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2021年F1王者はマックス・フェルスタッペン!【フェルスタッペンvs.ハミルトン】激戦の2021年シーズンを振り返る!

本日最終戦アブダビグランプリでF1 2021年シーズンのチャンピオンがついに決した。

2021年ドライバーズチャンピオンはマックス・フェルスタッペン!

フェルスタッペンとハミルトンの息を呑む攻防は、最後の最後に劇的なカタチでフィナーレを迎え、フェルスタッペンが初のワールドチャンピオンを獲得した。

いやー、じつに緊張感溢れる素晴らしいレースだったね。

そして、1990年から32年に渡りF1を観続けてきた私だが、これほどまでに面白いシーズンはなかったと思う。

そこで今回は、2021年シーズンのマックス・フェルスタッペンとルイス・ハミルトンの素晴らしい争いにフォーカスして、書いてみようと思う。

別々のチームでのチャンピオンシップ争いは忖度がなく格段に面白い!

今シーズンはメルセデスとレッドブルのマシンが僅差で、両チームのエースドライバーであるルイス・ハミルトンとマックス・フェルスタッペンが他のドライバーを圧倒するドライビングをして、両者のみが独走するレースが多くあった。

2014年以降のパワーユニット時代より、メルセデスのマシンならびにパワーユニットがほかよりも抜きん出ており、ペースを考えたチームメイト対決のみ。

しかもハミルトンのライバルであったニコ・ロズベルグの引退以来、2017年からはハミルトンとバルテリ・ボッタスとでは実力差は歴然で、チームメイト争いにもならなかった。

しかし2021年シーズンはレッドブルのマシンの出来が素晴らしく、またホンダ製パワーユニットもパワーと耐久性が格段に上がった。

その結果、ライバルチームによるチャンピオンシップ争いが実現した。

ライバルチームでのタイトル争いだと、パワーをセーブしたりチームオーダーを出したりの無駄なチームの介入が無くなる。

それにより、メルセデスパワーユニットは限界に達し、ハミルトンは3機までというレギュレーションで定められた機数を突破し、4機目、5機目の導入に至った。

また、2017年以降は本来のライバルがなく、ハミルトンは特に決勝レースでマージンをとったドライビングをしていた。

しかし限界走行を強いられる2021年シーズンでは、予選レースを最後尾グリッドからスタートし脅威の追い上げで優勝をしたサンパウログランプリを筆頭に、ハミルトンの決勝での爆発的で持続性のあるペースを存分に見せつけられた。

やっぱりハミルトンってスゲー!

そして、その7度のチャンピオンであるハミルトンに唯一食い下がり、シーズンを通して決勝でのミスがほとんどなくレースをまとめ上げ、サウジアラビアグランプリを筆頭に闘志むき出しで貪欲に勝利を狙うフェルスタッペンも、やはりスゲー!

今季のフェルスタッペンとハミルトンの戦いを振り返る

そんな両者は、特性の違う別マシンでありながら毎レース数秒圏内のトップ争いを演じ、最終戦を前にともに369.5ポイントでまったくの同点!

最終戦を迎えるまでの、フェルスタッペンとハミルトンの戦いを簡単に振り返ってみよう。

初戦のバーレーングランプリは、ハミルトンがポールポジションのフェルスタッペンをレース戦略で逆転して勝利。

第2戦エミリアロマーニャグランプリは、3番手スタートのフェルスタッペンがスタートダッシュで首位に立ちそのまま優勝。

第3戦ポルトガルグランプリは、ハミルトンが優勝し、第4戦スペイングランプリも連勝。

第5戦モナコグランプリは、2番グリッドのフェルスタッペンがスタート直後に首位に立ち、そのまま独走してチェッカーを受ける。

第6戦アゼルバイジャングランプリは、レース大半をリードしていたフェルスタッペンがタイヤバーストでリタイヤ。ハミルトンも残り2周からの赤旗再スタート直後にオーバーランしポイント圏外フィニッシュして両者ノーポイント。

第7戦フランスグランプリは、フェルスタッペンが予選・決勝・ファステスラップをすべて制し、自身初のハットトリック。

第8戦シュタイアーマルクグランプリは、フェルスタッペンが5位以下を周回遅れにする圧勝で、同じくレッドブルリンクで行われた第9戦オーストリアグランプリも優勝して3連勝(初のグランドスラム)。

第10戦イギリスグランプリでは、オープニングラップでフェルスタッペンとハミルトンがサイドバイサイドとなり接触。フェルスタッペンがリタイヤしハミルトンが第3戦以来の優勝を遂げる。

第11戦ハンガリーグランプリは、ウエットで序盤にクラッシュが相次ぎ中断。その後天気が回復し再スタート前に1位ハミルトン以外すべてピットに戻りドライタイヤに交換。ハミルトンはそのタイヤ選択に失敗して追い上げるも2位。フェルスタッペンも9位に終わる。

第12戦ベルギーグランプリは、大雨の中セーフティーカー先導でスタートするも、視界不良から3周で終了し、フェルスタッペンがハーフポイントながらも優勝。

第13戦オランダグランプリは、フェルスタッペンが地元初開催レースでトップチェッカーを受け2連勝。

第14戦イタリアグランプリは、フェルスタッペンとハミルトンが接触し両者リタイヤ。

第15戦ロシアグランプリは、ハミルトンが通算100勝を達成。フェルスタッペンは戦略的パワーユニット交換で最後尾スタートも、終盤に一気にポジションを上げ2位になる。

第16戦トルコグランプリは、ハミルトンがポールポジションを奪取するも4機目のパワーユニットを入れたことから10グリッド降格ペナルティを受け、決勝では精彩なく5位。フェルスタッペンは2位を堅持した。コロナ禍で中止になった日本グランプリの代替えレースとして開催された当グランプリでは、レッドブルの特別カラーが印象的だった。

第17戦アメリカグランプリは、1回目のピットインでフェルスタッペンがハミルトンをアンダーカットしてそのまま優勝し、オランダグランプリ以来の今季8勝目。

第18戦メキシコシティグランプリは、3番手スタートのフェルスタッペンが1コーナーで前を行くメルセデス2台を抜きトップに立ち、そのまま後方を引き離して2連勝。

第19戦サンパウログランプリは、予選でトップタイムをマークしたハミルトンが予選後の車検でリヤウイングに違反が発覚しタイム抹消。翌日行われたスプリント予選レースでハミルトンは最後尾スタートから5位まで追い上げるも、その後5機目のパワーユニットを投入したペナルティで5番手降格の10番手スタート。決勝ではその10番手から幾多の追い抜きでトップフェルスタッペンに追いつき、熾烈なバトルの末にオーバーテイクし脅威の優勝を遂げる。

第20戦カタールグランプリもハミルトンが2連勝で、選手権ポイントでトップをいくフェルスタッペンに追い迫る。

そして第21戦サウジアラビアグランプリでは、2度の赤旗と4度のバーチャルセーフティカー導入で荒れたレースになったが、フェルスタッペンの強引なオーバーテイクを退け、ハミルトンが今季8勝目をあげた。

両者のポイントの推移は以下のとおり。

Rd.グランプリ優勝者VER
ポイント
HAM
ポイント
1バーレーンハミルトン18257
2エミリア・ロマーニャフェルスタッペン43441
3ポルトガルハミルトン61698
4スペインハミルトン809414
5モナコフェルスタッペン1051014
6アゼルバイジャンペレス1051014
7フランスフェルスタッペン13111912
8シュタイアーマルクフェルスタッペン15613818
9オーストリアフェルスタッペン18215032
10イギリスハミルトン18517718
11ハンガリーオコン1871958
12ベルギーフェルスタッペン199.5202.53
13オランダフェルスタッペン224.5221.53
14イタリアリカルド226.5221.55
15ロシアハミルトン244.5246.52
16トルコボッタス262.5256.56
17アメリカフェルスタッペン287.5275.512
18メキシコシティフェルスタッペン312.5293.519
19サンパウロハミルトン332.5318.514
20カタールハミルトン351.5343.58
21サウジアラビアハミルトン369.5369.50

こんなシナリオってある!?

長い歴史の中で、同点で最終戦を迎えた年は過去にもあったらしい。

1974年。

だがこの時のポイントシステムは、9-6-4-3-2-1で、年間15レース。

それに対して2021年のポイントシステムは、25-18-15-12-10-8-6-4-2-1で、その他予選レース開催時にはトップ3フィニッシュへ3-2-1ポイントもあれば、ファステストラップへの1ポイントもある。

そして年間レース数も22戦で当時の1.5倍近い。

その中で最終戦を残してまったくの同ポイントとは、今シーズンの激戦ぶりが伺える。

FIAから異例の警告

最終戦を前にFIAのF1レースディレクターを務めるマイケル・マシは、タイトル争いをするフェルスタッペンとハミルトンに対して、異例の警告をした。

内容はスポーツマンシップに反する行為をした場合にはポイント剥奪もある、と。

その警告の背景には、過去のチャンピオンシップ争いの結末が、後味の悪い結果だったことが多くあったからだ。

古くは1989年と1990年のセナプロ決戦。

1989年はチャンピオンシップで首位をいくアラン・プロストが、鈴鹿サーキットのシケインでチャンピオンシップ2位のアイルトン・セナに体当たりをして、プロストがチャンピオンを獲得。

その翌年の同じく鈴鹿では、チャンピオンシップ首位のセナが、2位プロストに前年のお返しとばかりに同じく体当たりをして、今度はセナがチャンピオンになる。

ミハエル・シューマッハもあった。

1994年最終戦アデレードで、デーモン・ヒルに体当たりをして自身初のチャンピオンになる。

同じくシューマッハは1997年最終戦のヘレスサーキットで、ジャック・ヴィルヌーヴに体当たりをするもこれは失敗。ヴィルヌーヴはなんとか最後まで走り切り、チャンピオンを獲得した。

そんな過去の多くの後味の悪いタイトル争いを反映してのことだろう。

シーズン終盤でチャンピオンシップで首位をいくフェルスタッペンは、追いかける立場のハミルトンと共倒れするとタイトル争いで優位になる。

そのためサンパウログランプリでのハミルトンへの押し出しや、サウジアラビアグランプリ再スタートでのコース外からのハミルトンへの追い抜きなど、過去にセナプロやシューマッハが行った体当たり作戦と思しきドライビングが垣間見える。

それを踏まえての、FIAからの異例の警告なのだろう。

そしてタイトルは決した!

そして迎えた最終戦アブダビグランプリ。

予選ではフェルスタッペンがチームメイトのセルジオ・ペレスのトーを使い、ポールポジションを奪取する。

しかし2番手スタートのハミルトンがホールショットを決める。

オープニングラップのバックストレートでフェルスタッペンがハミルトンをオーバーテイクするも、フェルスタッペンが押し出しす。

ハミルトンはエスケープを走りトップでコース復帰するがお咎め無し。

このフェルスタッペンの行為に、前述した1997年最終戦のシューマッハの押し出し劇を思い出したのは私だけだろうか。

その後は徐々にハミルトンがフェルスタッペンに対してリードを広げる。

ソフトタイヤスタートのフェルスタッペンはこの状況を打破するためピットストップを敢行すると、それに続き翌ラップにハミルトンもピットイン。

その後もハミルトンのペースに追いつけないフェルスタッペンだったが、タイヤ交換を遅らせてコースに留まっていたペレスがハミルトンを巧みにブロックして、ハミルトンとフェルスタッペンが約7秒から1秒台になる。

ペレスは本当にいい仕事をしてくれた。

だがその後もハミルトンのペースがいい。

フェルスタッペンはバーチャルセーフティカーを利用して2度目のタイヤ交換を行い追い上げを図るも、なかなかその差は詰まらない。

ハミルトンの8度目のチャンピオンが決まったと思ったその時・・・ラティフィがクラッシュしコース上にマシンを止めた。

すかさずフェルスタッペンはソフトタイヤにチェンジする。

そしてファイナルラップ。

30周以上周回したハードタイヤのハミルトンと、予選で3周しか使っていないソフトタイヤのフェルスタッペンではペースの差が歴然。

5コーナーでフェルスタッペンがハミルトンをオーバーテイクし、悲願の初チャンピオンを見事に獲得したのだった。

最後に

過去には例のないほどに白熱した2021年シーズンのF1は、最後の最後に劇的なフィナーレを迎えた。

やっぱり別々のチーム、そしてエリートだけが辿り着く20人のF1ドライバーの中でも才能で群を抜くふたりの天才が、ギリギリのバトルをする様はじつに見応えがある。

きっと2021年のF1は、後世までに語り継がれる歴史的なシーズンとなる事だろう。

フェルスタッペンは素晴らしいライバルであるハミルトンを讃え、レースの大半をリードするもラストラップで王者を逃したハミルトンは、ハミルトンはスポーツマンらしく新チャンピオンを祝福したのが印象的なシーンだった。

今後もこのふたりのワールドチャンピオンが、F1をさらに盛り上げてくれることだろう。

もう今から来シーズンが楽しみでならない・・・。

最後までご覧いただきありがとうございました。

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大福
モータースポーツをこよなく愛す、セナプロ世代の四十代。 サーキット観戦デビューは、1996年フォーミュラニッポン第7戦の富士スピードウェイ。ど迫力のエキゾーストノートとタイヤの焼ける匂いを実感し、それまでテレビでしか観戦してこなかった事を悔やむ。以降、F1・WEC・スーパーGT・スーパーフォーミュラなどを富士スピードウェイ・鈴鹿サーキットを中心に多数観戦する。