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レース撮影初心者必見! 富士スピードウェイ撮影攻略法!

サーキットでの楽しみ方は人それぞれだが、年を追うごとに増えているのがアマチュアカメラマンの数。

数十万円もする一眼レフやミラーレスに、これまた数十万円もする大砲のような超望遠レンズを装着して、レーシングマシンを追いかける人の群れは年々多くなっており、特に首都圏から当日にアクセスできる富士スピードウェイは、アマチュアカメラマンに人気のスポットだ。

そこで今回は、富士スピードウェイで30回以上撮影している私が、各撮影ポイント毎に焦点距離に対しての見え方・アングルについて写真とともに説明してみたいと思う。

ちなみに写真の出来については・・・ご容赦ください 。

富士スピードウェイの撮影スポット概要

まずは富士スピードウェイの撮影スポットについて、大まかに確認してみよう。

コースレイアウトwikipediaより

現レイアウトは2005年のリニューアル後から使われており、全長が4,563m、コーナーは16箇所になる。

1.5kmのホームストレートを終えると急な1コーナーを右に旋回し、緩い2コーナーを下りながら全開で抜ける。

続く高速左のコカコーラコーナーを抜けて3種類のRがある長い右コーナーの100Rを過ぎてヘアピンへ。

その後はバックストレートを終えると富士スピードウェイでもっとも遅いダンロップコーナー。

そしてつづら折りの13コーナーを右に旋回して14コーナーと抜けるのラインが難しいGRスープラコーナーを左に曲がり、最終のパナソニックコーナーを抜けてホームストレートに戻ってくるレイアウトだ。

撮影ポイントは多くあるが、有名な場所としては以下のとおり。

  • 1-2コーナーイン側
  • コカコーラコーナーアウト側
  • ヘアピンアウト側
  • 300Rイン側
  • ダンロップコーナー
  • 13コーナーアウト側
  • GRスープラコーナーアウト側

そのほとんどはコースの内側からで、マシンの右側を撮影するこのとになるのがこのコースの撮影の特徴だ。

蛇足

富士スピードウェイでの世界選手権は、1976年と1977年、2007年と2008年にF1が4回開催されていたが、現在は世界耐久選手権(WEC)が例年10月ごろに開催されている。
※2020年と2021年は新型コロナウイルスの影響で中止

しかし富士スピードウェイで一番の観客動員は、世界選手権のWECではなくゴールデンウィークに行われるスーパーGTだ。
※2020年は延期2021年は新型コロナウイルスの影響で人数制限

その観客の数は2019年のスーパーGT第2戦で56,000人と発表されたが、これは同年の国内レースイベントの中でも鈴鹿サーキットで行われたF1日本グランプリの89,000人に次ぐ数字にのぼる。

それでは富士スピードウェイの撮影スポットを、コース順に従って紹介していこう。

ちなみに写真はすべてトリミングせずに掲載し、写真の下には35mm換算での焦点距離を記載してみたので、ぜひ持参するレンズ選びの参考にしてもらいたい。

ホームストレート

富士スピードウェイ名物1,475mのホームストレートは日本一の長さを誇り、通過速度は250km/h以上と相当なものになる。

フェンスが高くマシンは通常フェンスに近い観客席側を通過するため、観客席下段ではフェンスにかかってしまう。グランドスタンド1階席後方や2階席から撮影すればギリギリ被らずに撮影できる。

また最終コーナー側後端から、向かってくるマシンを撮影するのもいいだろう。

パドックパスを所持している場合は、ピットビルAの3階やピットビルB屋上からも撮影すれば、フェンスを気にすることはなく、ホームストレートを走るマシンを撮影できる。

ピットロードを通過するマシンを俯瞰から撮影できる。

グランドスタンド2階席 焦点距離:100mm シャッタースピード:1/20
2020年スーパーGT第5戦にて
ピットビルA屋上 焦点距離:188mm シャッタースピード:1/125
2019年スーパーGT×DTM特別交流戦にて
ピットビルB屋上 焦点距離:140mm シャッタースピード:1/100
2019年スーパーGT第2戦にて

1コーナー・2コーナー

2コーナー
2021年スーパーGT最終戦にて

コーナーの弧の外側から撮影するとコサイン収差が生まれてしまい、スローシャッターだとマシンの一部しかブレずに撮影することができない。

そのためできれば弧の内側から撮影したいのだが、この1・2コーナーは富士スピードウェイでコーナーの弧の内側から撮影できる数少ない場所になる。

またコーナー内側は外側よりも危険度が少ないため、特に1コーナーはフェンスがあるがかなり近くでマシンの側面を撮影できる。

2コーナーは脚立を使えばフェンスの上から撮影でき、後方の広告看板をバックにしたアングルで狙えるオススメの場所だ。

また、コースから離れて土手の上からスローシャッターで狙うのもいいだろう。

1コーナー 焦点距離:271mm シャッタースピード:1/160
2019年スーパーGT第2戦にて
1コーナー出口 焦点距離:400mm シャッタースピード:1/50
2019年WEC富士にて
2コーナーを土手の上から望む 焦点距離:255mm シャッタースピード:1/15
2019年WEC富士にて
2コーナー出口を土手の上から望む 焦点距離:153mm シャッタースピード:1/5
2020年スーパーGT第5戦にて

コカコーラコーナー

2021年スーパーGT最終戦にて

コカコーラコーナーはかなりハイスピードなコーナーで、広いランオフエリアの外側から超望遠レンズでの撮影になる。

オススメはスタート直後。

富士スピードウェイは1コーナーその側から撮影ができないため、スタート直後の団子状態を、最初に正面から撮影できる場所はこのコカコーラコーナーになる。

その他、コーナー出口を斜め前や真横から流し撮りしたり、バックショットを捉えたりと、アングルにはかなり自由度がある場所だ。

スタート直後の団子状態を正面から 焦点距離:560mm シャッタースピード:1/400
2020年スーパーGT最終戦にて
サイドから 焦点距離:640mm シャッタースピード:1/60
2016年スーパーGT第5戦にて
焦点距離:640mm シャッタースピード:1/50
2016年WEC富士にて
焦点距離:448mm シャッタースピード:1/500
2015年スーパーフォーミュラ第3戦にて

ヘアピンコーナー

2021年スーパーGT最終戦にて

100Rを立ち上がったマシンが左荷重を残しながら左に切り返していくため、場合によってはタイヤスモークをあげたりと、迫力あるシーンが狙えるヘアピンコーナー。

ここでの撮影の定番は観客席の上段からだが、ヘアピンコーナーという名称の割にあまりボトムスピードが落ちないため、ランオフエリアが広く望遠レンズが必要だ。観客席の低い位置、フェンスの隙間からも狙うことができる。

また、ヘアピンコーナーへのアプローチでカーボンブレーキが真っ赤に焼ける様を、サイドの土手から撮影することもできる。

ヘアピン観客席上段から 焦点距離:640mm シャッタースピード:1/50
2016年WEC富士にて
ヘアピンのフェンスの隙間から 焦点距離:320mm
2015年WEC富士にて

300R

300Rはコーナーは1コーナーと同様にコーナーの弧の内側から流し撮りできるため、マシン全体をブレを少なくして撮影できるポイントになる。

ただしアングルに自由度がないため、他の場所に比べると撮影ポイントとしての人気は高くない。

焦点距離:448mm
2015年スーパーGT第4戦にて

ダンロップコーナー・11コーナー・12コーナー

2021年スーパーGT最終戦にて

ダンロップコーナーは富士スピードウェイでもっともスピードの落ちる場所で、バックストレートからのフルブレーキングが見ものになる。

そのブレーキングで真っ赤になったブレーキディスクを、コーナー内側の土手の上から撮影する。

また、コースの外側からも撮影ができるが、ランオフエリアが非常に広いので超望遠レンズが必要になるが、やや面白みに欠ける構図のため、ここからは撮影ではなくオーバーテイク争いを見て楽しむ場所だ。

そしてダンロップコーナーから続くシケイン状のコーナーが11コーナーで、後述するGRスープラコーナーとともに富士スピードウェイでもっとも人気のある撮影ポイントだ。

この場所は富士スピードウェイで一番マシンスピードが落ちるため、モータースポーツ撮影初心者でも比較的上手に撮影でき、ダンロップコーナーの立ち上がり、コーナーへの進入、そして12コーナー立ち上がりのバックショットなど、さまざまなアングルで撮影できる。

観戦席はなく周遊道からの撮影になるが、あまり広くないためなるべく早めに到着したい。

ダンロップコーナー入り口 焦点距離:200mm シャッタースピード:1/30
2019年WEC富士にて
ダンロップコーナー外側から 焦点距離:401mm シャッタースピード:1/400
2018年全日本F3にて
ダンロップコーナー出口 焦点距離:560mm
2018年スーパーGT公式テストにて
11コーナー 焦点距離:640mm
2016年ニスモフェスティバルにて

2018年3月24日撮影 EOS 5D MarkⅣ EF100-400mm f/4.5-5.6L IS Ⅱ USM + 1.4×Ⅲ 焦点距離560mm ダンロップコーナー出口を狙う

焦点距離:448mm
2015年スーパーGT第4戦にて
12コーナーから富士山を望む 焦点距離:77mm シャッタースピード:1/1600
2019年スーパーGT第2戦にて
12コーナー出口 焦点距離:560mm シャッタースピード:1/80
2020年スーパーGT最終戦にて

13コーナー

13コーナーは、富士スピードウェイでは珍しいマシンの左サイドを撮影できる場所で、土手の上段と下段から撮影できる。

私お気に入りは、マーシャルポスト横のフェンスの切れ目からで、ここからだとコースレベルの低いアングルで、ダンロップコーナーから立ち上がってくる後続車が重なりいい絵が撮れる。

撮影場所はそこそこ広く、グランドスタンドから遠いためか比較的混雑が少ない。

13コーナー 焦点距離:560mm
2018年スーパーGT公式テストにて
13コーナーのフェンスの切れ目より 焦点距離560mm
2018年スーパーGT公式テストにて

GRスープラコーナー

GRコーナーから最終パナソニックコーナーに沿っての土手の上は、多くのアマチュアカメラマンが居並ぶ場所で、前述のダンロップコーナーとともに富士スピードウェイで一二を争う人気のスポットだ。

そしてこのスポットは広いため、ポジションに困ることもない。

もっとも人気のあるのはGRコーナー立ち上がり付近で、土手の上からコーナーへのアプローチから旋回を斜め前から正面のアングルで撮影したり、フェンスとその向こう側を走るマシンをバックに真横からスピード感あふれる流し撮りをしたり、その後の短いストレートを行くマシンのバックショットを撮影できる。

ただ私的には土手の上からではなく、土手を少し降りたフェンスがギリギリかからない場所が好きだ。

また、もう少し最終パナソニックコーナーよりのフェンスに看板が掲げられているため、それをバックに真横からの流し撮りをするとスピード感をより強調した写真に仕上がる。

この場所は、富士スピードウェイの中でも比較的コースと観客席の距離が近いため、特にマシン真横のアングルでは超望遠レンズでなくても撮影できる数少ない場所だ。

GRスープラコーナーへのアプローチを土手の中段から撮影 焦点距離:560mm シャッタースピード:1/160
2020年スーパーGT最終戦にて
GRコーナー旋回するマシンを土手の上から撮影 焦点距離:448mm
2015年WEC富士にて
GRコーナー立ち上がりを土手の中段から撮影 焦点距離:560mm
2018年スーパーGT公式テストにて
GRスープラコーナー立ち上がり直後のストレートを超スローシャッターで撮影 焦点距離:140mm シャッタースピード:1/15
2020年スーパーGT最終戦にて
同じくGRスープラコーナー立ち上がり直後のストレート 焦点距離:320mm
2016年WEC富士にて

ピットエントリー

パドックパスを所持していると、ピット進入口にマシンを撮影できるカメラマン用サービスホールがあり、ここからだと急減速してピットに入るマシンを間近で撮影できる。

また300km/h近い速度でホームストレートを走るマシンを、低いアングルから流し撮りすることもできる。

ただしこの場所はマシンが何の前触れもなく突然現れるため、すぐに撮影できるようにスタンバイしておくことが必要となる。

またこのサービスホールは数名しか利用できないため、順番待ちすることになる。

サービスホールが空かない時には諦めて、F値を上げてフェンスを消して撮影するようにしてもいいだろう。

ピットインするマシンをカメラマン用サービスホールから 焦点距離:400mm シャッタースピード:1/200
2019年スーパーGT第5戦にて
ピットインするマシンをカメラマン用サービスホールから 焦点距離:400mm シャッタースピード:1/160
2019年スーパーGT第5戦にて

まとめ

以上が富士スピードウェイの定番撮影ポイントの説明になるが、参考になっただろうか。

以前にも撮影機材のレンズの項で書きましたが、富士は日本で一番ランオフエリアの広い=長い焦点距離のレンズが必要なサーキットになる。

そのためゴーヨンやロクヨンなどのいわゆるバズーカみたいなレンズを持参し、フェンスを消して撮影している猛者もおり、高級レンズの見本市さながらの状況だ。

しかし現在のカメラはどれも非常に高画素になり、トリミング耐性に優れている。

今回はすべてノートリミングで掲載したが、余裕を持った画角で撮影し、編集時にトリミングをしてもいいだろう。

ということで今回は以上、最後までご覧いただきありがとうございました。

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大福
モータースポーツをこよなく愛す、セナプロ世代の四十代。 サーキット観戦デビューは、1996年フォーミュラニッポン第7戦の富士スピードウェイ。ど迫力のエキゾーストノートとタイヤの焼ける匂いを実感し、それまでテレビでしか観戦してこなかった事を悔やむ。以降、F1・WEC・スーパーGT・スーパーフォーミュラなどを富士スピードウェイ・鈴鹿サーキットを中心に多数観戦する。