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フェラーリF138 V型8気筒 2.4L時代最後のフェラーリマシン【ミニカー#77】

1/43のミニカーを実車のように撮影し、実車の現役時代を紹介するこのコーナー、今回はフェラーリが2013年のF1に参戦するために開発した、フェラーリF138を取り上げていきたいと思います。

マシンデータと戦績

まずはフェラーリF138の主要諸元をチェック。

年式2013年
カテゴリーF1
コンストラクターフェラーリ
マシン名F138
デザイナーパッド・フライ
ニコラス・トンバジス
シモーネ・レスタ
エンジンフェラーリTipo056
主要諸元表

つづいてフェラーリF138の戦績を見てみる。

コンストラクターアロンソマッサ
シーズン順位3位2位8位
シーズンポイント354P242P112P
優勝2回2回0回
ポールポジション0回0回0回
ファステストラップ2回2回0回
戦績表

トヨタの風洞で空力開発を行ったフェラーリマシン

ウィリアムズのFW〇〇やマクラーレンのMP4-〇〇(MCL〇〇)のように、多くのF1マシンは一貫性のある名称を授かるが、フェラーリの名称は毎年コンセプトが異なり、今回の2013年型マシンは前年のF2012からF138になった。

由来は西暦2013年のV型8気筒エンジンから命名された。

近年のF1マシンにとって空力は最も重要視されるが、当時のフェラーリの風洞は問題が多く、そのため当面の間はその自社の風洞を閉鎖し、ドイツのケルンにあるトヨタ(TMG)の風洞で空力開発を行った。

マシンの印象を強くするノーズ部分は、前年のF2012では段付きノーズが特徴であったが、F138ではその段付きをバニティパネルで隠したハイノーズが目を引き、ノーズセンターにはイタリアの国旗であるトリコローレの三色旗があしらわれている。

またノーズから生えるフロントウイングの支柱が、非常に大柄なトンネル状になっているのもこのころのマシンの特徴である。

そしてフロントサスペンションが、一般的なプッシュロッドではなく前年のF2012同様にプルロッド担っているのも独特だ。

そんなフェラーリF138は、ドライバーズチャンピオンシップでフェルナンド・アロンソが2位になるが、1位のセバスチャン・ベッテルには155ポイントもの大差をつけられてしまい、コンストラクターズではフェリペ・マッサの低迷もあり、レッドブル、メルセデスに次ぐ3位でシーズンを終えた。

では、そのフェラーリF138のミニカーを詳しく見ていこう。

フェラーリF138のミニカーを実車のように撮る!

それでは1/43のフェラーリF138を撮影していこうと思う。

もちろんテーマはいつものように、『実車のように撮る!』。

非常に高いノーズが印象的なフェラーリF138。

当時のF1マシンは現在のマシンより全幅が20cmも狭い180cmで、全体的に縦長な印象だ。

その縦長を印象づける最大の原因は、この細くて高いリヤウイング。

2009年にはじめて採用した時、カッコ悪いなあと思ったが、すぐに目が慣れると思い続けていたのだが、結局最後までその気持ちはぬぐい去れなかった・・・。

ブラックに塗り分けられているが、実はかなり大柄なウイングステー。

トンネル状にして多くの空気をマシン下部に取り入れ、ディヒューザーの効率を高めようとしているのがよくわかる。

この年のカラーリングは、ホワイトやブラックが多く使われているのが特徴的だ。

フロントサスペンションは珍しいプルロッドを採用する。

またちょっとわかりづらいが、ドライブシャフトを整流カバーで覆っている。

スターティンググリッドにフェラーリF138を移動し、この年一度も獲得できなかったポールポジションの位置に置く。

奥にはライバル・・・いやまったく敵わなかったベッテルのレッドブルRB9。

フェラーリF138のリヤウイング翼端板の形状は斬新で、モデルではわかりにくいが後端に2本のスリットを加えて整流効果を追求している。

エンジンカウルにはメインスポンサーであるタバコメーカーフィリップモリスの看板商品、マールボロを連想させるロゴが・・・。

当時もタバコ広告は規制されていたが、この表記は物議を醸したがギリセーフ!?

以上、1/43のフェラーリF138を実車のように撮影してみた。

今回登場したミニカー

今回撮影に登場したミニカーを紹介する。

【ixo製】フェラーリF138

デアゴスティーニのF1マシンコレクション76号で、イタリアのミニカーメーカーであるixoが製造している。

【ixo製】レッドブルRB9

同じくデアゴスティーニのF1マシンコレクション5号で、イタリアのミニカーメーカーであるixo製造。

最後に

今回取り上げたフェラーリF138は、2.4L V型8気筒エンジンを積んだ最後のフェラーリF1マシンで、翌年からパワーユニット時代に突入する。

そこで最後はF1エンジンについて。

F1がはじまった1950年から1951年にかけてF1エンジンは、最大排気量が自然吸気で4.5L、過給機付きが1.5Lで争われ、当初はスーパーチャージャーを搭載した過給機付きも見られたが、次第に自然吸気が主流になる。

1952年から1953年までF1はF2規定になり、自然吸気が2.0Lまで、過給機付きが0.5Lまで。

その後1954年から1960年までは自然吸気が2.5Lまで、過給機付きが0.75Lまでとなり、1961年から1965年は自然吸気の1.5Lまでになる。

ちょうどホンダの第1期F1活動がはじまったのもこの頃だった。

1966年から1985年までは自然吸気3.0Lまで、過給機付きが1.5Lまでで、1972年から最大気筒数が12までとなり、1981年からは4ストロークに限られる。

1977年にルノーがF1にターボを持ち込み、1980年代はポルシェやホンダがそのターボでF1を圧倒した時代だ。

1986年は過給機付き1.5Lのみとなり、1987年は自然吸気が3.5L、過給機付きが1.5Lになり、1989年から1994年は自然吸気の3.5Lのみとなる。

1995年から2005年は3.0L自然吸気のみで2000年からはV型10気筒に統一となる。

ちょうどトヨタがV型12気筒を開発しF1に参戦しようとしていた時代で、トヨタはV10統一で出鼻をくじかれた。

2006年から2013年は2.4L V型8気筒のみとなり、今回取り上げたフェラーリF138はこの時代の最終エンジンだった。

2014年からは1.6Lの直噴V6シングルターボのみとなり、1988年以来のターボ復活となり、現在に至る。

F1エンジンは70年という長い歴史の中で、さまざまな形式に変化していったのだった。

年度自然吸気過給機備考
1950-19514.5 L1.5 L
1952-19532.0 L0.5 LF2規定により争われた
1954-19602.5 L0.75 L
1961-19651.5 L
1966-19853.0 L1.5 L1972年から最大気筒数が12となる
1981年から4ストロークエンジンのみ
19861.5 L
1987-19883.5 L1.5 L
1989-19943.5 L
1995-20053.0 L2000年からV10に統一
2006-20132.4 LV8のみ
2014-2024(予定)1.6 L直噴、V6シングルターボのみ
F1エンジンの歴史

以上、今回は1/43のフェラーリF138を実車のように撮影し、実車の現役時代を振り返ってみた。

最後までご覧いただきありがとうございました。

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2件のコメント

こんにちは、リンク先の「フェラーリF1 66台のマシン名の由来全部教えます!」と、「F1を彩ったタバコブランド20選」まで全部読ませて頂きました!とても詳しい情報にまず驚き、勉強になりました。

最後の「F1エンジンについて」もとても興味深いものでした。2000年ころのV10エンジンの音、迫力ありましたよね。

2000年代のV10 2万回転は異次元の爆音で、今聴いても心が躍ります!

琢磨選手を追いかけて鈴鹿に行っていた頃を思い起こさせてくれます!

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ABOUT US
大福
モータースポーツをこよなく愛す、セナプロ世代の四十代。 サーキット観戦デビューは、1996年フォーミュラニッポン第7戦の富士スピードウェイ。ど迫力のエキゾーストノートとタイヤの焼ける匂いを実感し、それまでテレビでしか観戦してこなかった事を悔やむ。以降、F1・WEC・スーパーGT・スーパーフォーミュラなどを富士スピードウェイ・鈴鹿サーキットを中心に多数観戦する。