スーパーGT GT300クラスにはさまざまなマシンが参戦する。
その多くのマシンの中には、ハイブリッドカーや大衆車、超高級車など、モータースポーツのイメージがまるで無い、風変わりなレーシングマシンが存在する。
そこで今回は、そんな異色のスーパーGTマシンを紹介してみよう。
トヨタ・プリウス
参戦 | 2012- |
マシン開発・メンテナンス | apr |
マシン型式 | ZVW30(2012-2015) ZVW50(2016) ZVW51(2017-2018) ZVW52(2019-) |
エンジン型式 | RV8K(2012-2018) 2UR-G(2019-) |
エンジン仕様 | V8 3.4L NA+ハイブリッド(2012-2018) V8 5.4L NA+ハイブリッド(2019-) |
エンジン搭載位置 | ミッドシップ(2012-2018) フロント(2019-) |
モータースポーツのイメージとは程遠い印象のプリウスも、スーパーGTに参戦をしている。
初登場は2012年で、神奈川県厚木市のaprが開発し、スーパーGT初のハイブリッドマシンとして実戦投入をした。
2012年から2015年はZVW30型(3代目)プリウスをベースに、2016年から2018年まではZVW50型(4代目)プリウスをベースに、エンジンをリヤミッドシップに搭載し、当然プリウスなのでハイブリッドシステムも搭載していた。
そして2019年からはプリウスPHV GR SPORTをベースにマシンを新たに仕立て、エンジン搭載位置は市販車と同じくフロントボンネットに移された。
2019年11月に行われた『スーパーGT×DTM特別交流戦』では、サポートレースとしてGT300クラスの特別戦が行われたが、DTMの関係者がプリウスのスーパーGTマシンを物珍しそうに見ている姿が印象的だった。
ドライバーズランキング最上位は2016年の2位。
ZVW30型(3代目) | 2012年 | 2013年 | 2014年 | 2015年 |
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ドライバーズ順位 | 10位 | 8位 | 8位 | 3位 |
ZVW50型(4代目) | 2016年 | 2017年 | 2018年 |
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ドライバーズ順位 | 2位 | 15位 | 3位 |
PHV GR SPORT | 2019年 |
---|---|
ドライバーズ順位 | – |
トヨタ・カローラアクシオ
参戦 | 2009-2011 |
マシン開発・メンテナンス | apr |
マシン型式 | NZE141 |
エンジン型式 | 2GR-FSE |
エンジン仕様 | V6 3.5L NA |
エンジン搭載位置 | ミッドシップ |
日本の大衆車の代名詞であるカローラ。
かつてはモータースポーツシーンでも使われたクルマだが、我々40代からするとおじさん世代が乗るクルマの印象が強いのだが、2009年から2011年までカローラ10代目のセダンのサブネームであるアクシオがスーパーGTに参戦していた。
といっても中身は別物で、クラウンアスリートなどに搭載された2GR-FSEエンジンをリヤミッドシップに縦置きに搭載した。
シリーズドライバーズランキング最上位は2010年の第10位で、2010年のスポーツランドSUGOで行われた第5戦では、3位表彰台を獲得している。
2009 | 2010 | 2011 | |
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ドライバーズ順位 | 11位 | 10位 | 16位 |
スバル・レガシィB4
参戦 | 2009-2011 |
マシン開発・メンテナンス | R&D SPORT |
マシン型式 | BM9 |
エンジン型式 | EF20 |
エンジン仕様 | F4 2.0L ターボ |
エンジン搭載位置 | フロント |
スバルレガシィもかつて、スーパーGT GT300クラスに参戦していた。
レガシィを製作し走らせていたのは、現在もスバルの車両でスーパーGTに参戦するR&D SPORT。
R&D SPORTは2008年までヴィーマックRD408Rで参戦していたが、2009年の第6戦からレガシィB4にマシンを変更し、当初はスーパーGTでは珍しい4WDであったが、2009年からFRに変更し、第6戦でレガシィとして初優勝を果たす。
2011年には次第に速さを増し、第5戦の鈴鹿と第7戦のオートポリスでも優勝をしたが、ノーポイントのレースもありシリーズタイトル争いには加わることができなかった。
結局、R&D SPORTはこの2011年を最後にレガシィでのスーパーGT参戦は終了し、翌2012年からSTIが開発したBRZにて参戦している。
2009 | 2010 | 2011 | |
---|---|---|---|
ドライバーズ順位 | – | 11位 | 4位 |
トヨタ・マークX
参戦 | 2017-2019 |
マシン開発・メンテナンス | 埼玉トヨペット |
マシン型式 | GRX133 |
エンジン型式 | GTA V8 |
エンジン仕様 | V8 4.5L NA |
エンジン搭載位置 | フロント |
トヨタの高級セダンマークXも2019年までスーパーGTに参戦していた。
埼玉のトヨタ系ディーラーである埼玉トヨペットが、マザーシャシーで独自開発をし、マークXのスーパーGTマシンを誕生させた。
マークXを選択した理由は、トヨペット系の専売車種であるマークXに強いこだわりを持っていたからという。
しかしベースのマークXが2019年限りで販売を終了したことで、埼玉トヨペットは2020年からスープラにマシンを切り替えている。
ちなみに、同じく2020年からトヨタ系列のディーラーがトヨタブランド全車種の取り扱いを開始した関係で、埼玉トヨペットのスーパー耐久マシンがレーシングマシンとしては異色のクラウンに変更になっている。
2017年 | 2018年 | 2019年 | |
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ドライバーズ順位 | – | 19位 | 9位 |
ベントレー・コンチネンタルGT3
参戦 | 2017-2018 |
マシン開発・メンテナンス | EIcars BENTLEY |
マシン型式 | BGT3 01 |
エンジン型式 | CND |
エンジン仕様 | V8 4L ツインターボ |
エンジン搭載位置 | フロント |
イギリスの高級車メーカーであるベントレーもスーパーGTに参戦した実績がある。
マシンはコンチネンタルGT3といい、今まで登場した4台とは違い※メーカーが仕立てた純粋なレーシングマシンである、いわゆるFIA-GT3マシン。
※前述の4台はJAF-GTもしくはマザーシャシー
ベントレー・コンチネンタルGT3はブランパンGTシリーズに参戦し、2017年から2年間はスーパーGTにも参戦した。
その超大柄で角ばったデザインは他のスーパーGTマシンとは異色のオーラを放っていたが、スーパーGT最上位は2018年第5戦の13位と低迷し、ポイントを獲得できないまま2018年限りで撤退した。
2017年 | 2018年 | |
---|---|---|
ドライバーズ順位 | – | – |
最後に
今回はモータースポーツのベースとしては特異なマシンを5台紹介してみた。
世界でもっとも販売されているハイブリッド車として、知名度は群を抜いているプリウスだが、スピードを出して走るクルマではないため、モータースポーツのイメージがまったくない。
そのため世界中を見回しても、おそらくスーパーGTでしかプリウスのレーシングマシンは見ることができないであろう。
多くの参戦チームの母体がチューニングショップのため、その観点から考えると、スポーツカーを販売して、その結果さまざまなチューニングパーツを販売しようと思うならば、プリウスやカローラ、レガシィやマークXなどの大衆車を、レーシングマシンに仕立てるという発想は考えにくい。
しかし、それは古い考えなのかもしれない。
スーパーGT開催時のサーキット駐車場を見ると、昔のようなカリカリにチューニングされたスポーツカーは少数派で、多くのファンは大衆車で来場しており、その大半を占めるファンにとってはチューニングパーツへの購買意欲は無い。
そんなファンに注目されるためには多くのマシンと同様のスポーツカーベースのマシンではなく、逆にレースでは少数派の異色の大衆車を走らせることにより、ファンやメディアの関心を集め、スポンサーの露出が増え、レース活動での収益が上がると考えているのだろう(あくまで完全な私見です)。
最後にベントレーコンチネンタルGT3については、FIA-GT3ということはメーカー主導!
あんなにバカでかく角張ったクルマをレーシングマシンにしようと考えるだけでなく、実際に造ってしまったベントレーに最大の賛辞を送ることにしよう!
以上、最後までご覧いただきありがとうございました。
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