スーパーGTはいわゆる箱車の日本最高峰レース。
スープラやNSX、GT-Rなど、日本で馴染みのある車名のマシンが参戦するスーパーGTだが、じつは同じなのは車名だけで、特にGT500マシンの市販車との共通部品は、ドアノブとメーカーエンブレムだけとも言われている。
外観は同じだが・・・いや、外観もよく見ると、市販車とは大きく違う車両がチラホラ・・・。
そしてエンジンもまったく違い、中にはターボが付いたり大排気量になったり・・・。
そこで今回は、GT500やGT300で多く参戦するマシンを、外観やエンジン仕様そして排気量など、市販車のベース車両と見比べてみようと思う。
【2021年】トヨタ・GRスープラ(DB型)
GT500 | GT300 | 市販車 | |
---|---|---|---|
全長× 全幅× 全高 | 4725× 1950× 1150mm | 4490× 1940× 1106mm | 4380× 1865× 1290mm |
ホイールベース | 2750mm | 2490mm | 2470mm |
駆動方式 | FR | FR | FR |
エンジン仕様 | 直列4気筒シングルターボ | V型8気筒NA | 直列6気筒ターボ |
排気量 | 2.0L | 5.4L | 3.0L |
まず、トップバッターはGT500とGT300に参戦する、トヨタのスポーツカー最高峰のGRスープラから見ていこう。
GT500マシンは、全長・全幅・全高、そしてホイールベースともに、各GT500マシンで同一のサイズだ。
そのためショートホイールベースを売りとしているGRスープラは、GT500マシンになるとじつに28cmも長くなっており、全長はなんと30cm以上も長くなっている。
この数値でGRスープラの見た目に仕立てるには、相当の試行錯誤があったのだろうと窺い知れる。
2021年スーパーGT最終戦にて
ただし形状をよく見ると、ご覧のとおりキャビンが相当に大柄になっている。
そして何より、フロントのトヨタエンブレムのまわりに、大きなエアインテークが空いており、それによりGRスープラのイメージから大きく脱しているのが残念だ。
この大きな穴を塞いでくれたら、もっと市販車のイメージに近づけるのだが、これはレギュレーションによるものなのか・・・。
それに対し、2020年埼玉トヨペットにより製作され、2021年から各チームにも供給を開始したGRスープラのGT300マシンはどうだろう。
2021年スーパーGT最終戦にて
メーカーが製造するFIA-GT3ではなく、ディーラーによりJAF-GT規定で製作されたGT300マシンだが、比較的市販車の形状に近く、ホイールベースの数値も市販車に限りなく近い。
だが、エンジンは!?
そう、市販車の最上位機種が3.0L直列6気筒ターボなのに対し、GT300マシンは5.4L V型8気筒NAと全然違う!
当然排気音も、市販車がシューッとスマートに加速するのに対して、GT300マシンはドロドロドロっと、アメ車のような下品な音。
こうしてみてみると、GRスープラはGT500・GT300・市販車と、まったく別のもの3台だということがわかる。
【2021年】日産・GT-R(R35型)
GT500 | GT300 | 市販車 | |
---|---|---|---|
全長× 全幅× 全高 | 4725× 1950× 1150mm | 4832× 2036× 1280mm | 4690× 1895× 1370mm |
ホイールベース | 2750mm | 2817mm | 2780mm |
駆動方式 | FR | FR | FR |
エンジン仕様 | 直列4気筒シングルターボ | V型6気筒ツインターボ | V型6気筒ツインターボ |
排気量 | 2.0L | 3.8L | 3.8L |
続いてはGT500クラスでは2021年まで、GT300クラスは現在も参戦するGT-R。
GRスープラのGT500マシンはクラス1規定により、ホイールベースが大きく伸ばされ、市販車のイメージが大きく損なわれていたが、GT-RのGT500マシンは、ホイールベースの数値がほぼ市販車と同一で、サイドのからの印象ではまさにGT-Rの市販車のような形状だ。
2021年スーパーGT最終戦にて
クラス1規定はDTMとスーパーGT(GTA)との間で決められたため、DTMマシンが4座のマシンをベースにしていたからホイールベースの数値も伸ばされたのだろう。
そしてサイドだけではなく、正面からの形状も市販車そのもの。
以前は前面投影面積を上げるために、市販車とはまったくの違うぺったんこなカタチだったが、クラス1導入後はボンネットに厚みが増し、まさにGT-Rになったと思った。
2021年スーパーGT最終戦にて
メーカーがFIA-GT3規定で製作したGT300のGT-Rは、市販車のGT-Rとホイールベースがほぼ同じで、エンジン仕様や排気量は同一だ。
市販車の形状に近くなったGT500のGT-Rだが、比べてみるとGT300とはやはり別物。
そして注目すべきはマシンの全幅。
GT300マシンの方が8cm以上もGT500マシンよりも幅広なのだ。
次のページでは、ホンダNSX-GTとレクサスRC FのGT500・GT300・市販車を比べてみます!
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