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ホンダ所有のジョーダンEJ12はどのGPで使用された個体?

私が初めてグランプリの決勝レースを観たのは2002年日本グランプリ。佐藤琢磨選手が5位入賞を果たした名レースです。

西陽を浴びながら最終コーナーから立ち上がってくるイエローのマシンが美しく、以来、琢磨選手はもちろんのこと、ジョーダンEJ12は特別な存在になりました。

2019年にホンダコレクションホールを訪れると、あの感動を誘ったジョーダンEJ12が展示されていました。

このマシンは2002年の鈴鹿で観たあの個体なのか?

当時の日本グランプリは最終戦。資金が切迫するジョーダングランプリのこと。輸送費をケチって日本にそのまま置いていったかも!?(実際にはFIAのチャーター機なので輸送費は関係ない)

ということで、今回は2019年にホンダコレクションホールで撮影したジョーダンEJ12がどんな個体なのか、調べてみることにしました。

中央部が角張った傾斜の深いフロントウイングは第4戦まで

2019年ホンダコレクションホールにて

まずはフロントウイングから見ていきましょう。

ハの字型のウイングステーは当時のジョーダンの特徴的な形状でしたが、その下の抉れが深く角張っているのは、前年型を踏襲した開幕戦オーストラリアグランプリから第4戦サンマリノグランプリまでの仕様。

第5戦からは抉れのないタイプや抉れが緩やかな仕様になっています。

そう、見慣れた日本グランプリの写真も、緩やかな湾曲をしたフロントウイングが付いています。

ありゃ、初っ端から期待の日本グランプリ仕様ではないとは・・・。

いや、展示マシンの場合、ウイングのみ仕様違いというケースもあるはず。次はボディ形状を確認してみます。

ミッドウイングがない

2019年ホンダコレクションホールにて

EJ12は第4戦サンマリノグランプリからインダクションポッドのカメラ後方に250mmのミッドウイングを装着しています。フェラーリが装着して、瞬く間に各チームが模倣。ジョーダンもその口でしょう。

しかし効果がなかったのか、第8戦カナダグランプリで一度取り外すも、翌第9戦ヨーロッパグランプリでふたたび装着。その後、第14戦ベルギーグランプリ以降、完全に取り外されました。

もちろん最終戦の日本グランプリもミッドウイングはありません。

チムニーダクトありノーズ上のエアインテークなし

2019年ホンダコレクションホールにて

当時流行りのサイドポッド上のチムニーダクト(煙突)ですが、このEJ12にも装着されています(煙突が蓋をされている)。

これは開幕戦から第9戦ヨーロッパグランプリまで、すべてのレースで装着されていましたが、第10戦イギリスグランプリ以降、グランプリや各セッションにより装着されないレースもありました。

さて、最終戦日本グランプリは・・・煙突あります。

ミッドウイングあり、チムニーダクトあり・・・日本仕様の望みが出てきました。

なお、第2戦マレーシアグランプリのみノーズ上に小型のエアインテークがありましたが、このマシンには付いていません。

プッシュロッド付け根のブーツは第11戦から

2019年ホンダコレクションホールにて

展示のEJ12をよく見ると、プッシュロッドのボディ側付け根にブーツが装着されています。

これは第11戦フランスグランプリで初採用し、第12戦ドイツグランプリから決勝でも装着されています。

第14戦ベルギーグランプリと第15戦イタリアグランプリは外されますが、第16戦アメリカグランプリでふたたび装着。

最終戦日本グランプリでもブーツあります。

スポンサーロゴは最終戦仕様

最後はスポンサーロゴを確認してみましょう。

2019年ホンダコレクションホールにて

第15戦イタリアグランプリから貼られたウイングレッドの『♡CREMS』のロゴですが、このマシンにもしっかり確認できます。

2019年ホンダコレクションホールにて

第12戦まであったミラーカバーの『LUBRAX』ロゴは取り払われています。

コクピット脇の『Virgin mobile』は第4戦サンマリノグランプリからで、サイドポッド前端の『Bahrain Grand Prix』と、最下部の『SEGA』のロゴは最終戦日本グランプリのみ。

2019年ホンダコレクションホールにて

フロントフラップの『BENSON HEDGES』は第2戦から。縮小したベンソン&ヘッジスのスポンサーフィーですが、少し増えたのかな。

ただ、第6戦スペイングランプリまではフロントメインウイングも『BENSON HEDGES』の表記でした。

写真の『B&H』のロゴに変更されたのは第7戦モナコグランプリから。なので、第4戦までの角張ったフロントウイングに『B&H』ロゴは現実にはありませんでした。

ということで、どうやらスポンサーロゴはすべて最終戦仕様のようです。

鈴鹿5位のマシンではなく開幕戦とイモラの予選に出場した個体

2019年ホンダコレクションホールにて

フロントウイングの仕様は違いますが、ミッドウイングなし、チムニーダクトあり、プッシュロッド付け根のブーツあり、とすべて日本グランプリと同じ。スポンサーロゴもすべて日本仕様です。

ということは、フロントウイングは違えど日本グランプリで5位に入った佐藤琢磨選手のあのマシンかも!?

資料を見ると、ホンダ所有のジョーダンEJ12はシャシーナンバー2。

EJ12シャシーナンバー2は、開幕戦から第9戦までTカーとしてグランプリを転戦した個体で、佐藤琢磨選手が開幕戦オーストラリアグランプリで、ジャンカルロ・フィジケラ選手が第4戦サンマリノグランプリで、ともに予選にて使用。決勝で使われることはありませんでした。

・・・煽ってすみません。。。

第11戦で初採用したプッシュロッドのブーツが装着されているのは、ホンダに譲渡するためにマシンを組み上げた際に、スペアパーツを取り付けたのでしょうね。

『Bahrain Grand Prix』や『SEGA』など、日本グランプリのみのスポンサーロゴがが貼られている件に関しては、その後のスポンサー対応のために、最終戦仕様のスポンサーロゴに変更するのはよくあります。

拍子抜けした結果で申し訳なかったのですが、よくあるショーカーではなく、実際にグランプリウイークで使用されたマシンだったことを知り、個人的にはちょっと嬉しかったです。

なお、佐藤琢磨選手が鈴鹿で使用したマシンはシャシーナンバー4で、ホンダはこのマシンを所有していません。

以上、最後までご覧いただきましてありがとうございました。

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大福
モータースポーツをこよなく愛す、セナプロ世代の四十代。 サーキット観戦デビューは、1996年フォーミュラニッポン第7戦の富士スピードウェイ。ど迫力のエキゾーストノートとタイヤの焼ける匂いを実感し、それまでテレビでしか観戦してこなかった事を悔やむ。以降、F1・WEC・スーパーGT・スーパーフォーミュラなどを富士スピードウェイ・鈴鹿サーキットを中心に多数観戦する。