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年々重くなるF1マシン!F1最低重量増加の歴史(1950-2022)

1990年代からまたも重くなるF1マシン

最低重量520kgだった1998年のマクラーレンMP4-13
2018年日本GPにて
最低重量1961年からの増加
1995515kg(595kg)+65kg
1996-2006520kg(600kg)+70kg
2007-2009525kg(605kg)+75kg
2010540kg(620kg)+90kg
2011-2012560kg(640kg)+110kg
2013562kg(642kg)+112kg

※1995年以降の最低重量はドライバーとヘルメット、スーツなどを含む数値に(カッコ内)なったため、マシンの最低重量の数値はドライバーなどの重量を80kgと仮定して、それをマイナスして算出した
※2004年から2006年は予選のみ最低重量が+5kg

1995年から最低重量は、体重の重いドライバーへの配慮から、マシンとともにドライバーやヘルメット、レーシングスーツなどが含まれた数値に変わる。

ただ今回は過去のマシン重量と比べたいため、ドライバーなどの重量は80kgと仮定して、その数値をマイナスして算出してみた。

カーボン製モノコックの登場で一気軽くなったF1マシンだが、1995年に前年から+10kg、1996年には+5kgと、この頃からふたたび重くなるが、2006年までの11年間は520kgで推移する。

ちなみに2004年から2006年までは予選のみ525kgだった。

そして2007年から決勝でも525kgになり、2010年には+15kg、翌2011年には+20kgと、2年間で35kgも重くなる。

2013年の+2kgは、ワンメイク供給されるピレリタイヤの重量増加から。

2014年パワーユニット時代到来で一気に重くなりさらに毎年重量増加

最低重量が663kgだった2019年のF1マシン
2019年F1日本GPにて
最低重量1961年からの増加
2014611kg(691kg)+161kg
2015-2016621kg(701kg)+171kg
2017648kg(728kg)+198kg
2018654kg(734kg)+204kg
2019663kg(743kg)+213kg
2020666kg(746kg)+216kg
2021672kg(752kg)+222kg
2022718kg(798kg)+268kg

※1995年以降の最低重量はドライバーとヘルメット、スーツなどを含む数値に(カッコ内)なったため、マシンの最低重量の数値はドライバーなどの重量を80kgと仮定して、それをマイナスして算出した

2014年からターボエンジンが復活し、さらに回生モーターを装着した、いわゆるパワーユニット時代に突入する。

そのパワーユニットの機構は非常に複雑で重量も嵩む。

そのためこの年からマシンの最低重量は611kgになり、前年から一気に50kg近くも増加し、さらに翌2015年には、またも10kg増えた(当初は9kg増える予定だったが、増加したトルクにピレリがタイヤのさらなる補強を行うためさらに1kg増えた)。

2017年にはマシンが200mm幅広になり、前後タイヤもワイド化されたために、マシンは26kg加算され、2018年にはHalo導入で+6kg、2019年にはさらに+9kg、2020年もパワーユニットの監視エレメントを追加して+3kg、そして2021年にはパワーユニットの最低重量を引き上げることを理由に+6kg増えた。

パワーユニット時代に突入した2014年以来、毎年のように最低重量が増えていったF1マシンは、2021年に672kgになる。

そしてマシンの形状が大きく変わった2022年には前年から46kgも増加し、マシン重量はついに700kgの大台を突破し718kgにまで重くなった。

この数値は1961年にF1マシンの最低重量が定められてから、じつに268kgも重くなったことになる。

まとめ

最低重量1961年からの増加
1950-1960制限なし
1961-1965450kg
1966-1969500kg+50kg
1970-1971530kg+80kg
1972550kg+100kg
1973-1980575kg+125kg
1981-1982585kg+135kg
1983-1987540kg+90kg
1988NA 500kg
過給器付540kg
NA+50kg
過給機付+90kg
1989-1993500kg+50kg
1994505kg+55kg
1995515kg(595kg)+65kg
1996-2006520kg(600kg)+70kg
2007-2009525kg(605kg)+75kg
2010540kg(620kg)+90kg
2011-2012560kg(640kg)+110kg
2013562kg(642kg)+112kg
2014611kg(691kg)+161kg
2015-2016621kg(701kg)+171kg
2017648kg(728kg)+198kg
2018654kg(734kg)+204kg
2019663kg(743kg)+213kg
2020666kg(746kg)+216kg
2021672kg(752kg)+222kg
2022718kg(798kg)+268kg

プロトタイプカーやGTカーなど、他のモータースポーツカテゴリーとフォーミュラカーの違いのひとつに、圧倒的なマシンの軽さがあり、その軽いマシンでコーナーを軽やかに抜ける姿はフォーミュラカーならではなのだ。

しかし、F1は速くなり過ぎた・・・。

そのためFIAは、コーナーでのスピードを抑えて安全性を確保するため、年々マシンの最低重量を増やす。

だが私たちファンは、世界最高の20名のレーシングドライバー達が、その圧倒的なテクニックで軽いマシンをねじ伏せてコーナーを駆け抜ける姿を見たいのだ。

もっさりコーナーを抜けるフォーミュラカーなど見たくはない。

2022年、F1マシンは大きく姿を変え、最低重量は驚愕の718kgに達した。

この重量はF1マシンに最低重量が設定された1961年に対して268kgも増え、私たちF1ブーム世代がグランプリ観戦に没頭した1990年代前半のマシンに対しても200kg以上重くなった。

この重量増加に、7度のチャンピオンであるルイス・ハミルトンも、

「軽いマシンは動きがより鋭敏で、重いマシンとは段違いだった。だからレースとマシン操作はもっと優れていた。(中略)この重量増加はまったく理解できない」

と警鐘を鳴らす。

FIAさん、そろそろこの辺で重量増加はやめませんか?

私たちF1ファンは、軽いマシンをねじ伏せる、F1ドライバーのテクニックにもっとも興味があるのだから・・・。

以上、最後までご覧いただきありがとうございました。

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大福
モータースポーツをこよなく愛す、セナプロ世代の四十代。 サーキット観戦デビューは、1996年フォーミュラニッポン第7戦の富士スピードウェイ。ど迫力のエキゾーストノートとタイヤの焼ける匂いを実感し、それまでテレビでしか観戦してこなかった事を悔やむ。以降、F1・WEC・スーパーGT・スーパーフォーミュラなどを富士スピードウェイ・鈴鹿サーキットを中心に多数観戦する。