ラスト10分あまり、トヨタGR010ハイブリッド8号車がピットに入り、チームメイトのピットストップを7号車を待つ。
そして2台揃ってピットアウトをすると、白地に赤黒の2台のトヨタGR010ハイブリッドは2周のランデブー走行をして、最後は揃ってチェッカーを受けた。
2021年のル・マン24時間のゴールシーンは、日本のモータースポーツファンの心に深く焼きついた感動の瞬間だった・・・。
2021年ル・マン24時間結果(ハイパーカークラス)
順位 | No. | チーム | マシン | ドライバー | 周回 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 7 | トヨタガズーレーシング | GR010ハイブリッド | コンウェイ 小林可夢偉 ロペス | 371 |
2 | 8 | トヨタガズーレーシング | GR010ハイブリッド | ブエミ 中嶋一貴 ハートレー | 369 |
3 | 36 | アルピーヌ | A480ギブソン | ネグラオ ラピエール バキシビエール | 367 |
4 | 708 | グリッケンハウス | 007LMH | デラーニ マイルー プラ | 367 |
5 | 709 | グリッケンハウス | 007LMH | ブリスコー ウェストブルック デュマ | 364 |
トヨタは2018年から4年連続してル・マン24時間を制して、メーカー別優勝回数ではプジョーとマトラを抜いて6位に躍進した。
ル・マン24時間メーカー別総合優勝回数トップ10
順位 | メーカー | 優勝回数 |
---|---|---|
1 | ポルシェ | 19 |
2 | アウディ | 13 |
3 | フェラーリ | 9 |
4 | ジャガー | 7 |
5 | ベントレー | 6 |
6 | アルファロメオ | 4 |
6 | フォード | 4 |
6 | トヨタ | 4 |
9 | マトラ | 3 |
9 | プジョー | 3 |
そして今年は昨年までのトヨタ8号車ではなく、7号車がはじめてトップでチェッカーを受け、小林可夢偉がル・マン初優勝を成し遂げた。
驚くべき速さで幾度もポールポジションを獲得しながらも、レースでは毎年のように不運が付きまとっていただけに、小林可夢偉ファンの私としてはこの勝利を本当に嬉しく思った。
ル・マン24時間日本人総合優勝者
年 | 優勝ドライバー |
---|---|
1995 | 関谷正徳 |
2004 | 荒聖治 |
2018-2020 | 中嶋一貴 |
2021 | 小林可夢偉 |
ハイパーカー元年の今年、トヨタのワンツーフィニッシュで日本のモータースポーツファンとしては素晴らしい結末だったのだが、冷静になると、2016年を最後にアウディが撤退し、2017年でポルシェも去り、2018年からの3年間自動車最上位クラスへのメーカーワークス参戦はトヨタのみ。今年はアルピーヌがワークス参戦をしたものの、マシンは昨年までのレベリオンのLMP1マシンを流用したいわゆる移行期間で、トヨタの真のライバルは不在だった。
やはり、2016年までのアウディ・トヨタ・ポルシェのガチンコのワークス対決を知るものとしては、近年のル・マン24時間が少々物足りなくも見えてしまう。
だがアルピーヌは今後、ハイパーカーまたは2023年からはじまるLMDh規定のマシンの開発を積極的に検討しており、プジョーは2022年のル・マン24時間に投入するプジョー9X8ハイパーカーを発表している。またフェラーリも2023年から参戦を表明している。
2022年から、トヨタ・アルピーヌ・プジョー・フェラーリのメーカーワークス対決がはじまる。
トヨタの本当の勝負は来年以降だ。
アウディ・ポルシェにル・マン24時間で勝利できなかったトヨタだが、この4年間で積み上げた経験ととともに、新たなメーカー対決を制してもらいたいと切に願う。
ライバルがあってこそのモータースポーツ。自動車メーカーのライバルは自動車メーカーなのだ。
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