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ホンダ所有のBAR006はどのGPで使用された個体?

先日、鈴鹿サーキット内のホンダレーシングギャラリーで、いにしえのホンダエンジン搭載のF1マシンをじっくりと堪能してきました。

ちょうど私が訪れた期間は、佐藤琢磨選手がステアリングを握ったマシンの特別展示が地下1階で行われており、もちろん琢磨選手が表彰台に上がった2004年のBAR006もしっかりと展示されていました。

そこでいつもの病気が出ます。

「このマシンはどのグランプリで使用された個体なのか?」

ということで、今回はホンダ所有のBAR006を観察しながら、この個体について考察してみます。

個人的には琢磨選手が表彰台を獲得した、第9戦アメリカグランプリを走った個体だと嬉しいのですが、果たしてどうでしょう。

リヤウイングの垂直フィンが外されたのが第5戦

BAR006は開幕戦からリヤウイングのメインプレーンの両サイド上、HONDAロゴの”H”と”A”の中心付近に垂直フィンが装着されていました。

それが取り外されたのが第5戦スペイングランプリ。

以降、第15戦イタリアグランプリ以外で取り付けられることはありませんでした。

ということで、このマシンは第15戦イタリアグランプリを除く第5戦以降の仕様ということになります。

センターウイングがない

2000年代に流行ったインダクションポッド後方のセンターウイング。

ダウンフォース不足を解消するためだと思われがちですが、どちらかというと清流効果を狙って装着されていました。

そんなセンターウイングですが、BAR006も第4戦サンマリノグランプリから装備。以降中低速サーキットでは標準装備となります。

装着されなかったのは、高速仕様の第8戦カナダグランプリ、第9戦アメリカグランプリ、第14戦ベルギーグランプリ、第15戦イタリアグランプリの4つのグランプリ。

リヤウイングのフィンとセンターウイングのないこのマシンは、第8-9戦、第14-15戦の4レースに絞られました。

琢磨選手が表彰台に上がった第9戦アメリカグランプリの可能性が出てきました!

北米2連戦はリヤウイング裏のロゴが『HONDA』

ここでちょっと残念なお知らせです・・・。

リヤウイングの裏側に『LUCKY STRIKE』のロゴが見えます。

それが何で残念なお知らせなのかと言うと、第8戦カナダグランプリと第9戦アメリカグランプリの北米2連戦は、リヤウイング裏のロゴが『LUCKY STRIKE』ではなく『HONDA』になっていたのです・・・。

そう、琢磨選手の3位表彰台も『HONDA』ロゴ。

いや、展示車両はスポンサーロゴが最終戦仕様だったり、ウイングが別仕様ということもよくあります。

望みを捨てずに次に行きます。

コクピット側面のクラッシュパッドは後半戦仕様

次はコクピット側面のクラッシュパッドに注目。

開幕から第12戦ドイツグランプリまで、クラッシュパッドはマシン外側になだらかに下がっていく形状をしており、その外側に垂直フィンが装着されていました。

この個体は上面が路面と水平でフィンがない。

この形状になったのが第13戦ハンガリーグランプリで、それ以降最終戦まで同じ仕様でした。

ということで、リヤウイングのフィンとセンターウイングがなく、クラッシュパッド上面が水平になっているのは、第14-15戦の2レース。

うーん、残念ながら第9戦アメリカグランプリ仕様の望みはなくなりましたが、絞られてきましたね。

サイドポッド横からリヤタイヤ内側にかけてのフィンは実践未使用?

※この写真のみ2019年ホンダコレクションホールにて 同じ個体と思われる

サイドポッド横からリヤタイヤ内側にかけてのフィンは、グランプリにより仕様が異なっていました。

この形状で答えがわかるはず、と思って調べてみたのですが、どうやらこの個体と合致する形状が見当たらない。

特にサイドポッド上面角から斜めに生えているツノは、本来チムニーダクト(煙突)のはずですが、フィンになっています。

そしてリヤタイヤ内側にある垂直のボードもないんです。

うーん、シーズン終了後に部品テストのために取り付けたものでしょうか・・・。

サイドポッド横からリヤタイヤ内側にかけてのフィンの形状からは仕様が分かりませんでした。

FCP未装着は第14戦以前

次はBAR006の目玉装備であるFCP。

FCPって何やねん? と思われる方。はい、私も忘れていましたが、コーナーリング中にフロントタイヤ内側のロックを防ぐ装備でした。

このFCPが装着されたのが第15戦イタリアグランプリからで、フロントアッパーアーム下に並行に取り付けられた銅色のアームで制御していました。

この個体を確認すると、フロントアッパーアーム下に銅色のアームはないため、第14戦以前の仕様ということになります。

ということで、リヤウイングのフィンとセンターウイングがなく、クラッシュパッド上面が水平でFCP未装着のこの個体は、第14戦ベルギーグランプリの仕様ということになります。

さあ、果たしでどうでしょう??

第3戦までバトン車 第4戦以降琢磨車として使用された個体だった

ということで、マシンの各パーツから察するに第14戦ベルギーグランプリ仕様だと考えます。

あらためてマシンを見ると、リヤウイングはかなり寝ていて『HONDA』のロゴは小さい。高速サーキットの仕様だとわかります。

今回は自信あり! さて、正解は??

答えは愛読するGP Car Story Vol.48の12ページに掲載されていました。

それによると、ホンダ所有のBAR006はシャシーナンバー3で、序盤戦がバトン車、第4戦サンマリノグランプリ以降の大半のレースを琢磨車として使用されたとあります。

シャシーナンバー3のこの個体はパーツ変更をしながら第14戦ベルギーグランプリまで使用され、FCP装着という大掛かりな仕様変更をすることなく退役したのでは、と推測します。

ということは、第7戦ヨーロッパグランプリで琢磨選手が日本人最高位となる予選2位や、第9戦アメリカグランプリでの表彰台も、このマシンで達成された可能性が高い!

明け方に大泣きした琢磨選手の表彰台獲得マシンを目の前で見られるとは!!(私の中では確定しましたwww)

今回のマシン考察はハッピーエンドで終了です!

最後までご覧いただきましてありがとうございました。

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大福
モータースポーツをこよなく愛す、セナプロ世代の四十代。 サーキット観戦デビューは、1996年フォーミュラニッポン第7戦の富士スピードウェイ。ど迫力のエキゾーストノートとタイヤの焼ける匂いを実感し、それまでテレビでしか観戦してこなかった事を悔やむ。以降、F1・WEC・スーパーGT・スーパーフォーミュラなどを富士スピードウェイ・鈴鹿サーキットを中心に多数観戦する。