F1のチームロータスが採用した、レーシングマシンにスポンサー企業やブランドのロゴを描き、その広告費でチームを運営する手法は瞬く間に広まり、今日ではほぼすべてのモータースポーツカテゴリーで採用されています。
そのスポンサーフィーはカテゴリーの人気によりさまざまですが、日本が誇る人気モータースポーツのスーパーGTには多くの有名企業が名を連ねます。
そこで先に掲載したスーパーGTトヨタ系チーム、日産系チームにつづき、今回はホンダ系GT500チームのメインスポンサーの推移を見ていきたいと思います。
スーパーGTトヨタ系・日産系GT500チームのメインスポンサー推移はこちらからどうぞ。
↓
ザックリ見出し
ARTAのメインスポンサー推移
年 | メインスポンサー | マシン名 |
---|---|---|
2005 | AUTOBACS | ARTA NSX |
2006 | AUTOBACS | ARTA NSX |
2007 | AUTOBACS | ARTA NSX |
2008 | AUTOBACS | ARTA NSX |
2009 | AUTOBACS | ARTA NSX |
2010 | AUTOBACS | ARTA HSV-010 |
2011 | AUTOBACS | ARTA HSV-010 GT |
2012 | AUTOBACS | ARTA HSV-010 GT |
2013 | AUTOBACS | ARTA HSV-010 |
2014 | AUTOBACS | ARTA NSX CONCEPT-GT |
2015 | AUTOBACS | ARTA NSX CONCEPT-GT |
2016 | AUTOBACS | ARTA NSX CONCEPT-GT |
2017 | AUTOBACS | ARTA NSX-GT |
2018 | AUTOBACS | ARTA NSX-GT |
2019 | AUTOBACS | ARTA NSX-GT |
2020 | AUTOBACS | ARTA NSX-GT |
元F1ドライバーの鈴木亜久里氏とカー用品チェーンの『AUTOBACS』が手を組み、1997年に設立したレーシングプロジェクトがARTAです。
正式名称はAUTOBACS RACING TEAM AGURIといい、その頭文字でARTAとなりましたが、マシン名からも分かるとおりそのARTA自体にブランド的効果があります。
当然『AUTOBACS』自体が資本参加しているため、メインスポンサーは一貫して『AUTOBACS』が務め、『AUTOBACS』は同時にスーパーGT全体のシリーズタイトルスポンサー企業でもあります。
ドラゴコルセのメインスポンサー推移
年 | メインスポンサー | マシン名 |
---|---|---|
2015 | モデューロ | ドラゴモデューロNSX CONCEPT-GT |
2016 | モデューロ | ドラゴモデューロNSX CONCEPT-GT |
ドラゴコルセは、元ホンダの国内エースである道上龍選手が代表を務めるチームです。
現在はGT300クラスに参戦していますが、2015年と2016年はスーパーGT GT500クラスにエントリーしていました。
ホンダの純正部品を展開するホンダアクセスのブランド、『モデューロ』がチームのメインスポンサーだったことから、ホンダから大きなバックアップを得ていたことが伺い知れます。
チーム無限のメインスポンサー推移
年 | メインスポンサー | マシン名 |
---|---|---|
2017 | MOTUL | MOTUL MUGEN NSX-GT |
2018 | MOTUL | MOTUL MUGEN NSX-GT |
2019 | MOTUL | MOTUL MUGEN NSX-GT |
2020 | RedBull MOTUL | RedBull MOTUL MUGEN NSX-GT |
ホンダ創始者の本田宗一郎氏の御曹司である本田博俊氏が設立した無限が母体のチーム無限は、オイルメーカー『MOTUL』がメインスポンサーを務めます。
そして2020年にはホンダF1でも手を組む『RedBull』が、チームのメインスポンサーになり、2020年にはより一層の活躍が期待されます。
リアルレーシングのメインスポンサー推移
年 | メインスポンサー | マシン名 |
---|---|---|
2007 | RollingStone | REAL NSX |
2008 | LEON | REAL NSX |
2009 | KEIHIN | KEIHIN NSX |
2010 | KEIHIN | KEIHIN HSV-010 |
2011 | KEIHIN | KEIHIN HSV-010 GT |
2012 | KEIHIN | KEIHIN HSV-010 GT |
2013 | KEIHIN | KEIHIN HSV-010 |
2014 | KEIHIN | KEIHIN NSX CONCEPT-GT |
2015 | KEIHIN | KEIHIN NSX CONCEPT-GT |
2016 | KEIHIN | KEIHIN NSX CONCEPT-GT |
2017 | KEIHIN | KEIHIN NSX-GT |
2018 | KEIHIN | KEIHIN NSX-GT |
2019 | KEIHIN | KEIHIN NSX-GT |
2020 | KEIHIN | KEIHIN NSX-GT |
金石勝智氏が代表を務めるリアルレーシングは、2007年に雑誌『Rollong Stone』とタイアップするカタチでチーム名Rolling StoneリアルレーシングとしてスーパーGT GT500クラスに参戦を開始します。
翌2008年は同じく雑誌の『LEON』とジョイントし、リアルレーシングwith LEONのチーム名になります。
そして現在もつづくホンダ系総合システムメーカー『KEIHIN』とは、2009年からチーム名とマシン名に名前が入り、濃いブルーの『KEIHIN』カラーで参戦しています。
童夢のメインスポンサー推移
年 | メインスポンサー | マシン名 |
---|---|---|
2005 | TAKATA | TAKATA童夢NSX |
2006 | TAKATA | TAKATA童夢NSX |
2007 | TAKATA | TAKATA童夢NSX |
2008 | TAKATA | TAKATA童夢NSX |
2009 | ROCK ST☆R | ROCK ST☆R童夢NSX |
2010 | ウイダー | ウイダーHSV-010 |
2011 | ウイダー | ウイダーHSV-010 GT |
2012 | ウイダー | ウイダーHSV-010 GT |
2013 | ウイダー モデューロ | ウイダーモデューロHSV-010 |
2014 | ウイダー モデューロ | ウイダーモデューロNSX CONCEPT-GT |
日本のレーシングコンストラクターとして名を馳せる童夢は、かつてホンダ系レーシングチームとしてスーパーGT GT500クラスに参戦していました。
スーパーGT初年度は全日本GT選手権時代からサポートを受けていた、シートベルトやエアバックの日本最大手メーカーとして知られていた『TAKATA』とともに参戦します。
しかしエアバッグリコール事件が明るみになった2008年を最後に『TAKATA』との関係を解消し、2009年にエナジードリンクの『ROCK STA☆R』とスポンサー契約します。
2010年からスーパーGTを撤退する2014年までは、森永製菓が販売するゼリー飲料の『ウイダー』ブランドをメインスポンサーに据え、2013年から2年間はホンダ純正部品の『モデューロ』も加わりました。
ナカジマレーシングのメインスポンサー推移
年 | メインスポンサー | マシン名 |
---|---|---|
2005 | EPSON | EPSON NSX |
2006 | EPSON | EPSON NSX |
2007 | EPSON | EPSON NSX |
2008 | EPSON | EPSON NSX |
2009 | EPSON | EPSON NSX |
2010 | EPSON | EPSON HSV-010 |
2011 | EPSON | EPSON HSV-010 GT |
2012 | EPSON | EPSON HSV-010 GT |
2013 | EPSON | EPSON HSV-010 |
2014 | EPSON | EPSON NSX CONCEPT-GT |
2015 | EPSON | Epson NSX CONCEPT-GT |
2016 | EPSON | Epson NSX CONCEPT-GT |
2017 | EPSON Modulo | Epson Modulo NSX-GT |
2018 | EPSON Modulo | Epson Modulo NSX-GT |
2019 | Modulo EPSON | Modulo Epson NSX-GT |
2020 | Modulo | Modulo NSX-GT |
現役時代の1983年から中嶋悟監督をサポートしてきたプリンターなどの精密機器メーカーである『EPSON』。
『EPSON』は、スーパーGT発足後もひきつづきナカジマレーシングをサポートします。
マシンのカラーリングは毎年ファンからの公募で決定されているため、シーズンによりブルーがメインであったりホワイトがメインだったりと、ファンを楽しませてくれました。
転機は2019年。
それまでスポンサー企業の筆頭には『EPSON』がいましたが、2019年からはサポートを縮小しホンダ純正部品ブランドの『Modulo』がメインスポンサーになります。
そして2020年には『EPSON』がマシン名に入らず、『Modulo』のみとなりました。
私たちF1ブーム世代にとって中嶋悟氏は特別な存在であり、その傍らには常に『EPSON』がサポートしていましたが、このような変化は時代の流れなのでしょうか。
チームクニミツのメインスポンサー推移
年 | メインスポンサー | マシン名 |
---|---|---|
2005 | RAYBRIG | RAYBRIG NSX |
2006 | RAYBRIG | RAYBRIG NSX |
2007 | RAYBRIG | RAYBRIG NSX |
2008 | RAYBRIG | RAYBRIG NSX |
2009 | RAYBRIG | RAYBRIG NSX |
2010 | RAYBRIG | RAYBRIG HSV-010 |
2011 | RAYBRIG | RAYBRIG HSV-010 GT |
2012 | RAYBRIG | RAYBRIG HSV-010 GT |
2013 | RAYBRIG | RAYBRIG HSV-010 |
2014 | RAYBRIG | RAYBRIG NSX CONCEPT-GT |
2015 | RAYBRIG | RAYBRIG NSX CONCEPT-GT |
2016 | RAYBRIG | RAYBRIG NSX CONCEPT-GT |
2017 | RAYBRIG | RAYBRIG NSX-GT |
2018 | RAYBRIG | RAYBRIG NSX-GT |
2019 | RAYBRIG | RAYBRIG NSX-GT |
2020 | RAYBRIG | RAYBRIG NSX-GT |
チームクニミツは、自動車電子機器を製造するスタンレー電気のブランド『RAYBRIG』と長年スポンサー契約を結んでいます。
その関係は古く、全日本GT選手権時代の1997年第2戦から現在に至るまで『RAYBRIG』のカラーリングで参戦し続けています。
まとめ
※表は左右にスライドします
年 | ARTA | ドラゴ | 無限 | リアル | 童夢 | ナカジマ | クニミツ |
---|---|---|---|---|---|---|---|
8 | 15 | 16 | 17 | 18 | 64 (32) | 100 | |
2005 | AUTOBACS | TAKATA | EPSON | RAYBRIG | |||
2006 | AUTOBACS | TAKATA | EPSON | RAYBRIG | |||
2007 | AUTOBACS | RollingStone | TAKATA | EPSON | RAYBRIG | ||
2008 | AUTOBACS | LEON | TAKATA | EPSON | RAYBRIG | ||
2009 | AUTOBACS | KEIHIN | ROCK ST☆R | EPSON | RAYBRIG | ||
2010 | AUTOBACS | KEIHIN | ウイダー | EPSON | RAYBRIG | ||
2011 | AUTOBACS | KEIHIN | ウイダー | EPSON | RAYBRIG | ||
2012 | AUTOBACS | KEIHIN | ウイダー | EPSON | RAYBRIG | ||
2013 | AUTOBACS | KEIHIN | ウイダー モデューロ | EPSON | RAYBRIG | ||
2014 | AUTOBACS | KEIHIN | ウイダー モデューロ | EPSON | RAYBRIG | ||
2015 | AUTOBACS | モデューロ | KEIHIN | EPSON | RAYBRIG | ||
2016 | AUTOBACS | モデューロ | KEIHIN | EPSON | RAYBRIG | ||
2017 | AUTOBACS | MOTUL | KEIHIN | EPSON Modulo | RAYBRIG | ||
2018 | AUTOBACS | MOTUL | KEIHIN | EPSON Modulo | RAYBRIG | ||
2019 | AUTOBACS | MOTUL | KEIHIN | Modulo EPSON | RAYBRIG | ||
2020 | AUTOBACS | RedBull MOTUL | KEIHIN | Modulo | RAYBRIG |
リアルレーシングの『KEIHIN』、ARTAの『AUTOBACS』、チームクニミツの『RAYBRIG』など、ホンダ系チームは他のメーカー系チームと比べてスポンサーと長く関わりを持っていることがわかりました。
その中にあり、ナカジマレーシングの『EPSON』のメインスポンサーからの離脱は、大きな変化だと言えるでしょう。
また童夢は、事業転換もあったにせよ、長年サポートされてきた『TAKATA』のエアバッグリコール事件は、少なからず童夢の運営に変化をもたらしたのでは、と推測します。
以上、今回はスーパーGTホンダ系GT500チームのメインスポンサーの推移を見てきました。
最後までご覧いただきありがとうございました。