F1エンジンのレギュレーションは毎年のように変わります。
速さの抑制や技術競争による開発費高騰の抑制、自動車メーカーに興味を持ってもらうための技術開発のためなど理由は様々ですが、本当に毎年変わります。
そこで今回は、私たち日本人にとってF1が身近になった1987年以降のF1エンジンレギュレーションの変化について、エンジンにまつわる簡単なエピソードも添えて年代順に書いてみたいと思います。
1987年のF1エンジンレギュレーション変更
- 排気量:3,500cc(NA)・1,500cc(ターボ)
- 気筒数:制限なし
- 使用数:制限なし
ターボエンジンの排気量は前年同様に1,500ccまで。NAエンジンの排気量は前年まで3,000ccでしたが、この年から3,500ccに拡大されました。
そしてそれまでターボの過給圧は無制限でしたがこの年から4バールに制限されました。
そんなターボエンジンに制限が入り、NAエンジンのレギュレーションが緩和された1987年シーズンでしたが、それでもターボエンジン搭載マシンの優位は変わらず、コンストラクターズ選手権の5位までをターボが独占。NAエンジン搭載チームの最上位はコスワースDFZを搭載するティレルの6位でした。
1988年のF1エンジンレギュレーション変更
- 排気量:3,500cc(NA)・1,500cc(ターボ)
- 気筒数:制限なし
- 使用数:制限なし
ターボ1,500cc、NA3,500ccは前年同様ですが、この年からターボエンジンは過給圧が2.5バール、タンク容量は195リッターから150リッターになり、ターボ勢にとってはさらに厳しい条件になりました。
しかしそれを跳ね除けてホンダエンジンを搭載するマクラーレンは16戦15勝という歴史的な勝利を納めました。
1989年のF1エンジンレギュレーション変更
- 排気量:3,500cc
- 気筒数:制限なし
- 使用数:制限なし
この年からターボが禁止に。
一部では強すぎるが故のホンダ(日本)いじめと囁かれましたが、NAになってもホンダエンジン搭載のマクラーレンがWタイトルを獲得しました。
当時は気筒数制限がありませんでしたが、ホンダとルノーのワークス勢はV型10気筒を選択し、フェラーリは伝統の12気筒に。市販のコスワースやジャッド、そしてこの年からF1に参戦したヤマハはV型8気筒を選択しました。
1990年のF1エンジンレギュレーション変更
- 排気量:3,500cc
- 気筒数:制限なし
- 使用数:制限なし
エンジンに対するレギュレーション変更はなし。
当時はV型以外のエンジン形式も許されており、スバルが水平対向12気筒エンジン、ライフがW型12気筒エンジンで参戦するも、両チームともに全戦予備予選不通過。結局シーズン途中で撤退しています。
1991年のF1エンジンレギュレーション変更
- 排気量:3,500cc
- 気筒数:制限なし
- 使用数:制限なし
前年同様にエンジンに対するレギュレーション変更はなし。
ホンダはこの年からV型12気筒に変更。V10継続のルノーの追随に苦戦するもこの年もチャンピオンを獲得しました。
ヤマハがV型12気筒で参戦を再開したのもこの年でした。
1992年のF1エンジンレギュレーション変更
- 排気量:3,500cc
- 気筒数:制限なし
- 使用数:制限なし
有鉛ガソリン、いわゆるスペシャルガソリンの使用を禁止しました。
それまでのピットガレージはガソリンの異様な匂いで充満していたと、当時ピットレポーターをしていた川井ちゃんが語っていましたね。
ホンダはこの年を以て第2期F1活動を終了。ルノーエンジンを搭載するウィリアムズがチャンピオンを獲得し、以降黄金時代を築きます。
1993年のF1エンジンレギュレーション変更
- 排気量:3,500cc
- 気筒数:制限なし
- 使用数:制限なし
エンジンに対するレギュレーション変更はなし。
1994年のF1エンジンレギュレーション変更
- 排気量:3,500cc
- 気筒数:制限なし
- 使用数:制限なし
この年もエンジンに対するレギュレーション変更はなし。
この年からメルセデスがエンジンサプライヤーとしてF1に復帰しています。
1995年のF1エンジンレギュレーション変更
- 排気量:3,000cc
- 気筒数:制限なし
- 使用数:制限なし
排気量をそれまでの3,500ccから3,000ccに制限。また燃料タンクの200リッターという最低容量はこの年廃止されています。
1996年のF1エンジンレギュレーション変更
- 排気量:3,000cc
- 気筒数:制限なし
- 使用数:制限なし
この年はエンジンに対するレギュレーション変更はなし。
次のページでは1997年以降のF1エンジンレギュレーションの変更を見ていきます