人気記事:『ミニカーで振り返るF1マシン』シリーズ

【年々長くなるF1マシン】ホイールベース延長の歴史を辿る

【1990年代中盤から2000年代前半】給油解禁後のホイールベース

給油解禁でタンクが小さくなったがホイールベースは伸びる 写真は1996年フェラーリF310
2016年鈴鹿サウンドオブエンジンにて

約3000mm

マシンホイールベース
1994ウィリアムズFW162990mm
1996ベネトンB1962900mm
1997アロウズA183000mm
1999フェラーリF3993000mm
2000B・A・R0023020mm
デアゴスティーニF1マシンコレクションの冊子より

1994年よりレース中の給油が解禁される。

給油が解禁されるということは、コクピットとエンジンの間にある燃料タンクがより小さくなることを意味するのだが、それでもF1マシンのホイールベースは少しずつ長くなる。

しかも1995年からはエンジンが3.5Lから3.0Lに排気量が下がり、エンジン自体もコンパクトに、そして燃費でも有利になり燃料タンクが小さく設計できるはずだが、それでも長くなる。

そして1998年にはマシンの全幅が200mm縮小して1800mmになったにも関わらず、ホイールベースは3000mmに到達し、より細長くなった。

【2000年代後半】V8 2.4L時代のホイールベース

写真は2008年ホンダRA108
ホンダコレクションホールにて

約3150mm

マシンホイールベース
2008マクラーレンMP4-233188mm
2009フェラーリF103100mm
Wikipediaより

2000年代も少しずつF1マシンのホイールベースは長くなる。

2006年からF1のエンジンはV型8気筒2.4Lになり、エンジンの全長が短くなるも、それも長くなり続け、2000年代後半には3100mmを越えた。

【2010年代前半から2010年代中盤】給油禁止後のホイールベース

2010年フェラーリF60のホイールベースは3410mmまで伸びた
2018年鈴鹿サウンドオブエンジンにて

約3400mm

マシンホイールベース
2010フェラーリF103415mm
2013マルシャMR023400mm
デアゴスティーニF1マシンコレクションの冊子より

そして2010年にF1はふたたびレース中の給油が禁止になる。

するとコクピットとエンジンの間にある燃料タンクの全長が長くなり、ホイールベースは一気に伸びて3400mmを超えるまでになった。

その後2014年にレース中の燃料使用量が100kgになって、燃料タンクが以前の大きさに戻ったが、それでもホイールベースの長さは維持されたままで、2016年には3600mmに達するマシンもあった。

ちなみに、市販車でもかなり長いとされるメルセデスベンツS500ロング(7台目のW223)のホイールベースが3215mmなので、このF1マシンの3500mmというホイールベースがいかに長いかわかるだろう。

【2010年代後半から2020年代前半】車幅2000mm時代のホイールベース

2019年メルセデスW10のホイールベースは3725mm
2019年F1日本GPにて

約3700mm

マシンホイールベース
2017メルセデスW083760mm
2018メルセデスW093726mm
2019レッドブルRB153619mm
2019フェラーリSF903739mm
デアゴスティーニF1マシンコレクションの冊子より

2017年にF1マシンの全幅は1800mmから2000mmに200mmも幅広になり、タイヤもワイドになる。

フロアの面積が増えたことでダウンフォースが増大し、タイヤのワイド化によってグリップも増えた。

その結果、コーナースピードが上がりラップタイムも2秒から3秒ほど短縮される。

それまで減速しなければならなかったコーナーもハイスピードを維持しながら旋回できることも多く、さらなるコーナーでの安定が欲しい。

ということで、ホイールベースをさらに延長し、F1マシンはついに3700mmを超えるまでに長くなった。

ただそれ以降は頭打ちで、2017年のメルセデスW08の3760mmを超えるマシンは出てきていない。

ちなみに少し古いデータだが、2019年のすべてのマシンのホイールベースは以下のとおり。

マシンホイールベース最長との差
メルセデスW103698mm
アルファロメオC383697mm-1mm
トロロッソSTR143693mm-5mm
ルノーR.S.193672mm-26mm
レーシングポイントRP193664mm-34mm
フェラーリSF903653mm-45mm
マクラーレンMCL343648mm-50mm
ウィリアムズFW423644mm-54mm
ハースVF-193621mm-77mm
レッドブルRB153619mm-79mm
2019年F1マシンのホイールベース

もっとも短いレッドブルでも3600mmを超えている。

まとめ

今回はF1黎明期からのホイールベース延長の歴史を年代別に見てきたが、まとめると以下のとおりになる。

年代ホイールベース1950年代との差
1950年代から1960年代前半約2300mm
1960年代後半約2450mm+150mm
1970年代前半約2550mm+250mm
1970年代後半から1980年代前半約2700mm+400mm
1980年代約2750mm+450mm
1990年代前半約2950mm+650mm
1990年代中盤から2000年代前半約3000mm+700mm
2000年代後半約3150mm+850mm
2010年代前半から2010年代中盤約3400mm+1100mm
2010年代後半から2020年代前半約3700mm+1400mm

1950年代に約2300mmだったホイールベースは、技術革新とレギュレーションの変化で年々伸び続け、現在は約3700mmにまで長くなった。

2022年は大幅な空力レギュレーションの変更により、1982年以来のグランドエフェクトカーになる。

その結果ホイールベースはさらに伸びるのか、それとも長いF1の歴史ではじめて短くなるのか、楽しみに待つとしよう。

追記

年々長くなっていったF1マシンのホイールベースだが、2022年レギュレーションでついにそのホイールベース延長化に歯止めがかかり、最大値が3600mmになった。

ということで今回は以上、最後までご覧いただきありがとうございました。

面倒ですがポチッとお願いします

自動車レースランキング

関連記事

ブログをメールで購読

メールアドレスを記入して購読すれば、更新をメールで受信できます。

146人の購読者に加わりましょう
よかったらSNSでシェアお願いします!



サーキットでの興奮をあなたに伝えたい
MOTORSPORT観戦記

サーキットは非日常を味わえる特別な空間です。そんな素晴らしいモータースポーツの世界を、ひとりでも多くの方に伝えたい・・・。そんな思いでMOTORSPORT観戦記と題し、記事に認めました。




コメントを残す

ABOUT US
大福
モータースポーツをこよなく愛す、セナプロ世代の四十代。 サーキット観戦デビューは、1996年フォーミュラニッポン第7戦の富士スピードウェイ。ど迫力のエキゾーストノートとタイヤの焼ける匂いを実感し、それまでテレビでしか観戦してこなかった事を悔やむ。以降、F1・WEC・スーパーGT・スーパーフォーミュラなどを富士スピードウェイ・鈴鹿サーキットを中心に多数観戦する。