メルセデスはこの間までホンダで、もっと前はティレルだった!?
F1チームは長い歴史とともに買収を繰り返してきました。
そこで今回は2020年のF1にエントリーする全10チームのルーツを探ってみたいと思います。
ザックリ見出し
【イギリス・ブラックリー】メルセデスのルーツは?
チーム本拠地 (シャシー) | イギリス ノーサンプトンシャー州 ブラックリー |
チーム名 | 参戦年 | 実働 |
---|---|---|
ティレル | 1968-1998 | 31 |
B・A・R | 1999-2005 | 7 |
ホンダ | 2006-2008 | 3 |
ブラウンGP | 2009 | 1 |
メルセデス | 2010- | 11 |
イギリスのブラックリーにあるメルセデスのシャシー部門は、名門ティレルがルーツです。
ティレルは1998年までの31年間F1に参戦し、1999年からラッキーストライクなどのブランドを所有するブリディッシュ・アメリカン・タバコが買収して、ブリディッシュ・アメリカン・レーシング(後のB・A・R)になりました。
タバコ広告規制の影響もあり2005年を最後にB・A・RはF1を撤退し、エンジンを供給していたホンダに株式を全て売却しました。
シャシーコンストラクターとして38年ぶりにF1に復帰したホンダでしたが、2008年に起きたサブプライムローン問題に端を発したいわゆるリーマンショックを機にF1を撤退し、チーム代表だったロス・ブラウン氏にわずか1ポンドで売却し話題になりました。
ブラウンGPとしては2009年の1年のみの参戦でしたが、デビューシーズンにも関わらずドライバーズとコンストラクターズのダブルタイトルを獲得し、日本人の多くは「ホンダがあと1年参戦していたら」と、思ったことでしょう。
そして2010年から現在のメルセデスがブラウンGPを買収し現在に至ります。
【イタリア・マラネロ】フェラーリ
チーム本拠地 | イタリア エミリア=ロマーニャ州 モデナ県 マラネロ |
チーム名 | 参戦年 | 実働 |
---|---|---|
フェラーリ | 1950- | 71 |
イタリアのマラネロに構えるフェラーリは、現在参戦するチームで唯一F1の開催初年度から参戦するチームです。
【イギリス・ミルトンキーンズ】レッドブルのルーツは?
チーム本拠地 | イギリス バッキンガムシャー州 ミルトンキーンズ |
チーム名 | 参戦年 | 実働 |
---|---|---|
スチュワート | 1997-1999 | 3 |
ジャガー | 2000-2004 | 5 |
レッドブル | 2005- | 16 |
イギリスのミルトンキーンズにあるレッドブルは、近年の新興チームの中では最も成功したF1チームですが、そのルーツはスチュワートグランプリから始まります。
3度の世界チャンピオンであるジャッキー・スチュワート氏が立ち上げたスチュワートは、イギリスチームらしくタータンチェック柄が特徴で、小規模チームながら光る走りを見せていました。
もともとフォードとの関係が深かったジャッキー・スチュワート氏は、1999年を最後にチームをフォードに売却しました。
そのフォードはジャガーブランドでF1に参戦しました。
成績はさっぱりでしたが、メタリックグリーンのボディーにジャガーのロゴがあしらわれたカラーリングは、むちゃくちゃカッコ良かったですよね。
結局ジャガーは5年間F1に参戦しましたが、なんの成果もあげられないまま2004年を最後に撤退し、レッドブルが引き継ぐカタチで現在に至ります。
【イギリス・ウォーキング】マクラーレン
チーム本拠地 | イギリス サリー州 ウォキング |
チーム名 | 参戦年 | 実働 |
---|---|---|
マクラーレン | 1966- | 55 |
イギリスウォキングのマクラーレンは、1966年以来55年にわたりF1に参戦しつづけている名門チームです。
【イギリス・エンストン】ルノーのルーツは?
チーム本拠地 (シャシー) | イギリス オックスフォード州 エンストン |
チーム名 | 参戦年 | 実働 |
---|---|---|
トールマン | 1981-1985 | 5 |
ベネトン | 1986-2001 | 16 |
ルノー | 2002-2010 | 9 |
ロータス・ルノーGP | 2011 | 1 |
ロータスF1 | 2012-2015 | 4 |
ルノー | 2016- | 5 |
イギリスのオックスフォードシャー州エンストンに構えるチームは、何度もオーナーが変更しました。
F1参戦はアイルトン・セナ氏がデビューしたチームとしても知られるトールマンからでした。
1986年、そのトールマンをアパレルメーカーのベネトンが買収し、2001年まで16年の長きにわたり運営して、その間にミハエル・シューマッハ氏とともに2度のドライバーズチャンピオンを獲得します。
2002年からはそれまでエンジンパートナーだったルノーの名前でエントリーします。
2010年まででルノーが撤退すると、ロータス・ルノーGPを経て2012年からロータスF1として参戦します。
ちなみにこのロータスF1とは、コーリン・チャップマン氏が興したチームでもロータスレーシングとも異なるチームです。
2016年からはかつてのオーナーだったルノーが買い戻し現在に至ります。
【イタリア・ファエンツァ】アルファタウリのルーツは?
チーム本拠地 | イタリア エミリア=ロマーニャ州 ラヴェンナ県 ファエンツァ |
チーム名 | 参戦年 | 実働 |
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ミナルディ | 1985-2005 | 21 |
トロロッソ | 2006-2019 | 14 |
アルファタウリ | 2020 | 1 |
今年からアルファタウリになったイタリアファエンツァのチームのルーツは、多くのファンや関係者に愛されたミナルディでした。
1985年にF1参戦を始めたジャンカルロ・ミナルディ氏のチームは、途中ポール・スタッダード氏にオーナーが変更するもチーム名は継続し、2005年まで参戦します。
2006年からレッドブルが買収し、そのセカンドチームとしてトロロッソ(イタリア語で赤牛)になります。
そして2020年よりレッドブルのファッションブランド、アルファタウリとして参戦を開始します。
【イギリス・シルバーストン】レーシングポイントのルーツは?
チーム本拠地 | イギリス ノーサンプトンシャー州 シルバーストン |
チーム名 | 参戦年 | 実働 |
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ジョーダン | 1991-2005 | 15 |
MF1 | 2006 | 1 |
スパイカー | 2007 | 1 |
フォースインディア | 2008-2018 | 11 |
レーシングポイント | 2018- | 3 |
レーシングポイントのルーツはジョーダンです。
ジョーダンはシルバーストンサーキットの入り口から程ない場所に本拠を構えていたことは有名ですが、現在はレーシングポイントが使用しています。
1991年にF1参戦を開始したジョーダンは、2005年まで15年にわたり活躍しました。
その後ロシアのミッドランドグループが買収するも、1年でオランダの高級スポーツカーメーカーであるスパイカーに売却されます。
しかし財政悪化のためスパイカーも1年で撤退し、インドのキングフィッシャー航空の会長ビジェイ・マリヤ氏などがチームを買収し、フォースインディアとなります。
しかし財政難に陥っていたフォースインディアは2018年シーズン中に破産し、ランス・ストロール選手の父ローレンス・ストロール氏へチームを売却し、レーシングポイントになります。
ローレンス・ストロール氏率いる投資家グループがアストンマーティンの株式を獲得し、レーシングポイントは2021年からアストンマーティンへチーム名を変更することが決まっています。
【スイス・ヒンウィル】アルファロメオのルーツは?
チーム本拠地 | スイス チューリッヒ州 ヒンヴィル |
チーム名 | 参戦年 | 実働 |
---|---|---|
ザウバー | 1993-2005 | 13 |
BMWザウバー | 2006-2009 | 4 |
ザウバー | 2010-2018 | 9 |
アルファロメオ | 2019- | 2 |
F1で唯一スイスを拠点とするアルファロメオの運営はザウバーです。
ザウバーは1993年のF1参戦以前からスイスのヒンヴィルでレーシングチームを運営しており、BMWにチームを売却してBMWザウバーになってからも同地を拠点にしていました。
【イギリス・バンベリー】ハース
チーム本拠地 (ヨーロッパ部署) | イギリス オックスフォード州 バンベリー |
チーム名 | 参戦年 | 実働 |
---|---|---|
(ヴァージン) | 2010-2011 | 2 |
(マルシャ) | 2012-2015 | 4 |
ハース | 2016- | 5 |
アメリカ国籍のハースですがイギリスにも拠点を有し、かつてヴァージンやマルシャが使用したファクトリーを買収し使用しています。
【イギリス・グローヴ】ウィリアムズ
チーム本拠地 | イギリス オックスフォード州 グローヴ |
チーム名 | 参戦年 | 実働 |
---|---|---|
ウィリアムズ | 1977-※ | 44 |
※フランクウィリアムズレーシングカーズは、ウォルターウルフになりその後消滅したため含まない
F1を代表する名門チームであるウィリアムズは、イギリスのグローヴを拠点としています。
まとめ
現在のチーム | チームのルーツ |
---|---|
メルセデス | ティレル→B・A・R→ホンダ→ブラウン→メルセデス |
フェラーリ | フェラーリ |
レッドブル | スチュワート→ジャガー→レッドブル |
マクラーレン | マクラーレン |
ルノー | トールマン→ベネトン→ルノー→ロータス・ルノーGP→ロータスF1→ルノー |
アルファタウリ | ミナルディ→トロロッソ→アルファタウリ |
レーシングポイント | ジョーダン→MF1→スパイカー→フォースインディア→レーシングポイント |
アルファロメオ | ザウバー→BMWザウバー→ザウバー→アルファロメオ |
ハース | ハース |
ウィリアムズ | ウィリアムズ |
ブラックリーのメルセデスはティレル、B・A・R、ホンダ、ブラウンGPを経て、ミルトンキーンズのレッドブルはスチュワート、ジャガーを経てと、F1チームは買収を繰り返し現在のオーナーが運営していることがわかりました。
またルノーやザウバーは、一度手放したチームを再び買い戻しています。
その中にあり、フェラーリ・マクラーレン・ウィリアムズの3つのコンストラクターは、長いF1の歴史の中でチームの創設から変わることなく運営しており、さすが名門と言われる所以ですね。
この3つの名門には、これからもF1コンストラクターの中心として長く生き延びてほしいものです。
以上、今回はF1全10チームのルーツを探ってみました。
最後までご覧いただきありがとうございました。