2005年中国GP B・A・R
2005年中国グランプリといえばホンダの第3期F1活動の中心的チーム、B・A・Rの最後のレースだ。
そして同チームで活躍した佐藤琢磨にとってもこのレースがB・A・Rの最後のレースだった。
この中国グランプリで、B・A・Rはスペシャルカラーのマシンを登場させた。
ただこのスペシャルカラーは、B・A・R最終レースのためでもなければ佐藤琢磨のためでもない。
B・A・Rのタイトルスポンサーといえば、チームの親会社BATのブランド、ラッキーストライクだが、開催地中国ではラッキーストライクが販売されていない。
そこで中国で販売されているBATのブランド、555をマシンに掲げた。
ちなみに前年2004年中国グランプリ初開催の時は、2台のレースカーには通常のラッキーストライクカラーを施していたが、サードカー※を青地に黄色の本格的な555カラーで走らせている。
※当時はFP1でサードカーを走らせることができた
2008年ブラジルGP レッドブル
2008年ブラジルグランプリ。
レッドブルはこのレースでF1を引退するデビッド・クルサードのマシンに、骨髄損傷治療研究の非営利団体『WINGS for LIFE』の特別カラーリングに塗装して出場した。
通常、紺色ベースのレッドブルのマシンだが、この時はその紺色の場所がホワイトになり、エンジンカウルのレッドブルのロゴはWINGS for LIFEの文字に置き換えられた。
チームの2台は同様のカラーリングを施さなければならないとレギュレーションで定められているが、このレースではチームメイトのウェバーのマシンは通常カラーだった。
しかしこの時はチャリティーが目的のため、他チームも同意した。
レッドブルは2007年と2012年のイギリスグランプリでも、『WINGS for LIFE』のスペシャルカラーで走らせている。
2018年アブダビGP マクラーレン
2018年の最終戦アブダビグランプリでは、マクラーレンがスペシャルカラーのマシンを登場させている。
この年、2回のチャンピオンを獲得したフェルナンド・アロンソが、アブダビグランプリを最後に引退※するが、マクラーレンは彼のF1での数々の栄冠に敬意を払い、エンジンカウルにアロンソのヘルメットカラーを模したカラーリングを施し、引退に華を添えている。
※2021年にアルピーヌからF1に復帰
ただ穿った見方をすると、通常F1マシンはこのエンジンカウルに大きくタイトルスポンサーのロゴが入る。
しかし当時のマクラーレンはタイトルスポンサーがなく、この場所をチームが自由に使えたら、このようなスペシャルカラーが実現したのかもしれない。無論、私の憶測だが・・・。
次のページでは、近年のスペシャルカラーF1マシンを3台紹介します!
じつはB・A・Rが555のカラーリングでF1に参戦したのは、上記のレースだけではない。
参戦初年度の1999年1月に行われた新車発表会で、チームは2台のマシンそれぞれに別のカラーリングを施して公開した。
1台はラッキーストライクから、そしてもう1台には555カラー。
しかしF1は、2台のマシンに異なるカラーリングをしてはならないというルールがあった。
だがB・A・Rは2つのブランドを宣伝したいため、その権利を主張してFIAに対して訴訟を起こすが断念。
そこでチームはマシンの左半分を赤白のラッキーストライクに、そして右半分を青地に黄色の555カラーで塗り分け、その中央部分にファスターを描いた。
左から見るとラッキーストライクカラー、そして右から見ると555カラーと、まったく別のマシンに見えたため、F1に詳しくないファンは混乱をする者もあったという。
そんな奇抜なカラーリングに賛否の声があり、翌2000年からは単一のラッキーストライクカラーで参戦するのだった。