標高の高いサーキットは酸素濃度が低くエンジンの性能がダウンしてしまいます。
そればかりか空気密度が低いためダウンフォースも不足してしまい、クーリングも厳しい。マシンにとっては非常に厄介なのです。
そんなイイとこ無しのサーキットはどこなのか?
ということで、今回は国土地理院地図を使い、日本の6つの主要サーキット(鈴鹿サーキット、富士スピードウェイ、モビリティリゾートもてぎ、スポーツランドSUGO、岡山国際サーキット、オートポリス)の標高を調べてみました。
では標高の低い順に第6位からいってみましょう!
【第6位】鈴鹿サーキット
標高 63m
日本の主要サーキットでもっとも標高が低いのは鈴鹿サーキット。
サーキットの中で一番高いのがスプーンカーブ付近ですが、それでも標高63mしかありません。
緻密に設計されたレーシングマシンでも、この標高ならば趣味レーションから補正ほぼすることなく、マシンを走らせることができます。
【第5位】モビリティリゾートもてぎ
標高 177m
第5位はモビリティリゾートもてぎ。一番高いのがダウンヒルストレート手前のヘアピンで標高177mです。
この高さならば空気密度の低下もなくダウンフォースも問題なし。もちろん酸素不足もなく、マシンがパワーダウンになることもありません。
ホンダが設計した2つのサーキットが一番標高が低いのはなぜ?建設場所選定に標高も加味されていたのでしょうか。
【第4位】スポーツランドSUGO
標高 277m
第4位はスポーツランドSUGOで、もっとも高いのはハイポイントコーナー付近で標高は277mでした。
2019年に一度だけスポーツランドSUGOに行きましたが、私の訪れた他のサーキット(富士、鈴鹿、もてぎ)に比べてるとかなりの山間地に位置していたため、もっと標高が高いと思っていました。
サーキットは一般的に高地に建設されるもの。このくらいの標高ならばマシンに大きな影響はないのでしょう。
このサーキットの名物はアップダウンで、6つの主要サーキットの中で高低差はダントツのNo.1(69.83m)です。
特に最終コーナーを過ぎてからのホームストレートの10%の上り坂は圧巻です。
【第3位】岡山国際サーキット
標高 279m
第3位は岡山国際サーキット。コースの中で一番標高の高いのがホッブスコーナーの立ち上がり付近で279mでした。
ちなみに第4位のスポーツランドSUGOとは2m差ということで、ほぼ同じ標高になります。
私は岡山国際サーキットを訪れたことがありませんが、Googleマップで確認すると相当の山奥。でもスポーツランドSUGO同様にこのくらいの標高ならば問題ないでしょう。
さあ、次の第2位からは一気に標高が上がります。
【第2位】富士スピードウェイ
標高 581m
富士の裾野に位置する富士スピードウェイは日本の主要サーキットの中で2番目に標高の高いサーキットでした。
その富士スピードウェイのコース上で一番高いのが最終のパナソニックコーナーの出口付近。ちょうど1,475mの名物ホームストレートが始まるポイントですね。
2000年代のスーパーGT GT500クラスは各メーカーでNAとターボが混在し、富士スピードウェイに来るとターボ勢が優勢でした。
もちろんそれは標高によるところで、GTAとしてもレギュレーションにより富士スピードウェイ用のエンジン調整が施されていたと記憶していますが(違っていたらすみません)、やっぱりターボ勢が強い。
なのでてっきり富士スピードウェイが一番標高が高いと思っていましたが、個人的にはちょっとびっくりでした。
【第1位】オートポリス
標高 820m
日本の主要サーキットの中でもっとも標高が高いのは、雄大な阿蘇外輪山の北方に位置するオートポリスでした。
コースの中で一番高いのは最終コーナー付近で、なんと標高820m。富士スピードウェイよりも約240mも高いとは驚きですね。
この標高だと特にNAエンジン搭載マシンのパワーダウンは相当で、スーパーGTでNAエンジンを搭載するJLOCのウラカンEVOは60馬力前後のパワーを失ったと、以前JLOCの監督が語っていました。
それに加えて空気密度も低下しダウンフォースもかなり減るため、大きなダウンフォースを発生させるフォーミュラマシンはかなりのセッティング変更を余儀なくされますね。
まとめ
今回は日本の主要サーキットの標高を調べてみましたが、結果は以下の通りになります。
順位 | サーキット (コース内の最高地点) | 標高 |
---|---|---|
第1位 | オートポリス (最終コーナー) | 820m |
第2位 | 富士スピードウェイ (最終コーナー立ち上がり) | 581m |
第3位 | 岡山国際サーキット (ホッブスコーナー立ち上がり) | 279m |
第4位 | スポーツランドSUGO (ハイポイントコーナー) | 277m |
第5位 | モビリティリゾートもてぎ (ダウンヒルストレート手前のヘアピン) | 177m |
第6位 | 鈴鹿サーキット (スプーンカーブ) | 63m |
結果はオートポリスが圧倒的に高地に位置していました。
個人的には富士スピードウェイだと思っていましたのでちょっと意外。
文中でも書きましたが、オートポリスや富士スピードウェイのような高地だとパワーダウンやダウンフォース不足、クーリングなど、マシンにかなり影響が出ます。
ただ世界を見渡すととんでもない標高に位置するサーキットも。
はい、ご存知F1メキシコシティグランプリの舞台、エルマノスロドリゲスサーキットです。
このサーキットの標高は、なんと約2,200m!
この高さになると空気の量が通常の2/3しかなく、以前ホンダのF1総括責任者を勤めていた長谷川祐介氏は、
「NAであればそのままパワーが落ちますが、ターボでは基本的に空気が薄い分だけターボの過給を上げてパワーが落ちないようにしています」
と語っていました。
なるほど、ターボの過給を上げて通常とは違うセッティングをするのね。
うん?じゃあ、やっぱりNAはそのままパワーダウン?
スーパーGT GT300クラスはNAのマシンも多くエントリーしているし・・・標高2,200mほどではなくともやっぱり820mの高さにあるオートポリスはNA勢にとっては相当に厳しそう・・・。
以上、最後までご覧いただきありがとうございました。
コメントを残す