1990年代からまたも重くなるF1マシン

2018年日本GPにて
| 年 | 最低重量 | 1961年からの増加 |
|---|---|---|
| 1995 | 515kg(595kg) | +65kg |
| 1996-2006 | 520kg(600kg) | +70kg |
| 2007-2009 | 525kg(605kg) | +75kg |
| 2010 | 540kg(620kg) | +90kg |
| 2011-2012 | 560kg(640kg) | +110kg |
| 2013 | 562kg(642kg) | +112kg |
※1995年以降の最低重量はドライバーとヘルメット、スーツなどを含む数値に(カッコ内)なったため、FIAが定めるドライバー最低体重許容量の80kgをマイナスした数値をマシン重量とした
※2004年から2006年は予選のみ最低重量が+5kg
1995年から最低重量は、体重の重いドライバーへの配慮から、マシンとともにドライバーやヘルメット、レーシングスーツなどが含まれた数値に変わる。
ただ今回は過去のマシン重量と比べたいため、FIAが定めるドライバー最低体重許容量の80kgをマイナスした数値をマシン重量とした。
カーボン製モノコックの登場で一気軽くなったF1マシンだが、1995年に前年から+10kg、1996年には+5kgと、この頃からふたたび重くなるが、2006年までの11年間は520kgで推移する。
ちなみに2004年から2006年までは予選のみ525kgだった。
そして2007年から決勝でも525kgになり、2010年には+15kg、翌2011年には+20kgと、2年間で35kgも重くなる。
2013年の+2kgは、ワンメイク供給されるピレリタイヤの重量増加から。
2014年パワーユニット時代到来で一気に重くなりさらに毎年重量増加

2019年F1日本GPにて
| 年 | 最低重量 | 1961年からの増加 |
|---|---|---|
| 2014 | 611kg(691kg) | +161kg |
| 2015-2016 | 621kg(701kg) | +171kg |
| 2017 | 648kg(728kg) | +198kg |
| 2018 | 654kg(734kg) | +204kg |
| 2019 | 663kg(743kg) | +213kg |
| 2020 | 666kg(746kg) | +216kg |
| 2021 | 672kg(752kg) | +222kg |
| 2022-2024 | 718kg(798kg) | +268kg |
| 2025 | 718kg(800kg) | +268kg |
| 2026 | 686kg(768kg) | +236kg |
※1995年-2024年の最低重量はドライバーとヘルメット、スーツなどを含む数値に(カッコ内)なったため、FIAが定めるドライバー最低体重許容量の80kgをマイナスした数値をマシン重量とした
※2025年からはFIAが定めるドライバー最低体重許容量が80kgから82kgに変更されたため、82kgをマイナスした数値をマシン重量とした
2014年からターボエンジンが復活し、さらに回生モーターを装着した、いわゆるパワーユニット時代に突入する。
そのパワーユニットの機構は非常に複雑で重量も嵩む。
そのためこの年からマシンの最低重量は611kgになり、前年から一気に50kg近くも増加し、さらに翌2015年には、またも10kg増えた(当初は9kg増える予定だったが、増加したトルクにピレリがタイヤのさらなる補強を行うためさらに1kg増えた)。
2017年にはマシンが200mm幅広になり、前後タイヤもワイド化されたために、マシンは26kg加算され、2018年にはHalo導入で+6kg、2019年にはさらに+9kg、2020年もパワーユニットの監視エレメントを追加して+3kg、そして2021年にはパワーユニットの最低重量を引き上げることを理由に+6kg増えた。
パワーユニット時代に突入した2014年以来、毎年のように最低重量が増えていったF1マシンは、2021年に672kgになる。
そしてマシンの形状が大きく変わった2022年には前年から46kgも増加し、マシン重量はついに700kgの大台を突破し718kgにまで重くなった。
この数値は1961年にF1マシンの最低重量が定められてから、じつに268kgも重くなったことになる。
F1は度重なる重量増を危惧したのか、大幅にマシンレギュレーションが変更される2026年から、マシン最低重量の32kg削減を発表。686kgになった。
まとめ

| 年 | 最低重量 | 1961年からの増加 |
|---|---|---|
| 1950-1960 | 制限なし | – |
| 1961-1965 | 450kg | – |
| 1966-1969 | 500kg | +50kg |
| 1970-1971 | 530kg | +80kg |
| 1972 | 550kg | +100kg |
| 1973-1980 | 575kg | +125kg |
| 1981-1982 | 585kg | +135kg |
| 1983-1987 | 540kg | +90kg |
| 1988 | NA 500kg 過給器付540kg | NA+50kg 過給機付+90kg |
| 1989-1993 | 500kg | +50kg |
| 1994 | 505kg | +55kg |
| 1995 | 515kg(595kg) | +65kg |
| 1996-2006 | 520kg(600kg) | +70kg |
| 2007-2009 | 525kg(605kg) | +75kg |
| 2010 | 540kg(620kg) | +90kg |
| 2011-2012 | 560kg(640kg) | +110kg |
| 2013 | 562kg(642kg) | +112kg |
| 2014 | 611kg(691kg) | +161kg |
| 2015-2016 | 621kg(701kg) | +171kg |
| 2017 | 648kg(728kg) | +198kg |
| 2018 | 654kg(734kg) | +204kg |
| 2019 | 663kg(743kg) | +213kg |
| 2020 | 666kg(746kg) | +216kg |
| 2021 | 672kg(752kg) | +222kg |
| 2022-2024 | 718kg(798kg) | +268kg |
| 2025 | 718kg(800kg) | +268kg |
| 2026 | 686kg(768kg) | +236kg |
プロトタイプカーやGTカーなど、他のモータースポーツカテゴリーとフォーミュラカーの違いのひとつに、圧倒的なマシンの軽さがあり、その軽いマシンでコーナーを軽やかに抜ける姿はフォーミュラカーならではなのだ。
しかし、F1は速くなり過ぎた・・・。
そのためFIAは、コーナーでのスピードを抑えて安全性を確保するため、年々マシンの最低重量を増やす。
だが私たちファンは、世界最高の20名のレーシングドライバー達が、その圧倒的なテクニックで軽いマシンをねじ伏せてコーナーを駆け抜ける姿を見たいのだ。
もっさりコーナーを抜けるフォーミュラカーなど見たくはない。
2022年、F1マシンは大きく姿を変え、最低重量は驚愕の718kgに達した。
この重量はF1マシンに最低重量が設定された1961年に対して268kgも増え、私たちF1ブーム世代がグランプリ観戦に没頭した1990年代前半のマシンに対しても200kg以上重くなった。
この重量増加に、7度のチャンピオンであるルイス・ハミルトンは、
「軽いマシンは動きがより鋭敏で、重いマシンとは段違いだった。だからレースとマシン操作はもっと優れていた。(中略)この重量増加はまったく理解できない」
と警鐘を鳴らす。
そんな声が届いたのか、大幅にマシンレギュレーションが変更される2026年から、マシン最低重量の32kg削減を発表。686kgになった。
さて、今後F1マシンは軽量化に舵を切るのか。
以上、最後までご覧いただきありがとうございました。














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