今回も9月末に開催された、2026年WEC富士の現地観戦記。
前回はスタート前進行の様子を紹介したが、今回は決勝レースの模様を書いていきたいと思うので、興味のある方はお付き合いください。
フォーメーションラップ

フロントローを独占した2台のアルピーヌを先頭に、ル・マン式スタートを模したダミーグリッドに並んだハイパーカーは、スタート時間の11時が近づき、グリッドを後にする。

そして車列は100Rを立ち上がりヘアピンに向かう。ここグランドスタンドのピットエントリー付近は、富士スピードウェイでは数少ない2つのポイントが観られる場所になる。

ポルシェに先導されてハイパーカーがグランドスタンドに戻ってきて、フォーメーションラップは2周目に突入。

そして、300Rを過ぎると、ル・マン24時間と同様に『2001年宇宙の旅』のテーマが流れ、サーキットに緊張感が漂う。
2026年WEC富士スタート!

最終コーナーを抜けると、各マシンが一気に車列を詰め、圧巻の景色に。

そしてテーマ曲はサビを迎え(いつもぴったりなのに驚く)、それと同時に各マシンが堰を切ったように加速する!

たまらん、実にイイ!スーパーGTやスーパーフォーミュラとは比べ物にならないほどにマシンが接近するこの感じは、WECならではの光景だ。

アルピーヌの2台がホールショットを決めながら戻ってくると、2周目に入る前に、早くもセーフティカーが導入されてしまった。

原因はLMGT3クラスの多重クラッシュ。ホームストレートには、巻き込まれたGT3マシンのリヤバンパーが転がり落ちている。6時間も走る耐久レースで、尚且つ年間8レースしかないのに、序盤から何やってんだよ!
まあ、耐久と言えど、目の前のマシンが隙を見せると抜きたくなるのがレーシングドライバーの性なのだろう。
数周セーフティカー先導ののちにレーシングスピードに戻ると、早くもトヨタ7号車がピットイン。決勝ペースが良いトヨタなので、単独走行でペースを上げる作戦か。
トップアルピーヌはランデブー走行で、3位以下を少しずつ引き離す。
どうでもいいが、アルピーヌの2段式ヘッドライトの上側が、ちょうどグランドスタンドを向いていて、とにかく眩しい。まあ、日暮前の17時にはゴールするWEC富士なので、どこを向いていても問題ないのだが、せめて光軸は合わせておいてほしい。

スタートからちょうど1時間のタイミングで2位を走る光軸狂いのアルピーヌ36号車がピットインすると、



トヨタ7号車以外の各ハイパーカーも一気にピットイン。

トップのアルピーヌ35号車も入り、

トヨタ8号車も同じ周に入ってきた。
ハイパーカー全マシンが1度目のピットインを終えると、序盤にピットストップを済ませたトヨタ7号車が2位に上がり、直後に7号車が最終コーナーでトップアルピーヌ35号車のインをつくも、接触してトヨタ7号車がスピン。5番手に落ちてしまう。せっかく上がってきたのに・・・。
グランドスタンドで1時間半ほど観戦し、マシンの勢力図とある程度のレース展開がわかったので、ここでファンゾーンに行き、レース前に回れなかったブースを観て、その後に昼食にする。

2026年WECハイパーカー全マシン

ここからは、GR GTコーナー立ち上がりと・ダンロップコーナー立ち上がりで撮影したので、2026年の全WECハイパーカーを見ていこう。
ちなみにマシン名の後のカッコ内は車両規定の種類。WECハイパーカークラスは、ル・マン・ハイパーカー(LMH)とル・マン・デイトナ・hという2つの規定のどちらかで製造されている。詳しくは下記を参照。

アルピーヌ・A424(LMDh)

まず、こちらが予選でポールポジションを獲得し、決勝でもトップを快走していたアルピーヌA424の36号車。富士連覇は間違いないと思われたが、最終ピットでトヨタに逆転された。最終盤のトヨタとのデットヒートはシビれた。
どうでもイイけど、このヘッドライトの光軸が狂っていて、非常に眩しかったんだよね・・・。

結局アルピーヌは悔しい2位だったが、今シーズン初の表彰台となった。
そんなアルピーヌA424のデザイン上の特徴は、リヤテールライトの”A”。
トヨタ・TR010 HYBRID(LMH)

こちらは劇的な逆転勝利を上げることになる、トヨタTR010 HYBRIDの8号車。
昨年までの大きな縦長ヘッドライトから切長ヘッドライトにチェンジしたと思ったが、実はダミーで、メインヘッドライトはバンパー内だった。これは市販車でも、近年流行りの手法だ。

真横から1/15の超スローシャッターで撮影。
霜降りカラーはF1時代と違い赤成分多めだが、フェラーリレッドとはかなり違うので、見間違うことはない。

1/5の超超スローシャッター。後ろにマシンがいれば、ヘッドライトが流れてさらにスピード感が増すのだが、まあ、それは運なので。
アストンマーティン・ヴァルキリー(LMH)

ブリテッシュグリーンのカラーリングが美しいアストンマーティン。
昨年同様に富士では好調で、中盤一時トップに立ち、一部のファンが盛り上がっていた。

そんなアストンマーティンのエンジン音は、今年のWEC富士でも群を抜いていた。やっぱりレーシングマシンはNA V12だよなあ。
BMW・M Hybrid V8(LMDh)

BMWの15号車は、終盤のピット戦略でトヨタとともに一気に2位に浮上した(最終順位は3位)。
BMWの特徴は、大きなキドニーグリル。

ちなみにBMWの2台マシンはカラーリングを分けており、こちらはレッド基調の20号車になる。

ジェネシス・GMR-001(LMDh)

こちらが今年からWECハイパーカークラスに参戦するジェネシスのGMR-001。製造はアルピーヌA424と同じオレカが担当する。
ちなみにジェネシスとは韓国の現代(ヒョンデ)の上級ブランドで、チーム名に入るマグマとは、その高性能スポーツブランドとのこと。

韓国の自動車メーカーが、ラリーを除くモータースポーツの世界選手権に参戦するのは非常に珍しい。
参戦初年度ということで厳しい結果が続いているが、ここ富士では序盤に上位でレースをしており、お隣さんの今後の活躍にも期待したい。
フェラーリ・499P(LMH)

今シーズンは厳しいレースが続く昨年のチャンピオンマシンフェラーリ499Pは、ここ富士でも3台が上位を走行することはなく、淡々とラップを重ねていた。


ちなみに昨年のル・マン24時間優勝マシン、イエローカラーの499Pの所有者は、かの前澤友作”選手”。
フェラーリチェレンジや鈴鹿1000kmで活躍する前澤友作選手の、WEC参戦が見れるかも!?
プジョー・9X8(LMH)

2022年シーズンデビューの最古参マシン、プジョー9X8。
当初はリヤウイングがない羽根無しプジョーとして話題になったが、途中からリヤウイングを追加するも、基本コンセプトからやり直さないと結果は得られなさそうだ。

ただ、羽根が付いても、ヘッドライトやテールランプに大きなシャークフィンなど、マシンの独創性は群を抜く。
キャデラック・Vシリーズ.R(LMDh)

最後はハーツ・チーム・ジョタが走らせるキャデラックVシリーズ.R。V12のヴァルキリーほどではないが、このマシンに搭載するV8 NAのサウンドも良い音色を奏でていた。

2024年まではポルシェ963のプライベーターだったチームジョタ。マシンは違ってもこのチームはメーカー名ではなくジョタというチーム名で呼びたくなるんだよね。
最後に
この日最後に立ち寄ったのがダンロップコーナー。ここには順位掲示板がなく、アルピーヌがトップを快走していてトヨタが厳しそうなことは、うっすらと聞こえる場内放送でなんとなく分かったが、いまいちレースの状況がわからない。
ゴールまで残り1時間ほどとなったところでJSPORTSを確認すると、やっぱり今年もトヨタは苦しい展開。アルピーヌの富士連覇だな、と思い、大混雑する前に帰ろうと駐車場に移動すると、
「大クラッシュが発生!」
と、場内放送で叫んでいる。なんだろう。
そこでJSPORTSを聴きながら帰路に着くと、セーフティカー中のピット戦略で、トヨタがトップに立ったではないか!
もう、新御殿場インターチェンジのゲートをくぐり、新東名に乗ってしまったんだけど・・・。
裾野インターチェンジで下りて引き返そうとも思ったが、すでに間に合わないので、サービスエリアにクルマを止めて、スマホの小さな画面を観ながら大興奮し、トヨタの逆転優勝に歓喜。これまで100戦を超えるレースを現地で観戦してきたが、『レースは、チェッカーが振られるまでわからない』という使い古された格言が身に染みたのであった。
ということで、2026年WEC富士観戦記は以上。最後までご覧いただきありがとうございました。
来年も、もちろん行くぞい!そして、最後まで観戦するぞい!!


コメント