2025年のF1は、フェラーリ、メルセデス、ルノー、ホンダRBPTという4つのメーカーが全F1チームにエンジン(パワーユニット)を供給していますが、2026年からはルノーが去り、ホンダが復帰し、アウディが初参入して、フォードがレッドブルと手を組みます。
F1にエンジンを供給するメーカーは、時代とともに変化するのです。
ということで、今回は、私たち多くの日本人がF1を見始めた1987年以降、F1にエンジンを供給したメーカーを、使用コンストラクターとともに時系列で紹介します。
ルール説明
当該エンジンを使用するコンストラクターのアンダーラインは、下記の色で区別しています。
- 前年から変更なし:ブルー
- 前年から変更あり:レッド
- 新規及び復帰参戦:グリーン
エンジン名にバッジネームが付けられているものもありますが、あくまで製造会社としました。(例:プレイライフ→メカクローム、エイサー→フェラーリ)
フォードが資金提供したコスワース製造のエンジンに関しては、バッジネームと言えなくもないのですが・・・。悩んだ挙句、今回はエントリーシートに準じてフォードとコスワースを分けて記載しました。(例:2003/2004年のジョーダンはフォード、ジャガーとミナルディはコスワース)
1987年のエンジンメーカーと使用コンストラクター
- フェラーリ:フェラーリ
- フォード:ローラ、ティレル、AGS、マーチ、コローニ
- ホンダ:ウィリアムズ、ロータス
- BMW:ブラバム、ベネトン、アロウズ(メガトロン名義)、リジェ(メガトロン名義)
- ザクスピード:ザクスピード
- アルファロメオ:オゼッラ
- ポルシェ:マクラーレン(TAG名義)
- モトーリモデルニ:ミナルディ
ターボ全盛時代の1987年は、8つの自動車メーカーやエンジンビルダーが、F1にエンジンを供給しています。
前年からエンジンメーカーを変更したコンストラクターは、ティレル(ルノー→フォード)、AGS(モトーリモデルニ→フォード)、ロータス(ルノー→ホンダ)、リジェ(ルノー→BMW)。
新規参戦のマーチとコローニは、いずれもフォードエンジンを搭載しました。
そして、この年を最後に、ポルシェとモトーリモデルニの2つのエンジンメーカーが、F1活動を終了しています。
1988年のエンジンメーカーと使用コンストラクター
- フェラーリ:フェラーリ
- フォード:ティレル、AGS、ローラ、コローニ、ベネトン、ミナルディ、リアル、ユーロブルン、ダラーラ
- ホンダ:ロータス、マクラーレン
- BMW:アロウズ(メガトロン名義)
- ザクスピード:ザクスピード
- アルファロメオ:オゼッラ(オゼッラ名義)
- ジャッド:ウィリアムズ、マーチ、リジェ

2025年ホンダレーシングギャラリーにて
ターボ最終年の1988年は、翌年からのターボ禁止を見据えて、ジャッドがNAエンジンで新規にエンジン供給を開始しています。
エンジン変更は、ベネトン(BMW→フォード)、ミナルディ(モトーリモデルニ→フォード)、マクラーレン(ポルシェ→ホンダ)、ウィリアムズ(ホンダ→ジャッド)、マーチ(フォード→ジャッド)、リジェ(BMW→ジャッド)の6つのコンストラクター。
新規のリアル、ユーロブルン、ダラーラはいずれもフォードエンジンを搭載しています。
そしてこの年を最後に、BMW、アルファロメオ、ザクスピードがエンジン供給を終了しました。
1989年のエンジンメーカーと使用コンストラクター
- フェラーリ:フェラーリ
- フォード:ティレル、AGS、コローニ、ベネトン、ミナルディ、リアル、ダラーラ、アロウズ、オゼッラ、リジェ、オニクス
- ホンダ:マクラーレン
- ジャッド:マーチ、ロータス、ユーロブルン、ブラバム
- ルノー:ウィリアムズ
- ランボルギーニ:ローラ
- ヤマハ:ザクスピード

2025年ホンダレーシングギャラリーにて
ターボが禁止になりNA 3.5Lになった1989年は、ルノーが1986年以来のF1復帰を果たし、ランボルギーニとヤマハがF1に初参入して、7つのエンジンメーカーがエンジン供給しました。
エンジン変更は、アロウズ(BMW→フォード)、オゼッラ(アルファロメオ→フォード)、リジェ(ジャッド→フォード)、ロータス(ホンダ→ジャッド)、ユーロブルン(フォード→ジャッド)、ウィリアムズ(ジャッド→ルノー)、ローラ(フォード→ランボルギーニ)、ザクスピード(ザクスピード→ヤマハ)。
復帰のブラバムはジャッドを、新規加入のオニクスはフォードを搭載します。
そして、ヤマハはV12エンジン開発のため、翌年は参戦を休止しました。
1990年のエンジンメーカーと使用コンストラクター
- フェラーリ:フェラーリ
- フォード:ティレル、AGS、ベネトン、ミナルディ、ダラーラ、アロウズ、オゼッラ、リジェ、オニクス
- ホンダ:マクラーレン
- ジャッド:ユーロブルン、ブラバム、レイトンハウス
- ルノー:ウィリアムズ
- ランボルギーニ:ローラ、ロータス
- スバル:コローニ(途中からジャッド)
- ライフ:ライフ(途中からジャッド)
NA2年目の1990年は、スバルが水平対向エンジン、ライフがW型エンジンを引っ提げて、新規参入しますが、いずれも戦闘力がなく、シーズン中盤で撤退しました。
エンジン変更は、ロータス(ジャッド→ランボルギーニ)とコローニ(フォード→スバル→ジャッド)の2つのコンストラクターと、新規参戦のライフで、自社開発エンジンからジャッドに変更しています。
尚、マーチはこの年からコンストラクター名がレイトンハウスに変更されていますが、エンジンは引き続きジャッドを搭載します。
1991年のエンジンメーカーと使用コンストラクター
- フェラーリ:フェラーリ、ミナルディ
- フォード:AGS、ベネトン、フォンドメタル(旧オゼッラ)、ローラ、コローニ、ジョーダン
- ホンダ:マクラーレン、ティレル
- ジャッド:ロータス、ダラーラ
- ルノー:ウィリアムズ
- ランボルギーニ:リジェ、モデナ
- ポルシェ:アロウズ(途中からフォード)
- ヤマハ:ブラバム
- イルモア:レイトンハウス
1991年はポルシェが1986年以来のF1復帰を果たし、ヤマハも1年の休止後に復帰します。また、アメリカンオープンホイールに供給していたエンジンビルダーのイルモアが、F1に初供給したのもこの年でした。
また、門外不出と言われたフェラーリエンジンを、初めてフェラーリ以外のコンストラクターに供給したのも1991年で、ミナルディがフォードからフェラーリに変更しています。
その他のエンジン変更は、ローラ(ランボルギーニ→フォード)、コローニ(ジャッド→フォード)、ティレル(フォード→ホンダ)、ロータス(ランボルギーニ→ジャッド)、ダラーラ(フォード→ジャッド)、リジェ(フォード→ランボルギーニ)、ブラバム(ジャッド→ヤマハ)、レイトンハウス(ジャッド→イルモア)。そしてアロウズがフットワークの資金でフォードからポルシェに変更しますが、戦闘不足のためシーズン中にフォードに戻しています。
新規加入のコンストラクターは2つで、ジョーダンはフォード、モデナはランボルギーニと契約しました。
1992年のエンジンメーカーと使用コンストラクター
- フェラーリ:フェラーリ、ダラーラ
- フォード:ベネトン、フォンドメタル、ロータス
- ホンダ:マクラーレン
- ジャッド:ブラバム、アンドレアモーダ
- ルノー:ウィリアムズ、リジェ
- ランボルギーニ:ミナルディ、ヴェンチュリー
- ヤマハ:ジョーダン
- イルモア:ティレル、マーチ
- 無限:フットワーク

2020年ヤマハコミュニケーションプラザにて
1992年は無限が加わり、9つのエンジンメーカーが供給しました。
エンジン変更は、ダラーラ(ジャッド→フェラーリ)、ロータス(ジャッド→フォード)、ブラバム(ヤマハ→ジャッド)、リジェ(ランボルギーニ→ルノー)、ミナルディ(フェラーリ→ランボルギーニ)、ジョーダン(フォード→ヤマハ)、ティレル(ホンダ→イルモア)。
新規参戦のアンドレアモーダはジャッドを搭載しました。
またローラから名称変更したヴェンチュリーはランボルギーニを、アロウズから名称変更したフットワークは新規の無限に切り替え、レイトンハウスから戻したマーチは引き続きイルモアと契約しています。
そして、この年を最後に、ホンダとジャッドがF1活動を終了しています。
1993年のエンジンメーカーと使用コンストラクター
- フェラーリ:フェラーリ、ローラ(スクーデリアイタリア)
- フォード:ベネトン、ロータス、マクラーレン、ミナルディ
- ルノー:ウィリアムズ、リジェ
- ランボルギーニ:ラルース
- ヤマハ:ティレル
- イルモア:ザウバー(ザウバー名義)
- 無限:フットワーク
- ハート:ジョーダン
1993年はエンジンチューナーのハートが新たに参入して、8つのメーカーがF1にエンジンを供給しました。
エンジン変更は、マクラーレン(ホンダ→フォード)、ミナルディ(ランボルギーニ→フォード)、ティレル(イルモア→ヤマハ)、ジョーダン(ヤマハ→ハート)となっています。
新規参戦のザウバーはイルモアを搭載。ダラーラからローラにマシン製造を変更したスクーデリアイタリアは引き続きフェラーリから、ローラから自社製になったラルースも引き続きランボルギーニからエンジンの供給を受けます(うーん、ややこしい・・・)。
そしてこの年を最後にランボルギーニが撤退しました。
1994年のエンジンメーカーと使用コンストラクター
- フェラーリ:フェラーリ
- フォード:ベネトン、ミナルディ、フットワーク、ラルース、シムテック
- ルノー:ウィリアムズ、リジェ
- ヤマハ:ティレル
- イルモア:パシフィック
- 無限:ロータス
- ハート:ジョーダン
- プジョー:マクラーレン
- メルセデス:ザウバー
1994年はプジョーとメルセデスがF1への供給を開始して、エンジンメーカーは9つになりました。
エンジン変更はフットワーク(無限→フォード)、ラルース(ランボルギーニ→フォード)、ロータス(フォード→無限)、マクラーレン(フォード→プジョー)、ザウバー(イルモア→メルセデス)。
新規参戦のシムテックはフォード、パシフィックはイルモアを搭載します。
そして、イルモアの株式の25%をメルセデスが取得し、イルモアの名前はこの年を最後にグランプリから消えました。
1995年のエンジンメーカーと使用コンストラクター
- フェラーリ:フェラーリ
- フォード:ミナルディ、シムテック、パシフィック、ザウバー、フォルティ
- ルノー:ウィリアムズ、ベネトン
- ヤマハ:ティレル
- 無限:リジェ
- ハート:フットワーク
- プジョー:ジョーダン
- メルセデス:マクラーレン
排気量が3.5Lから3.0Lに変更した1995年は、イルモアがいなくなり8つのエンジンメーカーが供給しました。
エンジン変更は、パシフィック(イルモア→フォード)、ザウバー(メルセデス→フォード)、ベネトン(フォード→ルノー)、リジェ(ルノー→無限)、フットワーク(フォード→ハート)、ジョーダン(ハート→プジョー)、マクラーレン(プジョー→メルセデス)と非常に多い年でした。
この年の唯一の新規参戦フォルティはフォードを搭載しています。
1996年のエンジンメーカーと使用コンストラクター
- フェラーリ:フェラーリ
- フォード:ミナルディ、ザウバー、フォルティ
- ルノー:ウィリアムズ、ベネトン
- ヤマハ:ティレル
- 無限:リジェ
- ハート:フットワーク
- プジョー:ジョーダン
- メルセデス:マクラーレン
1996年シーズンは前年と変化ない8つのエンジンメーカーでした。
また、前年は供給チームが大幅に変更されましたが、この年は変化ありませんでした。
1997年のエンジンメーカーと使用コンストラクター
- フェラーリ:フェラーリ、ザウバー(ペトロナス名義)
- フォード:ティレル、スチュワート
- ルノー:ウィリアムズ、ベネトン
- ヤマハ:アロウズ
- 無限:プロスト
- ハート:ミナルディ
- プジョー:ジョーダン
- メルセデス:マクラーレン

2020年ヤマハコミュニケーションプラザにて
1997年は前年同様の8つのエンジンメーカーでした。
エンジンメーカー変更はザウバー(フォード→フェラーリ)、ティレル(ヤマハ→フォード)、皆ルディ(フォード→ハート)。
フットワークから元の名前に戻したアロウズはヤマハ、リジェを受け継いだプロストはリジェと同じ無限を、そしてフォードと密接なスチュワートはもちろんフォードを搭載しました。
そして、この年を最後にルノーがワークス供給を休止。また、ヤマハはこの年でF1活動を終了しました。
1998年のエンジンメーカーと使用コンストラクター
- フェラーリ:フェラーリ、ザウバー(ペトロナス名義)
- フォード:ティレル、スチュワート、ミナルディ
- 無限:ジョーダン
- ハート:アロウズ(アロウズ名義)
- プジョー:プロスト
- メルセデス:マクラーレン
- メカクローム:ウィリアムズ(スーパーテック名義)、ベネトン(プレイライフ名義)
1998年シーズンはヤマハが去り、ルノーを引き継いだメカクロームが参入し、7つのエンジンメーカーが供給しました。
エンジンを変更したコンストラクターは、ミナルディ(ハート→フォード)、ジョーダン(プジョー→無限)、アロウズ(ヤマハ→ハート)、プロスト(無限→プジョー)、ウィリアムズ(ルノー→メカクローム)、ベネトン(ルノー→メカクローム)と、大きく変化しました。
1999年のエンジンメーカーと使用コンストラクター
- フェラーリ:フェラーリ、ザウバー(ペトロナス名義)
- フォード:スチュワート、ミナルディ
- 無限:ジョーダン
- ハート:アロウズ(アロウズ名義)
- プジョー:プロスト
- メルセデス:マクラーレン
- メカクローム:ウィリアムズ(スーパーテック名義)、ベネトン(プレイライフ名義)、BAR(スーパーテック名義)
1999年も7つのエンジンメーカーが参戦。
この年はエンジンの供給先変更はなく、新規参入のBARがメカクロームと契約しています。
そして、このシーズンを以て、ハートがF1から撤退しました。
次のページでは、2000年代のエンジンメーカーと使用コンスタラクターを紹介します











いろいろエンジンメーカーにも変遷があるのですね。競争の激しさを伺うことが出来ます。
今後、もし内燃機関ではなく、モーターによる駆動のみになった場合、こういったスペックについては、モーターやバッテリーの供給メーカーが話題の中心になるのでしょうか。
エンジンの発するエキゾースト音はとても魅力的ですが、モーターにはモーターの魅力があると嬉しいな…と思います。
gentlestreetriderさん、コメントありがとうございます。
とりあえず2030年まではエンジン+モーターのハイブリットですが、2031年以降はどうなるのでしょうか・・・。
マクラーレン メルセデスならぬ、マクラーレン ダイナックス パナソニック!? ウィリアムズ 名電舎 LGなんて??
確かにモーターの魅力もあるかもしれませんが、サーキット観戦の最大の魅力はあの激しい爆音。フォーミュラEを観ていても個人的には唆られません。
でも、時代の流れには逆らえませんよね。
2031年を楽しみに待つとしましょう。