2014年から始まったドライバー固有カーナンバー制は、開始から7年が経過し、【44】【33】【5】と、カーナンバーを見ただけでドライバーの名前が浮かんでくるように定着しました。
7年間の間に使用され現在は使われなくなったカーナンバーや、小林可夢偉選手の【10】は現在ガスリー選手が使用するなど、他のドライバーに受け継がれたカーナンバーもあります。
今回はそんなF1カーナンバーの話しをしてみます。
ザックリ見出し
カーナンバー制度の歴史
年 | カーナンバーの決め方 |
---|---|
1950-1973 | 各グランプリ毎 |
1974-1995 | チーム固有カーナンバー制 |
1996-2013 | コンストラクターズ順 |
2014- | ドライバー固有カーナンバー制 |
F1は1974年から1995年までチーム固有ナンバー制を採用していました。
フェラーリの【27】やティレルの【3】、ウィリアムズのレッド【5】が特に有名でしたね。
1996年から2013年までは、前年のコンストラクターズ選手権の順位に応じて番号が与えられるようになりました。
しかし毎年変わるカーナンバーにファンはその数字に愛着が持てず、誰がどのカーナンバーなのか混乱しました。
そこでFIAは2014年からドライバー固有ナンバー制を採用することにしました。
ドライバーは【2】から【99】の中で自由に選ぶことができるようになったのです。
ドライバー固有ナンバー制のルール
2014年のカーナンバーを決めるにあたり、ドライバーが希望のカーナンバーをFIAに提出し、競合した場合は2013年のドライバーズ選手権上位のドライバーに優先権が与えられ、カーナンバーを決めました。
ちなみにカーナンバー【1】は前年のドライバーズチャンピオンに使用する権利があり、2014年に前年チャンピオンのセバスチャン・ベッテル選手が【1】を付けました。
しかし前年のチャンピオンは翌年自分のカーナンバーを付けることもできるので、2014年・2015年・2017年〜2019年チャンピオンのルイス・ハミルトン選手は【44】を継続使用しました。
また2016年チャンピオンのニコ・ロズベルグ選手は翌年引退したため、2013年チャンピオンのセバスチャン・ベッテル選手が使用した2014年以来、【1】は使用されていません。
使用するカーナンバーは継続して使用しなければならないというものではなく、シーズン終了後に空きナンバーに変更することができます。
使用していたカーナンバーは丸2年間そのドライバーがF1に参戦しないとフリーになり、他のドライバーが選ぶことができます。
そのため2020年からは2017年シーズン終了後F1を撤退したドライバーのナンバーが解禁になります。
ドライバー固有カーナンバーの推移
それでは2014年から始まったドライバー固有カーナンバーについて、ドライバー歴代の使用カーナンバーを下記の表にまとめてみました。
ちなみに文字の色は下記のとおりです。
赤文字・・・現在使用中。
オレンジ文字・・・2019年まで使用。使っていたドライバーが復帰しない限り2022年から使用可能。
黄色文字・・・2018年まで使用。使っていたドライバーが復帰しない限り2021年から使用可能。
黒文字・・・現在フリー使用可能。
また【17】は、2014年に鈴鹿サーキットで負傷しその後亡くなられたジュール・ビアンキ選手の永久欠番です。
No. | ドライバー | 使用期間 |
---|---|---|
1 | S.ベッテル (2015年5に変更) | 2014 |
2 | S.バンドーン | 2017-2018 |
3 | D.リカルド | 2014- |
4 | M.チルトン L.ノリス | 2014 2019- |
5 | S.ベッテル | 2015- |
6 | N.ロズベルグ N.ラティフィ | 2014-2016 2020- |
7 | K.ライコネン | 2014- |
8 | R.グロージャン | 2014- |
9 | M.エリクソン | 2014-2018 |
10 | 小林可夢偉 P.ガスリー | 2014 2017- |
11 | S.ペレス | 2014- |
12 | F.ナスル | 2015-2016 |
13 | P.マルドナド | 2014-2015 |
14 | F.アロンソ | 2014-2018 |
15 | 未使用 | |
16 | C.ルクレール | 2018- |
17 | J.ビアンキ | 2014(永久欠番) |
18 | L.ストロール | 2017- |
19 | F.マッサ | 2014-2017 |
20 | K.マグヌッセン | 2014- |
21 | E.グティエレス | 2014,2016 |
22 | J.バトン | 2014-2017 |
23 | A.アルボン | 2019- |
24 | 未使用 | |
25 | J=E.ベルニュ | 2014 |
26 | D.クビアト | 2014-2017,2019- |
27 | N.ヒュルケンベルグ | 2014-2019 |
28 | W.スティーブンス B.ハートレイ | 2015 2017-2018 |
29 | 未使用 | |
30 | J.パーマー | 2016-2017 |
31 | E.オコン | 2016-2018, 2020- |
32 | 未使用 | |
33 | M.フェルスタッペン | 2015- |
34 | 未使用 | |
35 | S.シロトキン | 2018 |
36 | A.ジョヴィナッツィ (2019年99に変更) | 2017 |
37 | 未使用 | |
38 | 山本尚貴 | 2019 |
39 | B.ハートレイ (同年28に変更) | 2017 |
40 | P.ディ・レスタ | 2017 |
41-43 | 未使用 | |
44 | L.ハミルトン | 2014- |
45 | A.ロッテラー | 2014 |
46 | W.スティーブンス (2015年28に変更) | 2014 |
47 | S.バンドーン (2017年2に変更) | 2016 |
48-52 | 未使用 | |
53 | A.ロッシ | 2015 |
54 | 未使用 | |
55 | C.サインツ | 2015- |
56-62 | 未使用 | |
63 | J.ラッセル | 2019- |
64-76 | 未使用 | |
77 | V.ボッタス | 2014- |
78-87 | 未使用 | |
88 | R.ハリアント R.クビサ | 2016 2019 |
89-93 | 未使用 | |
94 | P.ウェーレイン | 2016-2017 |
95-97 | 未使用 | |
98 | R.メリ | 2015 |
99 | E.スーティル A.ジョヴィナッツィ | 2014 2019- |
新人ラティフィはロズベルグの【6】を選ぶ!
比較的若いカーナンバーは人気があるようで、2020年開幕前の時点ではシングルナンバーは【6】しか空いていませんでしたが、2020年にF1デビューするニコラス・ラティフィ選手が【6】を選びました。
【6】はニコ・ロズベルグ氏が2014年から2016年まで使用しており、同カーナンバーで父親のケケ・ロズベルグ氏と親子二代に渡りチャンピオンを獲得したカーナンバーでした。
そのためラティフィ選手は本当の意味で【6】を自身のカーナンバーとして印象付けられるかが注目です。
人気のシングルナンバーでは、バンドーン選手が使用していた【2】とエリクソン選手が使用していた【9】が、両選手がF1に復帰しない限り2021年から使用できます。
ゾロ目は実力派揃い!
あとビッグネームや実力派が揃うカーナンバーといえばゾロ目ですね。
【33】は近い将来のチャンピオン候補フェルスタッペン選手、【77】はF1で7勝のボッタス選手とビッグネームが揃いますが、中でも【44】は6度の世界チャンピオンであるルイス・ハミルトン選手が付けています。
ハミルトン選手は、まだまだドライバーとしてのチカラは衰えておらず、2020年はミハエル・シューマッハ氏が持つ歴代1位の優勝記録やポールポジション記録を上回る可能性があり、また同じくシューマッハ氏のワールドチャンピオン獲得回数7回に並ぶ可能性も十分に秘めています。
将来はこのカーナンバー【44】が永久欠番として、長く後世に語り継がれるのかもしれませんね。
その他のゾロ目では、【11】がペレス選手、【55】がサインツ選手と、中堅の実力派ドライバーが使用します。
あと【22】は2009年のワールドチャンピオンであるバトン選手が2017年まで付け、【88】はかつてBMWザウバーでF1に勝利したクビサ選手が2019年まで使用しており、これまたビッグネームがゾロ目を使用していました。
残す【66】は今まで未使用、【99】はジョヴィナッツィ選手・・・。
ジョヴィナッツィ選手はフェラーリドライバーアカデミーの所属で、将来ルクレール選手のチームメイトとしてフェラーリ入りしたあかつきには大成するのでしょうか??
私のカーナンバー占いだと間違えなく大成します・・・たぶん!?
伝説のカーナンバー【27】は誰の手に?
F1界で大きな意味を持つ伝説のカーナンバーといえば、フェラーリのそしてジル・ビルヌーブ氏のカーナンバー【27】です。
その【27】を2014年から使用していたニコ・ヒュルケンベルグ選手ですが、2019年を最後にF1から撤退し、2021年までにニコ・ヒュルケンベルグ選手がF1に復帰しない場合2022年からフリーになり、次はどのドライバーが使用するのか注目ですね。
1991年、若くしてフェラーリ入りしたジャン・アレジ氏。
当時のフェラーリはカーナンバー【27】と【28】を使用していましたが、加入当時チームメイトにはアラン・プロスト氏が所属しており、当然大エースであるプロスト氏が【27】を付けていました。
翌1992年、プロストがフェラーリを去り※、アレジ氏は大ファンだったジル・ビルヌーブ氏のカーナンバー【27】が欲しいとフェラーリに直訴し快諾。
※正確には1991年の最終戦を前にプロスト氏はフェラーリをクビになった
その後アレジ氏は1995年まで【27】を付けて参戦し、そのアグレッシブな走りに往年のビルヌーブ氏をダブらせ、ティフォシ達はアレジ氏を愛しました。
その息子であるジュリアーノ・アレジ選手がF1に昇格し【27】を選んでくれたらティフォシ達は大喜びするでしょうね。
いや待て、もっと適任がいます!
シャルル・ルクレール選手だ!
童顔でイケメンなルクレール選手は、ステアリングを握るとアグレッシブなドライビングをし、その感じはどことなく往年のジル・ビルヌーブ氏を思い起こさせてくれます。
現在カーナンバー【16】を使用するルクレール選手ですが、2024年までフェラーリとの契約を延長しており、2022年に【27】がフリーになった時にそのカーナンバーを付けたらティフォシは絶叫するのではと思いますが、ルクレール選手いかがでしょうか!?
追記
カーナンバー【27】のニコ・ヒュルケンベルグ選手は、2020年にレーシングポイントから出走したため、彼が2021年以降F1に出走しなくても2022年末までカーナンバー【27】は他のドライバーが使用できなくなりました。
最後に
F1は長い歴史とともにカーナンバーの制度も変化していきました。
前述したとおり、F1黎明期はグランプリによりカーナンバーが違っていましたが、1974年から1995年はチーム固有カーナンバー制に、1996年から2013年はコンストラクターズ順位制に、そして2014年からはドライバー固有カーナンバー制になり現在に至ります。
私個人としては1974年から1995年のチーム固有カーナンバー制も好きでしたが、【44】【33】【5】【7】など数字を見ただけでドライバーの名前が浮かぶ現在のドライバー固有カーナンバー制が一番好きです。
近い将来プロ野球の背番号のように、歴史的な記録を残したドライバーのカーナンバーが永久欠番として後世に語り継がれたらどんなに素晴らしいことかと思っています。
今回はそんなF1固有カーナンバー制について書いてみました。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。
他にもカーナンバーに関する記事を書いていますので、よかったらご一緒にご覧下さい。