戦モナコグランプリと第7戦カナダグランプリでは、右側のみ下半分が閉じられた下開きの左右非対称でした。

この個体を見ると、両側が上開きの通常仕様。

ということで、第6戦、第7戦以外の個体ということがわかりました。

リヤ翼端版のCOURTAULDS社のロゴが白地に黒になったのは第9戦以降

当時のマクラーレンのリヤウイング翼端版には、一風変わったマークがあったのを覚えているファンも多いでしょう。

実はこれCOURTAULDS社のロゴです。

このロゴは第8戦までは左のMP4/5のように白かったのですが、第9戦イギリスグランプリから白地に黒のロゴに変更されています。

ということで、このマシンは第9戦以降の仕様となります。

フルダウンフォース仕様のリヤウイング

この大きなリヤウイングは時代を感じますが、特にこの個体のリヤウイングは大きく、いわゆるフルダウンフォース仕様です。

当時のグランプリでフルダウンフォースを必要としていたのは、第6戦モナコグランプリ、第11戦ハンガリーグランプリ、最終戦オーストラリアグランプリ。

ただ、モナコではウイング裏側Marlboro文字のサイドに逆V字の赤いマークがあったので、Marlboro文字だけのリヤウイング裏側は第11戦ハンガリーグランプリ、最終戦オーストラリアグランプリの仕様。

さあ、絞られてきましたね。

フロント翼端版後部のフラップ装着部にスリットが付いたのは第14戦以降

フロント翼端版の後方部分に、フラップを無段階で調整するために装着されたと思われるスリットが開けられているのが確認できます。

このスリットが装着されたのが第14戦ポルトガルグランプリで、以降最終戦までこの仕様でした。

今までの考察から、この個体は最終戦オーストラリアグランプリの仕様ということになりますが・・・他も見てみましょう。

ステアリングのスポンサーロゴが後半戦仕様

次はステアリングとダッシュボード、シェルのペクテン(貝マーク)とNARDI、ホンダのHマークに注目。

序盤戦はステアリングの中央にペクテンで、その下にNARDI、その下のT字ステアリングスポークにホンダのHマークの並びでした。

その後、第8戦フランスグランプリでペクテンの上にNARDIが移動。

第12戦ベルギーグランプリでペクテンとNARDIの位置が入れ替わり、Hマークが消滅。

そして第15戦日本グランプリで第8戦と同様に上からNARDI、ペクテンの並びに戻り、Hマークがタコメーターの上の三角形の突起の場所に復活します。

この個体を見ると、ステアリングにNARDIペクテンがあり、三角突起にHマーク。完全に日本グランプリ以降の仕様です。

この個体は最終戦オーストラリアグランプリの仕様ということが濃厚です。

ノーズのホンダエンブレムに開く穴はアクティブサス仕様?

MP4/7Aのノーズ部分、ホンダのHエンブレム下に穴が開いているのが確認できます。

これはおそらく、第13戦イタリアグランプリの金曜フリー走行でベルガー車に装着された、アクティブサス用のピトー管の取り付け穴だと思われます(イタリア以外でもフリー走行で使われた可能性あり)。

フロントプッシュロッドのアームが太いのも、イタリアグランプリ金曜フリー走行でのベルガー車のみ。アクティブサスのために太くなったのかも。

ということは、この個体は最終戦の後のシーズンオフにアクティブサスのテストに使われたのかも??

ちなみにノーズのMarlboroロゴの”l”と”b”の間と、同じくノーズのマールボロレッドのVの間にアンテナが取り付けられていました(Vの間は第8戦以降)が、その開口穴がないのは・・・不明です。

コクピット前のシールドがクリアなのは序盤から中盤までの仕様

ホンダ所有のMP4/7Aはコクピット前のシールドがクリアです。

このシーズン、第7戦まではセナ車、ベルガー車ともにクリアシールドを使用していました。

それが変更されたのが第9戦イギリスグランプリ。セナ車はシールドの縁にベージュのリップを装着し、やや大柄なものになります。

セナ車は第10戦ドイツグランプリでカーボン製に変更。第11戦ハンガリーグランプリで第7戦以前のものに戻しますが、第12戦ベルギーグランプリでふたたびカーボンになり、第14戦ポルトガルグランプリ以降はマールボロレッドに塗装されています。

ベルガー車は第11戦ハンガリーグランプリまでクリアシールドでしたが、第12戦ベルギーグランプリでセナ選手が第9戦で使用したのと同様の、ベージュのリップが付いたものに換装されます。

その後ベルガー車は第15戦以降クリアシールドに戻されます。

やっぱりこの個体、最終戦のオーストラリア仕様だ!

・・・と思ったのですが、ベルガー車のクリアシールドはベージュリップが無いものの、形状はリップありと同じ。

この個体とは明らかに形状が違うのです。

ということで、この個体に対する私の考察は以下の通り。

1992年の後半戦を転戦して、最後に最終戦オーストラリアグランプリを戦います。

その後、シーズンオフのテストで翌年用のアクティブサスペンションを搭載してテストを実施。

前半戦仕様のクリアシールドに関しては・・・シールドは簡単に取り替えられるので、テストの際、またはホンダへの譲渡の際に変更されたのでは、と考えますが、正解は?

ホンダレーシングギャラリーで展示されるマクラーレンMP4/7Aはショーカー?

ネットで念入りに調べてみた結果、ホンダは2台のマクラーレンMP4/7Aを所有しているようです。

そのうちの1台はシャシーナンバー2の開発初期段階のテスト車両で、もう1台がショーカー。要するに2台ともにグランプリで使用されることはありませんでした。

で、私がホンダレーシングギャラリーで見たこの個体は?

せめてシャシーナンバー2であってくれ、と願いましたが、シャシーナンバー2はコクピット前の三角の突起(ホンダのHマークのところ)が無いようです。

ということで、この個体はおそらくショーカー、展示専用車両です。

いやー、残念な結果でした。

ここまでお付き合いいただいた方、期待をさせてすみませんでした。

後味が悪い結果でしたが、今回は以上。最後までご覧いただきましてありがとうございました。

面倒ですがポチッとお願いします

人気ブログランキング
人気ブログランキング

関連記事

ブログをメールで購読

メールアドレスを記入して購読すれば、更新をメールで受信できます。

182人の購読者に加わりましょう
よかったらSNSでシェアお願いします!



サーキットでの興奮をあなたに伝えたい
MOTORSPORT観戦記

サーキットは非日常を味わえる特別な空間です。そんな素晴らしいモータースポーツの世界を、ひとりでも多くの方に伝えたい・・・。そんな思いでMOTORSPORT観戦記と題し、記事に認めました。




コメントを残す

ABOUT US
大福
モータースポーツをこよなく愛す、セナプロ世代の四十代。 サーキット観戦デビューは、1996年フォーミュラニッポン第7戦の富士スピードウェイ。ど迫力のエキゾーストノートとタイヤの焼ける匂いを実感し、それまでテレビでしか観戦してこなかった事を悔やむ。以降、F1・WEC・スーパーGT・スーパーフォーミュラなどを富士スピードウェイ・鈴鹿サーキットを中心に多数観戦する。